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ママはVTuber  ~ホテル王に溺愛される~  作者: 富士とまと


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イイコ

 想像の中の東御社長がにこりととろける笑顔を見せた。いや、もう、ごめんなさい。天使というより、悪魔の微笑みに見える。なんていうの?魅了魔法とか使って人間を虜にしてダメにするやつ!

 先に風呂に入り、着替えて台所に戻る。作り置いた夕飯を冷蔵庫から取り出す。

「よく見てるなぁ」

 冷蔵庫の中には、きちんと買ってきたものが入れられていた。

 一番上の段、二段目の段と、置いてあるものが分けてあるんだけど、ちゃんとその通りに入ってる。

 そりゃそうか。小さいころから、冷蔵庫に入っているから食べてねを何度繰り返したか。

 普通の子供よりもきっと冷蔵庫の中を見る機会も多くて、どこにあるんだろうって探したことも多かったんだろう。

「どこに入ってるの?」と聞くこともできなかっただろうから……。覚えるしかなかったんだね。

「うん、よし!私が優斗にしてあげられることなんて、本当に少ししかないんだ。優斗が今、私にしてほしいことがVTuberのキャラクターの声だというなら、めいっぱい頑張って、やってあげよう!」

 何度も何度も、優斗に寂しい思いをさせていたんじゃないだろうか、いろいろ我慢させて辛い思いをさせてきたんじゃないかと……申し訳ない気持ちがあふれてくる。

 だけど、どれだけ考えたって、真さんが死んでしまった現実は変わらない。私はできるだけのことを優斗にしてあげる、それしかできない。

 くよくよしないし、ごめんね、ごめんねって何度も繰り返すより、ありがとう、ありがとうと伝える。

 ありがとう、ママ助かったよって言えば、優斗は嬉しそうに笑顔を見せてくれる。

 ごめんねって言えば……大丈夫だよってちょっと悲しそうな顔が返ってくる。

「あー、もう、また考え始めちゃった。やめやめ!」

 お父さんがいたら幸せだったのかなとか再婚を考えた方がよかったのかなとか……今更だ。

 いまさら……?あれ?

 優斗はどう思っているんだろう。もし、これから一人暮らしして結婚してって優斗の人生の節目節目の時に「母さんを一人にするのは心配だ」「母さんと同居したい」とか……私のことを考えて足かせになったりしないだろうか?

 嘘でも、恋人の一人でもいると言った方が安心できる?

 いやいや、無理無理。今更恋愛とか。

 恋愛は無理でも、趣味を持つとか、うん、趣味のお友達がたくさんいるから大丈夫と安心させることはできるんじゃないかな?

 あれ?私の趣味って何?

「母さん、明日のお弁当教えて」

 おっと。悩んでいたら優斗が来た。

「明日のお弁当は、卵焼きと、プチトマトと、ごはんと角煮風の豚肉と煮卵……あ、卵焼きと卵がかぶるから、なしね、なし。えっと、ちくわの磯部揚げ。うーん、それでいいかな。よし、そうするね」

 そうだ。卵かぶり。

 ドライカレーを入れようかとも考えていたけれど、ご飯くらい炊きたてで入れようと考え直す。

 ドライカレーは、私のお弁当にいれよう。

「ありがとう!」

 優斗が張り切って戻っていった。

 うん、うん、幸せそうだ。

 明日の夕飯の下ごしらえをしなくちゃいけないんだ。何にしようか。

 と、買い物してきたんだった。皮むき里芋、昆布と煮て、煮っころがしを作ろう。それから鮭の切り身を焼く。あとは豚汁。★

 豚汁の具を取り出して、ギューッと絞ってご飯と混ぜた混ぜご飯をお弁当に入れようかな。おいしいんだよ。猫まんまっていうの?味噌汁をご飯にぶっかけて食べることもあるじゃない?味噌味のご飯っておいしいんだよね。ちょっと水分少なめに炊いて混ぜておくと、具から染み出た水分をご飯が吸ってくれるんでお弁当の時間にはいい具合になってる。

 明日の夕飯の下ごしらえを終えると優斗が遠慮気味に顔を出した。

「母さん、時間ある?」

「ん?もう明日の準備も終わったし、時間あるわよ?」

 ちょいちょいと手招きされて優斗の部屋に入ると、パソコンの画面を指さされる。うーん、この光景も見慣れてきたわよね。

 優斗の作ったキャラクターの動画に対して書かれたコメントが表示された画面。


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― 新着の感想 ―
[一言] いつも楽しみにしてます。 更新ありがとうございます。
[一言] 八丁味噌以外のねこまんまは「ないわー」
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