愛すべき人々 ~地獄からの脱出~その2
ポンさんありがとう…。
これで地獄から抜け出せる…。
その時はまだ、幸せな新しい生活が約束されたものと思っていた…。
引越し初日。
駅前の放置自転車を回収している場所へ、自転車を入手しに行った。
私: 「すんません。自転車ここに持って行かれたみたいやねんけど。」
おじさん: 「はいはい。こっち入って!」
私はもちろん自転車など持っていない。
おじさん: 「仰山あるから自分の自転車、探してくれるかぁ?」
私: 「はぁい。」
おじさん: 「いつ頃持って行かれたんや?」
私: 「1週間くらいになりますわ。」
おじさん: 「せやったら、こっから右側にあるはずや。自分で探しや!」
私: 「わかりました♪。」
私は注意深く、名前の書いていない、鍵付きの自転車を物色した。
私:「あった、あった!おっちゃん、これや!」
おじさん: 「ほんなら、こっち持ってきて、ここに名前と連絡先書いて。」
私: 「いやぁ、良かった良かった。」
おじさん: 「もう、駅前に置いとったらあかんで!」
私は無事に自転車を手にいれた。 (よい子はマネをしないでね!)
身の周りのものを片付け終わったのは、夜中の1時30分ごろ。
スタートは順調だ。
今日からぐっすり眠れる…。
さすがに疲れてそろそろ寝ようと電動ベッドを下ろし、横になった。
ウトウトと眠りに入りそうになった時、何処からか声が聞こえる。
…… 「うぅぅぅ…。うぅぅぅぅ…。」
私: 「…何や???…。」
…… 「うあぁぁぁぁぁぁ…。」
私: 「ななな何や!!!」
…… 「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
思わず飛び起きてしばらく声を聞いてみる。
声は玄関の方から聞こえるようだ…。
私はそぉっと玄関に行き、ドアを少しだけ開けてみた。
…… 「あぁぁぁぁっ!…あぁぁっ!」
あやしげな声は私の部屋の隣りの非常階段を挟んだ、向こう側の部屋から聞こえて来る。
みなさん、おさっしの通り、それは喜びの声でした。
(それにしてもデカイ声やなぁ!近頃の若いもんは恥を知らんのか!)
(文部省は何をしとるんや!)
それから昼と言わず夜と言わず毎日の様に聞こえて来る。
しかも始まると2~3時間は続く…。
そりゃあなた、最初は正直、おもしろがって聞いてたけどやなぁ。
毎日毎日聞かされてみなはれ! たまったもんやないがな!
出張から疲れきって帰って、一人でシャケ弁食ってる時に始まってみぃ?
(勘弁してくれよぉ…)…やで!
後でわかったが、ミナミに近くペットOKで家賃も結構高い。 (普通なら13万5千円)
そういう事で、お水、風俗関係者が多いらしい。
ポンさん、ほんとにありがとう。
ねぇちゃん、しまいに体壊すでぇ…。
やっぱり私の眠れない日々は続く…