中学生と銀色の悪魔(第2話)
中学生と銀色の悪魔(第2話)の投稿です! 今回はゲーム世界ではなく現実の話が多く書いています。
前回夕は、母親の手紙で心揺らいでいましたね! そこからの続きをどうぞお楽しみください。
「あー、よく寝た」
あれから、あっという間に朝になった。昨日のことがさっきのことのように思える。
「とりあえず、ゲームでもしようかな」
気を紛らわすためにAGOにログインをした。
今の時間は六時半ぐらい。ミケネコは同じ中学生らしい、そのため今の時間はログインしていないのだ。
「……夢か」
ぽつりと無意識にでた言葉、あの手紙を読むまでそんなことを考えたことがなかった。
僕は何もできないと思って、将来が怖くて何も考えたことがなかった。いや、本当は逃げ続けていた。そうやって何もしなかったからこそ、その壁はさらに大きくなっていっていた。それを頭が理解しているのに行動ができなかった。
そんなことをずっと考えていながらゲームをしていたらピロリン! と音がした。何かと思いメニューを開くとフレンドチャットが来ていた。ミケネコが帰ってきていたみたいだった。それで慌てて時間を見るとミケネコが帰ってきてインする時間だったのだ。
少し慌てながらもすぐに、コロシアムに向かった。
「よ! 大丈夫か?」
「ごめん、考え事してた」
「珍しいな、お前が考え事をするとはな」
「これでも、悩みごとの一つや二つあるからね?」
少し冗談気味の言葉に頬を少し膨らませながら言葉を返すと、まじめな顔をして相談相手になってくれた。
「相談乗るよ?」
「……実はね」
それから、昨日のこと、自分の辛い過去のことを包み隠さず話した。
「なるほどな、お前はどうしたい?」
「行きたいけど、怖いから。また、いじめられるかもって怖くて行けないよ…………」
僕は涙目になりながら震えた声で言った。今にも消えてなくなりそうなほどかすれ声に対してミケネコはいつもより強く言葉を発した。
「…………六時半ゆうなみ公園」
「え? まってどういう……」
ミケネコは言い終わると話も聞かずにログアウトしてしまった。
時間を見ると六時二十五分だったから、慌ててゆうなみ公園に向かった。
走って出てきて息が荒れながら公園を見るとすらっとしてかっこいい一人の男の子が一人椅子に座て待っていた。
「もう一度聞く、神崎夕お前はどうしたい?」
「え? な、なんで僕の名前を?」
僕のゲーム名はシル、だがミケネコにも本名を言ってはなかった。
「俺の名前は佑香晴人、お前の通ってる木南中の生徒、そしてクラスメートだ」
僕は訳がわからなかった。学校に行ってないのに、なんで僕に会いにきたのか。なんで一目で俺と分かったのか。それを考えていると、その答えが返ってきた。
「シル、現実では久しぶりだな。俺はミケネコだ。ここにはお前しかいないからな。確かに本当に小さくてびっくりしたけど、雰囲気ですぐに分かったよ。それに俺は小学校の頃に唯一の友達だったっていえばわかるだろ?」
「っっ!? ……ハルくんなの?」
僕はそれ以上の言葉が出なかった。考えていることを的確に答えてきて、しかもAGOで親友のミケネコが僕の通っている中学校にいる。それだけならまだしも僕をシルだとわかって会いに来た。頭の中が情報をうまく整理できなくなって混乱していると、それまで見抜かれた。
「まぁ、落ち着けよ」
「なんでわかったの?」
やっとこせ出てきた言葉はさっき聞いたことと同じ質問だった。
「さっきも言ったけど?」
「そうだけどさ結構見た目違うはずだけど……」
僕の見た目は髪は長いけどどこから見ても男の子で、服でますますわからないはずだけど。
「まぁな、言ったろ雰囲気だって?」
「それで分かるものなのかかな」
「まぁ、それは置いといてさどうする? 学校来ないか?」
その言葉は僕にはとても辛いくて今にでもすべてを吐き出したいと思った。
その今にでも吐きそうなむせ返るような辛い感情をはるくんに八つ当たりしてしまった。
「僕はこの白い髪でいじめられた!! そんな思いはもう二度としたくない!!!!」
僕はこの時初めて大声を出したのだ。それにハルくんはすこしびっくりした顔をしたが、すぐに笑顔になった。その笑顔の中に何かを決意したように見えた。
「じゃあ、今俺は髪のことで言ったか?」
「してないけど、学校でみんなとする気でしょ!!」
「馬鹿だなお前、俺はゲームでもリアルでも親友だと思ってるんだが? それにお前の髪はきれいでうらやましいくらいだぞ。親友にそんなことはしないし、もし、誰かいじめてきたら俺に言え! 俺がそいつに言ってやるよ。お前のことや髪のすばらしさをよ!」
ハルくんは顔が真っ赤になっていた。その理由はわからなかったが、今はその言葉に僕は感動した。今まですべてふさぎ込んだ僕には決して聞こえてこなかった言葉が今聞こえた。言ってほしかった、甘えたかった、慰めてほしかった。でも、家族も気を使って何も言わなくなって、いつの間にか家族の言葉にもふさぎ込んで、僕はだめだと言い続けた。それを認めてくれた。それだけで、、、涙が出てしまう。
「おいおい、泣くほどかよ!」
「だ、だって、ひぐ、家族に、、も言ってもらえなくって……」
「なるほどな、俺ならいくらでも言ってやるから」
「でも、僕のこととか髪のすばらしさは説明しなくていいよ」
「まぁそうだけど、言ってほしいときはいつでもいいぜ?」
冗談で言われてるのがわかっていても、あまりに恥ずかしくて涙が止まるほどだった。それにハルくんが言ってる意味と何か違うする気がするし。
そうするとさっきのまじめな顔とは全然違う、とても優しくすべてをつつんでくれそうな笑顔でもう一回訪ねてきた。
「行くか? 学校?」
「う、うん! 行く!」
普段しないから恥ずかしくて口では言えなかった言葉を心の中でゆっくりささやくように言った。
「本当にありがとう、ハルくん」
そして、この後はバカバカしい会話をしてお互いに家に帰ったのだ。そして、これが僕が私になり、止まった人生がが動き始まった瞬間だった。
中学生と銀色の悪魔(第2話)を最後まで呼んでいただきありがとうございます。
今回は少し謎を含んだつもりで書いています。今回の感想や意見をお待ちしております。
次回は晴人くんとの話しをして、土曜日の朝のお話です! 普段引きこもっている夕は実はお金持ちだったりしますw ぜひ次回の第3話も見てください!