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22 会議というよりはファンクラブの集い?

 


「私は宇宙の意思。全宇宙、現在過去未来を司る全知全能の存在。『管理神』と呼ぶことを許します」


 キレーな金髪のおねーさんが偉そうにのたまっている。このおねーさん、実はシュレなんです。オッサンの心の内では『信じられない』というオーソドックスな感想から『語尾に余計なモンが付いてない』というどうでもいいツッコミに至るまで様々な思考が駆け巡った。


 だが、相手はマジモンの神。『いつもの態度は演技だ』と言われたらそれはそれで信じるしかない。或いは『こちらはお出かけ用のアバターなのじゃ』とか言って今も白い空間でゲーム機のコントローラーをピコピコさせて操っているのかもしれない。

『真実を見抜く眼』なんていうスキルを持ち合わせていないただのオッサンは黙って成り行きに任せるしかないだろう。


 しかし、神サマズ土下座しっぱなしなのだが、いいんだろうか?


「面を上げよ」


 偉そうなセリフ第二弾。

 時代錯誤も甚だしいが、異世界である上ここは神様が住んでる『神域』らしいので何が正解か見当も付かない。

 オッサンに抱えられている幼女ちゃんなんか何が起きているのかわからず目をパチクリさせているぞ。


 シュレの指示があったものの中々顔を上げない神サマズ。

 本当に何が起こっているのだろうか?


 こんな時は……教えて! アカシックさん!


 あーはいはい。なるほどなるほど。


 なんて、実はさっぱりだ。『神気』がどうのこうのと言われても、こちとら人間の身、理解不能だ。だが納得はできる。不思議パワーでいいだろう。

 日本人なら同じ思いだろうが、異世界転移の経験がなくとも『神様』のインフレが酷い。元々八百万いるのに加え、異世界モノ小説がスタンピートで『神様』の価値が大暴落、どこのブラックマンデーなのか或いはバブル崩壊か○ーマンショックか。

 だがら、そんな『神様』もピンキリ。

 キリがピンに出会ったらこうなるか。


 あれ? そうするともう一つ疑問が。

 神でないオッサンはともかく、『邪神』であろう幼女ちゃんに影響がないのは何故? 

 まさかこの子も『ピン』の部類?


 あーなるほど。結界か。

 考えてみりゃ単純な話だ。アカシックさん謹製の結界、『神気』の波動すらカットします。これで紫外線も放射能も怖くないな。スゲー。


 細かい理屈は置いといて状況がわかったところでアカシックさん経由でシュレに指示を出す。オッサンにバチが当たりそうな言い方だがいつまでも神サマズの土下座シーンを眺めているわけにはいかない。


 おお。神サマズが一斉に顔を上げた。『神気』とやらの威力を抑えたのだろう。オッサンの目にはわからんが。


「私の提案を受け入れてもらえたようで幸いです。詳しい説明をしますから、皆さん席に着いてください」


 オッサンにとっては違和感を感じるシュレの口調だが、『神気』でビビらされた神サマズは土下座状態から飛び上がるようにして立ち上がり、一目散に元の席に戻った。

 お、創造神の爺さん、自分の隣に新たに椅子を創り出した。いい仕事いてますねえ~。見るからに豪華な、円卓だけど一発で上座ってわかる大きさだ。上座って言うか『神座』?


 オッサンぼうっと眺めていたが、不意にシュレがオッサンを顧みる。


 ん? オッサンも参加しないといけないワケ? これからは神様たちの話し合いだろ?

 あ、『邪神』幼女ちゃんも参加させないといけないのかな?


「あー……一人でお座りできるかな?」


「パパは?」


「パパっていうか、おじさんはお出かけしないといけないから……」


「いっしょにいく!」


「いや、それはどうかな~」


 あ! シュレのやつ笑ってやがる! 神サマズはもう座っていてこっちを向いているシュレの顔は見えていないことをいいことにニヤニヤとしやがって!

 ん? 電話だ。

 誰から……って、シュレからかよ! 目の前にいるんなら直接話せや!


 だが、場の雰囲気を考えて私は電話に出た。


『良いではないか。このまま参加しろ、ピョン』


 目の前のシュレ(おねーさんバージョン)は口も開いていないがケータイからはシュレの声が聞こえてくるという不条理。


「冗談じゃない。俺の役目はお前が来た時点で終わりだろ? そういう条件で引き受けたんじゃないか」


 ちなみに、抱えている幼女に内容を聞かれないように首から上だけ『防音結界』を張っています。幼女からはオッサンが口をパクパクさせているようにしか見えないだろう。アカシックさんとなら脳内会話できるんだけど、まあ、無意味にシュレにオッサンの考えていることが伝わるのは御免なので、少し不便でも構わないのだ。


『正論じゃが、そんなに慌てなくとも良いではないかニャン。娘に嫌われる、ぞよ?』


「うるせえ! そもそも『パパ』って何だよ! お前の仕込みだろ! 責任取れよな!」


『せ、責任……し、仕方ないのじゃ、責任とってお嫁さんに……』


「あーハイハイ。お約束はいいから、真面目に何とかしろよ。冗談抜きで俺はここに住むわけじゃないんだから」


『む、また軽く流しおって……まあ、よいわ、なの。しかしの、ではお主はどうしたいんじゃピョン?』


「どうって……」


『その娘を見捨てて逃げ出すのかの、だっちゃ?』


「人聞きの悪い言い方するな! お前面白がってるだけだろ!」


『否定はせぬが、実際ここまで懐いていて、しかも身寄りがないときてる。見捨てるのは男としてどうかのう?』


 ぐぬぬぬ……シュレめ、言いたい放題言いやがる。


『ま、そのことも含めて詳しく説明してやるから、話だけは聞いておけ、なの』


 オッサンが言葉に詰まるとシュレが譲歩してきた。いや、譲歩じゃないな。また一歩深みに嵌ることになるだろう。それを回避するにはシュレの言うとおり逃げ出すしかないが……


 あかん! 

 抱えている邪神幼女がスッゴク不安そうにオッサンを見ている。

 そうか~。ケータイで話している間は『高速思考』と違って結構時間がかかってるからな。その間声も聞こえず放って置かれた気分なんだろう。


「……わかった。話だけは聞いてやる」


 ということで、オッサンの会議参加が決まった。ホントもうやることはないんだけどなあ。


「お待たせしました」


 シュレが用意された豪華な椅子に座ると、何故か神サマズ全員が立ち上がりシュレに頭を下げる。

 土下座じゃないだけマシだが、全員90度は腰が曲がってるぞ。まだ『神気』とやらが影響しているのか?


 オッサンは幼女を抱え席に着きながらシュレに目配せする。

 脳内通信ではないが、意味は通じたらしく再びシュレの指示で神サマズが座りなおした。ふう、どうせならさっさと終わらせてくれよ。


「では、問題となっている『世界の成り立ち』と『システム』について説明します……わかりましたか?」


 は?

 やっと説明会が始まったのはいいが、説明はどこに行った?


 オッサンがワケがわからず、シュレに抗議しようとしたところ、


「何ということじゃ! やはりワシは『創造神』などではなかったのか!」


 え? 何?


「これは驚きました。まさか異世界の人間の妄想から自分が生まれたとは……」


 え? え? 何? 核心突いてるよ?


「これが事実なら、イズミがああなってしまったのも頷ける……」


 え? え? え? 何納得してるの? なんか納得できる材料あった?


 神サマズの中で理性的な方に傾いているメンバー、創造神、魔神、竜神の三人が顔を顰めながらも何か納得していた。

 他のメンバー、森の神、海の神、雷の神は『へー、そうなんだ』という表情である。メンタル強いね。

 残り、脳筋代表の獣神は『だからどうした』と言わんばかりに憮然としていた。戦えればいいワケ? もう『戦神』でいいじゃん。あ、兼任かな?


 それよりも不思議なのは、こうなったプロセスである。説明してないよね?


 あ、アカシックさん。

 はあ、圧縮ファイル、みたいなモノ。直接神サマズの頭の中にインストール、即時解凍。はあ、そうですか……って、怖ええ! シュレ、時々『洗脳』とか言ってるけど、マジ洗脳できんじゃん! しかも神様相手に!


 しかし……

 やっぱりシュレが最初からやってれば速攻で終わってたじゃん! オッサン苦労する必要全然ないじゃん!


 オッサンは幼女を抱えたまま、この世の理不尽さを痛感していた。


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