運命かもしれない出会い
あの日、「俺」いや「僕」が図書室によったのは偶然か、必然か、まだ誰も知らない。
コツっコツっコツっコツっ
あまり長くない灰色の廊下に1つの足跡だけが響く。その足跡を響かしている少年は、だんだんと近づいてくる図書室にひそかに心を躍らせていた。
(図書室・・・。やっといける俺の楽園に!!)
少年の目は、図書室という無機質な文字で書いてあるプレートをうつしていた。
ガラガラと音のする扉を嬉しく感じながら、ゆっくりとかみしめながら横に扉を動かした。
「失礼しまーす。」
返事はない。先生はいないのだろうか。まぁどっちにしろそのほうが好都合だ。
少年は、ほっと息をついた。
「ふふふ~ン♪ふっンふふ~」
自分でもよくわからない鼻歌を歌いながら、室内を物色していた。特に、目当ての本もなく何となく見ていた。奥のほうまで行くとそこには、本棚にもたれかかって一心不乱に本を読んでいる女子生徒がいた。
あまりにも集中して読んでいたため、少年はそーっとその場をさろうとした。
カタッ
(ああぁぁ~~!!やっってしまった・・・。)
そう。運悪く少年は足を近くにあった本棚にぶつけてしまった。
そして、思ったとおり。女子生徒はこちらをじっと見ていた。