真冬のショート・ホラー小説劇場 第1話 「貸別荘招待状ご当選」 short short horror story of mid winter
short short horror story of mid winter
「貸別荘招待券が当選しました。」
ある日私のもとに心当たりもないこんな当選案内状が届きました。
「あなたが懸賞に当たりました、」〇〇観光会社
そんな招待状が届いたのです、リゾート貸別荘1泊無料券
〇〇高原、別荘地
それは聞いたこともない地名の場所だった、
地図で調べると確かにそんな場所はあるようだった
だがとてつもない辺鄙な場所だった。
そこの別荘を1泊無料で貸してくれるという「当選」なのだ。
別荘のカギが同封されていて、、はてな?
全く応募した覚えもないのです。、
同封のパンフレットによると、、、
別荘内の缶詰や保存食品・ジュース類は食べ・飲み放題です、、と、ある。
というので、、心当たりはないけれど?早速家族で出かけることにしたのです、
現地までは自己負担なのです。
山道を地図を頼りに妻子とともに自家用オンボロ車でたどりにたどってみると
広い道はやがて狭い傾斜の
林道になり、さらにたどると
なんかぽっかりと開けた場所にコテッジ風な洋館(別荘)がポツンと立っている、
白いペンキで塗られていて瀟洒な感じ。
鍵で開けて
中に入ると、、けっこういい感じ?
アンティークな雰囲気で妻も子供も大喜び、
冷蔵庫には確かに保存食品がいっぱい
早速、荷物を置いて、、近くの山道を
近所を散歩したり楽しく過ごします。
、
でも近所といってもいっけんも家なんてない
遊具や遊歩道もありません
正に「ポツンと一軒家」なのです。
やがて日もくれて夜となりました
森の奥からは梟が「ほー―ッほーッ」と悲しげになく。
暖炉に火を入れてくつろいでいると、
カーテンが夜風に揺れる。窓から誰かがのぞいているような?
森からは時々ゴトンという岩が落ちるような音も
夕食の冷蔵庫の食品はどれもうまかった。ジュースも飲んで、、
テレビもないので退屈です。
夜も更けて、、
ふとそのカーテンに人影が?いいや気のせいか?
隣部屋にあったおもちゃの人形で遊んでいた子供は「お父さんこのお人形しゃべれるんだよ」
、、と嬉しそう?
え?まさか?
わたしには何も聞こえない、
でもそれ以上の不思議は起こらなくってみんなで眠りにつく、、、
変な夢も見ることもなく金縛りもなく?
やがて、、夜が明ける
すると物の位置が変わっていたり、
壁に変なシミが出てたり
なんか変?なんです。
別荘を出て振り返ると。あれ?
昨日とは外観も変わっていたのです、
ツタが全体に絡まっていて、古びた異様な雰囲気。
あわてて私たちは荷物をまとめてその別荘をオンボロ車で後にする、
林道をたどってふもとにたどり着き、村の集落にたどり着き
一軒のひなびた雑貨屋さんに寄ってみた。
そしてその老店主に「僕たちあの森の奥の貸別荘に泊ってきたんです」
、、というと店主は怪訝そうな顔をして
「この奥には家なんて一軒もないはずだが?」
わたしたちは思わず、ぞーっとしたのでした、
「でも確かに、こうこう、これこれで泊まったんです。」
「いや家なんてありませんよこの奥には一軒も、、」
それ以上は怖くて、、、聞けなくて、、、私たちは慌てふためいてそれ以上詮索もせずにそこを後にしたのです。
引き返して調べろって?
できませんよ、もう怖くって。
途中ふとあのカギのことを思い出して鞄からそれをよくよく出してみると、
鍵には小さな小さな字で「デッドハウス」と刻んであったのです。
思わず見かわす妻の顔
帰路は無言でした
子供たちははしゃいでいましたが、、、
家に帰り、当選証書の送り先をもう一度確認すると
そんな住所にそんな観光会社なんてどこにも、全くなかったのです。
怖いので、もちろんカギと招待状は川に投げ捨てました
その後、、、なにもおこっていないのが幸いです。
もしかしたら、、いつも身に着けている先祖伝来の霊験あらたかな最強「護符」のおかげだったんでしょうか?
でも一体あの別荘って何だったのでしょう?
応募もしてないのに、なぜ?
私のところに?
わかりません
全てが、、
今だに全く、不明なのです。
でも、、いまさら、、
もう一度地図をたどってあの別荘に行って調べる気なんて怖くってできませんよ。
終わり