27 びふぉー・あふたー再び
「全員正座!」
オッサンは怒っていた。
しかし神サマズはオッサンの怒りが理解できていないようだ。神というのはドイツもコイツも加減というものを知らないのだろうか。
「SEIZAって何?」
おっと、言葉の問題だったか。
「さあな。だが、人間の軍隊では兵士を並べさせて戦うことがある。そのことじゃねえか?」
お、脳筋惜しい。それは『全員整列』だ。
まあいい。意味も知らぬ者どもに無理やりさせてもオッサンの気持ちは伝わらないだろう。乗っかろう。
「まあ、そんな意味だ。こちらに来てセーラのステータスを見ろ」
創造神の爺さんがセーラのステータスを他人にも見えるようにしてくれている。神サマズはぞろぞろとその前に集まった。図らずも全員整列の形で。
「何だこれは? こんな一般人がいると思っているのか?」
オッサン、もう神サマに対して遠慮も会釈もない。ズバッと突っ込ませてもらおう。
・・・・・・
名前:セーラ・ハンムラ
人種:ヒューマン
職業:なし
年齢:10
性別:女
レベル1
HP:10 MP:20
力:10
素早さ:10
器用さ:10
知力:10
運:777
スキル
剣術Ⅴ 格闘術Ⅴ 神聖魔法Ⅴ 精霊魔法Ⅴ 結界魔法Ⅴ
ユニークスキル
武術の才能 魔術の才能
称号
タケシの娘 管理神の*
加護
創造神の加護 森の神の加護 魔法の神の加護 竜の神の加護 獣の神の加護 海の神の加護 雷の神の加護
・・・・・・
これがセーラちゃんのステータスだが、名前、人種、性別は問題なし。職業なしは子供だから構わないのか? 年齢が十歳なのは見た目で爺さんが決めたのだとしてもオッサン的には問題がない。オッサンとの年齢差32歳、よくある。
レベル1というのも子供だから当然。ステータス値も『運』を除いて平均的だ。MPが20というのは、オッサンには判断が付かない。ということで問題なし。
で、だ。『運』が777って、高すぎないか? あ、確かシャルさんも777だった。前例があるからいいのか? しかし、王様と一緒だぞ? 要チェックだな。
問題は次からだ。
何このスキル! オール5って! 10才の子供だぞ! 剣術に格闘術? 脳筋の仕業か? 精霊魔法はチビ妖精が仕込んだのだろうが、『神聖魔法』! 宗教嫌いのオッサンから言わせてもらえば厄介ごとの種にしかならねえよ! ウチの大事なセーラちゃんが『聖女』なんてモノに祀り上げられたりなんかしたら、オッサンはその組織を壊滅させる自信があるね!
ユニークスキルまであるよ! おそらくオッサンのステータスを見た創造神の爺さんが気を利かせて似たようなスキルを創ったんだろうケド、神サマがそんなことしていいのか? 確かにシュレは適当だけど。
称号! わざわざオッサンの名前を出さなくていいから! あと何? また『管理神の~』がある。なに? シリーズなの? 読めないし。
最後の最後に一番のツッコミどころ、加護!
確かにオッサンは『加護』がほしいって言ったよ!
でもそれは、一般の人と同じように『創造神の加護』がほしいって言っただけじゃん!
なんでこの世界の神サマ、八柱の内七柱の加護が付いてんの! こんな奇特な人間他にいるのか! シャルさんだって一つだけだったし。
もうウチのセーラちゃんチートだよ! 勇者も魔王もドンと来いのチートだよ!
「何か反論はあるか?」
整列した神サマズ、スッと目線を逸らした。
「爺さん、もっと真面目にやれ」
「た、タケシよ。皆も我が孫を思ってのことじゃ。そう怒るでない」
このジジイ調子に乗って『我が孫』だと!
「迷惑だと言っているんだ。すぐに直せ」
「そ、そうじゃ。『隠微』のスキルで隠すのはどうじゃ? お主も使っておるじゃろ? 所々が見えんぞ」
ちっ。オッサンも考えてたが、他人から言われるとムカつく。
「だが、相手が『隠微』の効果を打ち消すスキルを持っている場合だってあるだろう。そんな危険を冒したくはない」
「大丈夫じゃ。これでも『創造神』じゃぞ。管理神様以外に見抜ける者なぞおらん」
そういえばそうか。だが爺さんを見ているとどうもピンと来ない。
「……じゃあ、ウチの子に免じて『加護』だけはもらってやる。爺さんのを除いて隠してくれ」
なんと上から目線。だが、オッサンの言葉に神サマズはホッとしていた。
「あとはな、スキルを何とかしろ。レベルが五ってやりすぎだ。教育によくない。せめて一にしておけ。それから『神聖魔法』は要らない」
「な、何故じゃ! アレはワシともいつでも話せる便利なスキルで……」
このジジイ! そんな理由でかよ!
「あのなあ。そんなスキルを持っているのがバレたら面倒だろ」
「……お主は神が嫌いなのか? 管理神様の御使いのくせに……」
「誰が御遣いだ! まあ、いい。神っつーか、宗教が、だな。俺のいた世界でもそうだったが、宗教にドハマリしているやつらは危ないぞ。狂人並みだ。ゾンビみたいな連中だよ。権力を持ってる分だけタチが悪いかも知れん。あんなのに関わりたくもないし、うちの子も関わらせたくない」
「そ、そうか……ワシらが積極的に指導しているわけじゃないからのう。そういえば、『ちきゅう』の人間のイメージじゃったか。宗教にも反映されておるようじゃの。これはワシらも今後よく考えねばならんな」
そうか。そういう考え方もできるか。日本のオタクどもの宗教観。たぶんオッサンと同じだ。
というワケで、神サマズにも納得してもらい、改めてセーラちゃんのステータスが決まった。
ドン!
・・・・・・
名前:セーラ・ハンムラ
人種:ヒューマン
職業:なし
年齢:10
性別:女
レベル1
HP:10 MP:20
力:10
素早さ:10
器用さ:10
知力:10
運:77(#777)
スキル
剣術Ⅰ 格闘術Ⅰ 精霊魔法Ⅰ 結界魔法Ⅰ
ユニークスキル
武術の才能 魔術の才能
称号
#タケシの娘 #管理神の*
加護
創造神の加護 #森の神の加護 #魔法の神の加護 #竜の神の加護 #獣の神の加護 #海の神の加護 #雷の神の加護
・・・・・・
#マークは隠微の印だ。ほぼオッサンの要求どおりになっている。『運』も隠微で77に見えるようにしてもらう。これぐらいなら平気だろう。ユニークスキルは持っている人は持っているものらしく、『これぐらいはいいではないか』と爺さんがうるさかったのでそのまま。才能だけ、というなら、伸ばすも伸ばさないも本人の努力次第。教育上は問題ないだろう。
あと、オッサンの推測どおり、称号は神サマズの仕業ではないそうなので消すこともできず隠微だけになったが、シュレめ、あとで説教だ。*が気になる。
では、満を持してオッサンの番だな。
「う~む。お主、隠微だらけじゃが、本当にワシの加護が必要か?」
「何を今更! 大丈夫だって、ドンと来い、だ!」
「まあ、やってみるが、無理だった時は管理神様に頼むのじゃぞ?」
冗談ではない。シュレに頼んだらまた御無体なクエストが発生してしまう。
「わかってる。大丈夫だ。自信を持て」
「……では行くぞ」
爺さんの手が光った。
《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》《レベルがアップしました》・・・・・・
「ぐわーっ!」
「パパ! どうしたの?」
天使がオッサンに話しかけてきた気がするが、オッサンはそれどころではなかった。
頭の中でガンガンレベルアップのコールが鳴り響いている。
しばらくしてやっと収まった。
「ふう……なあ、爺さん。コッチの世界って、レベルアップすると頭の中で《レベルアップしました》ってアナウンスが流れるのか?」
ゲームではよくあることだ。だが、一応聞いてみる。
「何じゃそれは?」
「シュレえーっ!」
オッサンはすぐさまケータイを取り出すのだった。




