ログインボーナス
「今日もゴミ素材のノーマルカードか」
毎日の口癖になってることを呟きながら、画面のログインボーナスを消し自分の席に着く。
一時間目は日本史だからと日本史のデータを取り出そうと、席に置かれたPC画面の日本史のアイコンを押そうと思った瞬間。誰かが途端に大声で自慢を始めた。
「やったー!今日のログボでスーパーレアの炎の剣出た!」
そして、教室中がざわめきだす。
「まじかよ」「えーすごーい」「今度一緒に氷の女王倒しに行こうぜ」
賞賛の声が聞こえる中、一人だけ死ねよと真逆のことを呟いている奴がいた。もちろん俺だ。
小学生の頃から現在の高校二年生になるまで、一日たりとも休まずに学校に来てログインボーナスを貰ってるのにスーパーレアが出たことなんて1回も無い。中学生の頃まではおめでとう等言ってたが、高校生辺りから言わなくなった。百日連続出席毎に貰える特別ログインボーナスでもレアカードしか出たこと無い。明日で百日目の特別ログボが貰えるのだが、もう期待することも無くなった。
ドンっ!
急に背中を叩かれた、誰だろうと思って振り向く。
「そんな暗い顔すんなよ!仁也は明日特ログだろ?良いもの貰えるかも知れないぞ!」
無理やり笑顔を作り、明るい声でクラスメイトの那地に返事を返す。
「あぁそうだな、俺も楽しみにしてるぜ。スペシャルスーパーレアのソボロ助広が出たら、俺のキャラでも聖和大学の入試のボスに勝てる。それどころか大学に行かなくても一流企業の入社試験のボスに勝てる」
絶対にあり得ないことを言うと、那地が苦笑いを浮かべた。
「はーい、スーパーレアが出て嬉しいのは分かりますが授業を始めますよ。これ以上騒ぐ人にはスタミナを付与しません」
日本史の田中好美先生が大きな声を出して、軽く脅しをしてきた。授業に出てスタミナが貰えないのは非常に困る、スタミナが無ければ素材狩りに行けなくなるからだ。はっきり言ってスタミナが貰えない授業なんて出る価値が無い。みんながしぶしぶ席に着く。
クラスの生徒がそれぞれの目の前に置かれたPCの画面から日本史と書かれたアイコンを手で触ってデータを取り出し、授業の準備を始める。
トントンっ、脇腹を那地が急に突き始める。
さっきの背中を叩くこといい、うざいなこいつ、男同士のボディコミュニケーションなんて端から見てキモいし、天パで鼻毛が一本出てるダサ男からやられても気持ち悪いだけなんだけどな。
「なっ、仁也さ。好美ちゃんの胸の辺りを見て見ろよ、凄いことになってんぜ」
隣の席の那地が嬉しそうな顔をして小声で話しかけてきた。こいつ何を言ってやがると思って田中先生の胸の辺りに目を向けてやると