スタミナ
……別に何も変わったことはない、こいつの考えてることはわからない。授業中なので直接話かけるという那地のような馬鹿なことはせずに、PCのプライベートチャットモードを使って那地に問いかける。
【俺には何も変わったこところは無いように思えるが、どうした?】
【好美ちゃんは今日パッド付けてるぜ、でかいパッド入れたのかいつもは第二ボタン閉めてるのに今日は第二ボタン開いてるぜ、多分第二ボタン閉まらなくなったんだぜ】
貧乳派の俺としては断固として許せなかった。貧乳それ自体が好きでなく、貧乳であることを恥ずかしがってそれをからかわれると顔を真っ赤に表情が好きであるのに、パッドを入れると台無しではないか。
いや、待てよ。それはそれでアリなのではないか?貧乳であることを隠し胸を大きく見せようとする健気さ、それこそが貧乳持ちの美徳であるように思える。が、今は授業中だ。
【本当だな。じゃあ授業に戻るわ。】
自身の性癖が特殊であることを自覚しているため、他人に悟られないために敢えて全く興味が無い振りをした。思春期特有のなんたらというやつだ。
「――であるから、ソシャゲにハマる子供達の熱意や情熱をゲームだけでなく、教育に取り入れ社会に通用するようにしたのが今の教育であります。今日はここまで、それではスタミナを配布しますね」
あぁ、やっと授業が終わってスタミナが貰えた。退屈な授業はスタミナを貰うためだけにあるな。今貰ったスタミナで合計二十貯まったな。次は昼休みで早めに飯を食って、冒険ルームに行って素材狩りにでも行くかな。