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〇×△ゲーム  作者: ヤマネコ
1/3

熊のぬいぐるみと清水社巫女

短編の方もこっちの連載だと思ってください。あっちが1話(試し書きで書いたものですが他の物語と関連はあるので一応目を通していただくと幸いです)でこっちが2話(こっちから書く設定が正式となります)と考えてください。設定ミスしてました(汗)。雨宮志保視点となります。

メンバー


雨宮志保

井上ノノ

今泉真紀

入江桃

打上寧々

内野々鷗




志保(本当嫌になってくる)


またかと思って辺りを見回すといつもの青い部屋にいて、自分以外に5人の少女がいた。全員私と通っている学校の制服を着ている。良く見るとよく一緒になる今泉がいた。彼女も私に気付いたようで、軽く手を振ってくる。


志保(私があなたを殺すかもしれないのに…。吞気なものね…)




GM「陣営の役目を公開します」

一つの青い壁に文字が浮かび上がっている。


〇陣営=12人の少女全員を死なせないこと

×陣営=12人の少女のうち1人の少女の力の発動条件を探ること

△陣営=12人の少女達のうち1人をシナリオ中に殺害すること(2人以上殺害すると強制失格)




GM「能力公開します」

陣営の下にまた文字が浮かび上がる


A 12人の少女のうち、1人の少女に憑依することが出来る(憑依先が死亡した場合、自身も死亡する)。最後まで憑依先が生きていれば、報酬を獲得できる。


B 12人の少女のうち1人の少女を1度だけ10秒間動けなくさせることが出来る。ゲーム終了まで一人殺害できなければ報酬を獲得できない。


C 1度だけシナリオ中に出てくる人物・物体を「一つの動作だけ」意のままに操れる。ただし操ると報酬を獲得できない。


D 12人の少女のうち2人の少女を、プレイヤーの能力、ギミックによる干渉を防ぐ効果をこのゲームが終了するまで付与できる。2人の少女以外の10人のうち誰かが死亡すると報酬を獲得できない。


E プレイヤーの中から1名選択し、その人の陣営が分かる。自分と同じ陣営の人が誰か分からなければ、報酬を獲得できない。


F 12人の少女のうち1人の少女を選択し、このゲーム終了まで能力やギミックなどによるあらゆる殺害行為も受けない効果を付与できる。選択した少女をゲーム終了まで守り切れば報酬を獲得できる。


~注意~

プレイヤー同士の殺害も可能とする。プレイヤー数が3人以下になったらゲームは強制終了となる。



志保(今まで全勝だったけどこのゲーム…本当に何の目的があるのかしらね。まぁ、勝者になったご褒美が美味しくて乗っちゃう私にとってはありがたいものだけど…)


この〇×△ゲームは、陣営の勝利条件を満たせば、願いを叶えることが出来る。個人の役目を達成しないとたとて陣営の勝利になっても願いを叶えてもらえない。チームワークが重要になってくるゲームだ。


他の5人も何回か共闘したことがある。特に入江とは同じ死線を潜り抜けてきた仲だ。今回のゲームはプレイヤー同士の殺害が可能とされているが、出来れば入江は殺害したくないなと考えていると


GM「各自の陣営の役目を確認してください」


そうして自分だけに分かるように公開されていた物に自分の名前が書かれていた。


志保(×陣営のFか…誰を選ぼう)


モニターに表示されている12人の少女の名前と顔写真が書かれていた。


1  明坂絵美

2  伊藤春奈

3  岩山忌寸

4  茅野亜李

5  桔梗美海

6  北川あいな

7  清水社巫女

8  瀬奈来夏

9  灰崎由仁

10 船井綾音

11 茂住抱月

12 望月キララ


志保(…7の人にするか)


志保はGMに清水社巫女にFの効果を付与してもらった。


他の5人も12人の少女のうちの誰かを選択して全員の行動が済むと、


GM「ゲーム開始」


6人の周りの景色が変わっていく。周りを見渡すと志保以外の5人が居なかった。初期位置はランダムなのだろうか?場所は志保の通っている学校の前だった。制服を着ている少女が仲良さげに校舎に入って行ったり、参考書を見て歩いている生徒もいる。見渡してみると清水が校舎前を歩いていた。暗い顔をして一人で登校している。志保は少し距離を取って清水の後ろを歩きだす。校舎に入って行って、彼女が下駄箱の方に行くと、カバンから上履きを取り出した。


志保「?」


洗ってきたのかなと思いながら清水の後を追う。彼女の足取りは重くて怠そうに歩いていると、保健室に向かっていく。


志保「…保健室登校?」


保健室に入っていく。カレンダーが飾ってあり、「2018年9月5日」とあった。背が低いので1年生…だろうか。


保健室先生「清水さん。おはようございます」


清水は何も言わずただ首をコクンと振るだけ。かなり調子が悪いのだろうか?


志保「……」


清水は奥にある勉強机の方に向かい、何も言わず教科書やノートを取り出している。近くにあった椅子を音が立たないように清水の斜め後ろにおいて背中から覗くような位置に座る。


清水「……っ」


勉強していると思っていたら突然泣き始めた。何事を思い、椅子から立ち上がり清水の顔を見ている。涙がどんどんあふれてきて、スカートにぽたぽたと垂らして肩を震わせている。

小さな声で「お母さん…お母さん」と呟いている。


志保「……」


志保(……家庭問題?)


教科書やノートに目を向けると、薄っすらとではあるが落書きが書いてあって。ページがシワシワだ。良く見ると「死ね」とか「学校に来るな」とか書いてある。


志保…いじめか


ゲームによっては殺害をしてきたことがあるが、やはりそういう類のものは見ていて気持ちの良いものではない。


志保(まぁもしかしたらこの子が誰かをいじめて、その復讐を受けているとしたら笑いものだけどね)


清水はシャープペンシルを持って自習をしているが、ペン先が震えて文字がヨレヨレだ。


志保(…少しやるか)


保健室に置いてあった小さな熊の縫いぐるみと絵本を取り出して、泣いている清水の机の上に縫いぐるみを置く。


清水「……え?」


熊「やぁやぁ。僕は志保。君はどうして泣いているのかな?」


清水「え!?熊が喋った!?」


熊「そうだよ~。僕は喋ることが出来るのだ。ふっふっふ!すごいだろ~」


清水「凄い凄い!」


さっきまでの落ち込みがなくなって少し笑っているように見えた。


熊「何に悩んでいるの?僕が相談に乗ってあげよう~」


志保が熊の後ろに回り込んで後ろから声を当てている。


清水「……熊さん。相談に乗ってくれるの…?」


さっきより顔が上に向いている。


熊「うん!さぁ、君の悩みを友達である僕に教えておくれ」


清水「……友達?私達友達なの…?」


熊「そうだよ。今日から僕たちは友達だよ。笑顔でいれば友達になれるよ」


清水「…本当?笑顔になれば友達になれるの…?」


熊「うん、だって僕たちはもう友達だろ。さぁ、泣いていないで君も笑って」


清水「……うん!」


涙は止まらないがさっきより明るい表情をするようになった。


清水「……そしたらクラスのみんな、私がビッチだって連呼して…そうじゃないって何度も言っても、囲んで言ってきて………お父さんとお母さんの仲が悪くて家の中がギスギスで…………知らない男の人が家に入ってきてお母さんと裸で…………お母さんに違う男の人がいるのはなんでって聞いたら、社巫女は知らなくていいことだよってはぐらかされて…………気が付いたら知らない場所にいて…死体が沢山……外人さんがいたみたいで真っ赤な…………」


途切れ途切れではあるが、ゆっくりと自分の悩みを吐露する清水。


熊「……大変だったね。話してくれてありがとう。君の悩みを聞けて友達である僕はとてもうれしいよ」


清水「……熊さん。どうすればいいのかな…もう何を信じていいのか分からないよ」


熊「…己の力を信じて笑えばいいよ。この先もっと辛いことが起きるかもしれない、それでも自分の力を信じて笑顔でいれば、きっと切り抜けること出来るよ」


清水「こんな私でも自分の力で切り抜けられるのかな…」


熊「友達である僕が保障する。さぁ、笑ってごらん」


清水「…友達。うん!」


とびっきりの笑顔で熊さんに話しかけると彼女の目が赤くなっていた。


清水「熊さん!これからよろしくね!」


熊は頭をぺこりと下げたかと思うと、清水の周りをグルグルと回っている。清水もそれにつられて笑顔になる。


そうしていると


GM「ゲーム終了」


ゲーム終了になり少しずつ意識を失っている。最後に志保の目に映っていたものは、笑顔で熊の縫いぐるみと話している清水の姿だった。





目を覚ましたら自分の部屋の布団に包まれていた。


志保「次は…いつかな」







よろしくお願いします。

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