計画変更
「府網さんが提案してくださったロフトも同じような視点でしょう」
府網建築の社員が自信満々だった表情を曇らせた。
「車いすで不便な場所はベビーカーでも不便……か。勉強させてもらったよ。普段ベビーカーを使わない人間からすれば、歩ける子供なら歩かせればいい、抱っこ紐を持ち歩いて抱っこすればいい……と、簡単に考えすぎていたようだ」
東御社長の言葉に、社員たちも口を開く。
「そうですね。本館があるのだから、離れが使いにくいと思う人は本館に泊ってもらえばいいというのは我々のおごりだったのかもしれません」
「確かに。離れを希望して選んでもらったのに、雨だから離れに移動してもいいですよ?では、わざわざ泊まりに来た価値が半減してしまうでしょう。離れではない部屋なら他にも多くの宿泊施設があるのですから」
「ファミリー向けと銘打っているのに、子連れに不便な宿……これは、レビューでたたかれる案件でしたね」
「子育て経験がない、いや、子育て経験があったとしても、どれくらいの時間子供と、どういう立場で接していたかによって、感じることは違ったでしょう。車いすに自分が乗っていることをイメージすれば、確かに分かりやすい……」
「渡り廊下ですべての離れをつなぐのは現実的ではないが、一部の離れは渡り廊下でつなぎ、残りは切り離してはどうだろう」
「足元だけはぬかるまないように舗装したほうがよさそうだね」
と、話が進んでいると、茉莉さんが口を開いた。
「もしかして、二棲建築さんのおっしゃっていた何棟かグレードアップするという話も、小さな子供を連れたママが、部屋で過ごす時間が長くなるということを踏まえての提案だったのかしら?」
え?
「確かに、虫取りやらバーベキューやら部屋の外に楽しみがある人にとったら、宿の高級感など無用と思うかもしれませんが、赤ちゃんといっしょに部屋でほとんどの時間を過ごすママからすれば……。せっかくの旅行、高級感あふれる場所で、プチ贅沢気分を味わえるといいかもしれませんね」
茉莉さんが私の顔を見てにこっと笑った。
プチ贅沢。
「そ、そ、そうですね。表に見える部分で、高級感あふれる演出という意味で、その……」
部長が茉莉さんの話にのっかった。
いや、単に趣味だよね部長。
「二棲さん、府網さん、すみません。今の話で、大幅な計画を変更することになるかもしれません。どちらに仕事を頼むか、返答に少しお時間をいただけますか」
東御社長の言葉に、会議が終わり、退出することになった。
秘書補助の茉莉さんが立ち上がり、ドアへ向かい、どうぞと声をかける。
先に府網建築の3人が書類など荷物をまとめて部屋を退出する。
それから、私と部長も席をたち、ドアへと向かった。
ドアの入り口で、茉莉さんがひそっと私に耳打ちした。
「めずらしく兄は、あなたのこと嫌がらなかったみたい。いつもなら女性に視線を向けることなんてないのに、ずっと深山さんのこと見てたもの」
え?ずっと私を見ていた?
思わず振り返ると、ばっちり東御社長と視線が合ってしまった。
不可抗力。
あー、予約投稿しておかないと昨日みたいに更新忘れちゃうなぁ……(´・ω・`)
とはいえ、予約更新作業も結構しんどい。時間……かかるんですよね……
感想いただくと「ふお!そうだ!更新したっけ?!」って思い出せる……っていうか、実はさっきそうだった。
……いや、すいません……催促じゃなくて、本当にそんな感じでした。
あ、書いてますよ?書いてるんですが、更新作業を忘れるんです。




