雨の降る日
今日は朝から雨が降っている。こんな時、わたしはちょっと嬉しくなる。ぽつん、ぽつんとこぼれ落ちる水滴。地面を叩き、屋根を叩き、紫陽花の葉を叩く。
窓から見上げる目に映る、天からの落とし物。慈愛? 厄災? ただの現象? 受ける印象はそれぞれで、扱いは状況によりけりで。けれども雨は、愚痴一つ言わずに降り注ぐ。変わることなく降り続く。
強くなり、弱くなり。時に早く、時に遅く。そんなに急いでどこへ行くの? そんなにのんびりしてたらおいて行かれちゃうよ? けれども雨は、知らんぷり。自由気ままな猫のよう。
風が出てきたね。吹かれるままに右左。逆らわず、抗わず。けれどもいつかは辿り着く。過程も、結果も、どちらも重要ではないのかな。
空から落ちる、無色の雫。透き通った水玉は、景色を写して七変化。赤、青、黄。緑に橙、藍、紫。キャンパスを彩る、光の絵の具。今日はどんな絵を描こう。
しとしとと雨が降る。ざあざあと雨が降る。振り方なんて、気分次第。いつ止むかなんて、決めてない。そんな自由さが、うらやましい。
この雨は、いつ止むのかな。今度はいつ、降るのかな。
見上げた空は、知らぬ顔。




