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17 会議は踊る

 


「創造神様! 何故こんな人間の言うことに従うんだ!」


 こんな人間とは失礼な。


 色々問題があったがやっとこの世界の神サマたちを交渉のテーブルに着かせることができた。さあ始めるぞと思ったら、第一声がこれだった。まだ交渉のお膳立てができていないようだ。シュレに娯楽を提供することになるが仕方がない。効率も考えて少しコイツらにストレスを発散させてやるか。結界も一人一人の周りに内緒で張ってあるし。


 ファイッ!


「アニマよ。これはワシとタケシ殿との約束じゃ。創造神として違えるわけにはいかん」


 爺さん道理を説く。だが、納得してもらえない模様。


「しかしだな!」


「それに、どうしても話を聞かねばならぬ。そんな予感がするのじゃ」


「わ、私もそう思います」


 おや、イズミちゃん、意外。


「なに? 世界をぶっ壊そうとして、創造神様を騙し討ちにしたお前が?」


 あれ、バレテルヨ?


「そ、それはっ! だ、だからこそ聞かないといけないのです! 私が疑問に思っていたことが明らかになるかもしれないのですから」


「その通りじゃ。始めはイズミの言っとることが妄言としか思えなかったのじゃが、こうなってくると確かにこの世界に異変が起こっておると判断せざるを得ん。ワシの知らぬ邪神の存在。神をも凌ぐ人間の出現。情けない話じゃがどうすればよいか見当もつかぬ」


 あれ? オッサンってそんなに脅威度高い? 邪神と同じレベル?

 思わず邪神幼女の頭を撫でてしまう。


「パパ?」


「なんでもないよ~。大人しくしてていい子だね~」


「うん♪」


 言えね~。『オッサンはパパじゃない』って言えねえ~。あ~、クエスト遂行以上に難問を抱えてしまった予感……

 だが、こんな幼い子供に罪はあるまい。できるだけやさしく接してあげよう。あ、何か飲み物でも出すか。フランシスカの王都で仕入れた謎のジュース。


「パパ、これなに?」


「さあ? 何だろうね? でもおいしかったよ。飲んでごらん?」


「うん……おいしい! パパ、おいしいよ!」


「そうか。よかったな。まだいっぱいあるから好きなだけ飲みなさい」


「うん!」


 あ~ええ子や~。こんないい子を邪悪だって責めるとは、許せん。アカシックさんの言ったとおりだ。でもアカシックさん、『いい人』じゃなくて『いい子』じゃないですか。シュレじゃないんだから情報は的確にですね……


 おっと、何故かホンワカしてしまった。

 神々の討論はまだ続いているようだ。君達、早く結論出してね。


「だ、だが、それは全部この人間の仕業ってことだろ! 異世界の神かなんか知らんが、この世界を征服しようとしてるんじゃねえか?」


 お。ライオン丸君、なかなかの想像力だね。日本に来ても十分やっていけそうだよ。そうだねえ、実はオッサンも交渉時にそんな誤解をされることを心配していたんだよ。これってどう考えても内政干渉みたいなもんだからなあ。


「仮にだね」


 おや、今度は魔神さんが会話に加わった。


「仮にキミの想像どおりだとしても、向こうの話は聞かないと対策も取れないんじゃないのかな? せっかく向こうから話があると言ってきているんだから」


 ふむ。信用はしていないが、だからこその情報収集か。見た目は怪しいが冷静だな。


「知るか! やられたらやり返せばいいだけだ!」


 見た目どおりの脳筋だ。これで神サマ? いや、会ったことないけど、地球の神サマも大概だからなあ。これがデフォルトか?


「先に手を出したのはキミじゃないか。幸い彼はやり返さなかったみたいだけど。キミ、運がいいね」


「なにいっ! 俺が負けるとでもいうのか!」


「知らないよ。彼は全く攻撃してないんだから判断できないね。防御方面なら……少なくともキミには手も足も出ないんじゃない?」


「なんだと!」


 あの、あまり煽らないでください。ライオン丸のオッサンを見る目が捕食者のアレです。


「ハッハッハ! じゃあ、吾輩の雷も通じないか!」


 吾輩って、キャラ濃いな。見た目もだけど。あ、インド人ってインドラの矢と掛けてんのか?


「ふむ。その者の実力、見たいものだ……」


 イケメン道士、渋いな。オッサンもそのキャラになりたい。


「あ、あります」


 は? イズミちゃん、何言ってるの?

 わ、円卓上方に謎の球体出現。ナニこれ?


「少し前の映像です」


 スゲー! 空間に立体映像が現れた! この魔法? 覚えたい! 


 あ、オッサンだ。これって、このお城の大門の前じゃないか? 天使人形との死闘? が神々の知るところに!


「何だと! 一歩も動かず天使を返り討ちだと!」


 いや、一歩ぐらい動いた気がするが……あー、そういう問題ではないですか。


「あの天使って……」


「はい……私の最上級護衛……でした……もう、私には何の力もありません……」


 え? イズミちゃん、それって初耳だよ! 


「道理でお嬢さんが大人しくしているわけだ。納得だよ」


「異世界人コワー!」


 魔神が変な納得するな! チビも! オッサンは怖くないぞ!


「ふむ……昨日、私の下級眷属竜がこの近くの海域で死んだらしいのだが……」


 イケメン竜、意味ありげにオッサンを見る。オッサン、サッと目を逸らしましたよ。身に覚えがありすぎる! ごめんね、シードラゴンさん! その代金は後でちゃんと竜神様に渡しておくから!


「ほほう。それでわかった。昨日津波が起こりそうだったので鎮めるのに苦労したぞ」


 TUNAMIって、海神サマ! いきなりの発言の上かなり物騒な内容じゃないですか!


 海神サマの発言の後、何故か場が静まり返る。神々の視線がオッサンに集まった。やめて! 邪神幼女が怯えてる!


「……えー、皆さんのお話も一段落したようですし、改めて交渉の方に移らせていただきます。よろしいですか?」


 一応言ってみた。


「……タケシよ、お主、この世界を滅ぼしに来たのか?」


「誤解だ!」


 ダメでした。誤魔化せませんでした。


 この後、オッサンは震える幼女の背中を摩りつつ、必死で誤解を解こうとしました。


 フランシスカ王国の勇者召喚に始まり、シュレとの出会い、チート能力のこと、そして女神クエストを受けここに来たこと。勇者召喚に関しては、大元にイズミちゃんの策謀があるので、ある程度オッサンの存在自体は信用してもらえたようだ。


 ここに来る途中、結界の耐久実験で不幸な人身事故が起きたことも正直に話し、竜神様には正式に謝罪しました。シードラゴン君の遺体を売却してしまった代金も差し出したのだが、それは受け取ってもらえなかった。冒険者としてなら当然の行為だとオッサンの謝罪を受け入れてくれたのだ。く~っ、どこまでイケメンなんだ!

 あと、津波の発生を抑えてもらったことについて海神様に感謝の言葉を述べて終了。


 天使人形に関しては正当防衛であることを認められたのでOK。なのだが、気まずいので後でシュレに修理してもらおう。たぶんできる。またおかしな条件が付くかもしれないが。


 ふう……やれやれ。どうにか誤解は解けたようだ。

 今度こそ交渉を始めないと。


「それでは……一件落着!」


 ヤベッ! 思わず本音が出ちまった!






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