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現在進行 鳥の国 4  作者: 蓮尾 純子
17/93

証拠物件だらけ   2007年4月 すずがも通信163号掲載

2007年4月

証拠物件だらけ   2007年4月 鳥の国から   


ホー、ホケキョ(ウグイス)

ピンタラララララララ(コマドリ)

長兵衛忠兵衛長忠兵衛メジロ

一筆計上仕りホオジロ

ヒーーイ ヒョーー(トラツグミ)

オーオー ぼろ着て奉公フクロウ

註 聞き倣し(鳥のさえずりをことばで表現すること)


 春の盛りが近づいてきて、野鳥病院の鳥たちのさえずりも日を追うごとにエスカレートしてきました。治療室の中で朗々たる美声を響かせているオオルリの声は聞き倣しようがありません。遠い渓谷の杉の木のてっぺんで歌っている分にはほんとうに幽玄な美しいさえずりなのですが、狭い室内で聞く音量ではない!

 東葛支庁から千葉支庁の管内にかけて、行徳野鳥観察舎で(バンダーの佐藤達夫氏が)鑑定書(この鳥がたしかに「メジロ」、それも国内産のメジロです、というお墨付き)を書いてくれるという情報が口コミで伝わっているらしく、2月など野鳥病院の通常の入院鳥は16羽だったのに対し、違法飼育関連のものは27羽に達しました。気の毒なのは達夫さん。電話がかかれば「○○警察ですが、佐藤さんはおられるでしょうか」 このところ週に2~3日は違法飼育関連の応対やら書類書きに追われる身。違法に飼育される野鳥が減るのはありがたいことですから、きちんと協力しようということにしているのですが、「証拠物件」として預かるのはやはり気の重い話。元気でよく飛べるのだからさっさと放してしまえるとよいのですが、放鳥も検察の立会いのもとということになります。まあ、諸手続きが終わって春を待つばかり、とか、しっかり換羽してから、というものもいるのですが、ひとつのグループ(○○署からのいついつの分)を放してほっとすると、たいてい次の団体さんが到来。治療室はいつも小鳥のかごだらけ。

 みんなが元気に朗々と囀ってくれていれば、いちおう満足。


 大部屋にはコハクチョウが2羽、さすがにそれほどきゅうくつそうではないけれど、どーんと居座っています。どちらも翼を傷めて野生復帰は不可能。まあ仲が悪くはなさそうで、人の姿にも慣れてきました。水路に出してやりたいのですが、牢名主のでっかいコブハクチョウが許してくれないんですよね。カナダガンはすんなり受け入れてくれたのですが、白くて大きいのはダメらしい。

 下嘴が折れてとれかけているカルガモは、なんと自力採食でがんばっています。カモ類は分厚い舌をピストンのように動かして餌を喉に送りこむのですが、下嘴が完全に使えない状態では餌をしゃくい上げることができず、自分では餌がとれないだろうと思っていました。しかし、水に浮かせたヒエなどをべろだけでちゃんと食べて体重を維持しています。ほんとうにりっぱなヤツ。

 8日、前日入所のコガモとその日に入ったドバト、どちらも骨端が突き出たまま固まった少し古めの傷で、突き出た骨端を切り取り、ドバトは開いた傷口を縫合しました。ところが針が血管に当たってしまい、いきなり出血が。あわてて糸を始末する前に傷口を押さえて血を止めたため、糸を結ぶ時に再度出血。しばらく傷口を押さえてじっとしている羽目に。その間、よく見える導流堤上にアリスイが止まったとのこと。縫合を終えて見に行った時には「今、イソシギに追われて飛びました」。残念!

 4日間の泡瀬遠征の間に、カンムリカイツブリもハジロカイツブリもきれいな夏羽に変わっていました。ツバメ待ちの時期。春らしく浮き足立っている鳥の国でした。


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