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15 もうひと○いる!

 


 創造神、割と使えない爺さんでした。いやいや、敬老精神がどうのこうのじゃなくてね、シュレとかアカシックさんと比べてって話ですよ。

 そんなわけで、神サマズの召喚はオッサンがすることにしました。イズミちゃんも文句なさそうだし。


「じゃあ、まずは一人呼んでみる。残りの中で一番話がわかりやすいのは誰だ?」


「森の神じゃな。『慈愛』も司っておる」


 ああ、少ないと思ったら兼任なのね。ところで『司る』って具体的に何するんだろ? 本題が順調に解決したら聞いてみよう。


「わかった。呼ぶから、説明は任せた」


「うむ」


「召喚! 森の神フリッカ!」


 オッサンが適当に名前を呼ぶと、目の前の空間が光りだす。


「お、お父様、呪文も魔法陣もなしでどうして神を召喚できるのでしょうか……」


「イズミよ。知識を司るお主にわからぬものをワシにどうしろと?」


 おい、そこの親子、人をUMAみたいに言うな。って、ちっさ!


「え? どうして? え? 創造神様? イズミ?」


 光の中から現れたのは手のひらサイズの女の子でした。蝶みたいな羽が付いてるから妖精? これが神サマ?


「よく来てくれた、フリッカ」


「来たって、ここどこ! 森は!」


 妖精がブンブン飛び回ってる。パニクってるな。妖精らしいともいえるが、神的にどうなんだろ? あ、爺さんが説得にかかったようだ。イズミちゃんも渋々と話を合わせている。


「ふ~ん、あなた、異世界人? 私の眷属になる? それとも下僕がいい?」


 話がわかると言うのは本当らしい。結構あっさりと状況に納得したようだ。だが、妖精らしさもテンプレートらしい。『慈愛』はどこに行った!


「爺さん、次は二人やってみる。誰がいい?」


「ちょっと! 無視しないでよ!」


 妖精がオッサンの頭に飛びつくが無視だ。おい! 髪を引っ張るな! まだ大丈夫だが心配な年頃なんだよ!


 爺さんの判断に従い次に話がわかりやすそうな神サマを選ぶ。同時に二人だが失敗しそうなイメージは見えない。なんたってアカシックさんがついてるからな。


「召喚! 竜の神! 雷の神!」


 また空間が光ってあっさりと召喚に成功。どわーっ! 竜だ! 部屋の中にデカくて長い竜が現れた! 知ってたけど、神サマなんだから人型かと思ってた。ついでか知らんが放電現象も起こってる。ここ部屋の中だよ! 爺さん! 早く説明プリーズ!


「ほう……異世界人……我が東方領域の人間に似ているが、神眼が通じないとは面白い」


 爺さんの説明を受けた竜さんがオッサンに興味を持ったらしい。近い近い! 食べないで!


「はっはっは。セイリュウよ。おんしも人型になれ。狭っ苦しくていかん」


 いつの間にか甲冑姿の色黒の男が目の前に立っていた。額に赤い点。インド人? 鎧がバチバチ放電しているから雷神なのだろう。危ないから近づくんじゃない!


 竜さん、雷神の勧めで人型に。うむ、道服のイケメン? 中国辺りが管轄か? 確かにドラゴンと言うよりはシェンロンって感じだからな。七つのボールがあるのだろうか?

 それも気になるし、妖精よりはまともそうだから軽く挨拶をしておいた。そしたらまた妖精に髪を引っ張られたがな。


 そんなことよりさっさとクエスト終わらせたい。


「じゃあ、残り三人呼ぶぞ。説明は任せた」


 オッサンの要請に、その場の五柱の神サマたちは頷く。なにこの状況。今更ながらカオスだ。


「召喚! 海の神! 獣の神! 魔法の神!」


 光って、ハイ、成功。今度はそれほどの大物はない。トーガを纏った巨漢。ライオン丸。黒ローブの怪人。突っ込みどころ満載だがこれで神サマ全員集合だ。後は爺さんたちが何とか説得すればオッサンが交渉を始められる。


 しかし、先ほどよりも説得が難航しているようだ。

 鬣フサフサのライオンヘッドの、たぶん獣神と如何にも魔法使いらしい魔神サマ、特にこの二人が不満を述べている。鉾先はイズミちゃんらしい。どうやら魔族との戦争と亜人差別について抗議しているようだ。


 オッサンは、あ~やっぱり。という感想しかない。


 創造神の爺さん、閉じ込められた被害者のはずだが、娘を庇う形で残りの三人を説得している。娘ねえ。『創造神』なんだから相対的にすべてが息子・娘じゃないのか? 娘とハッキリと区別しているってことは爺さんに奥さんがいて遺伝子的に血の繋がった存在ということだろうか。じゃあ、奥さんは? 何気に他人の家族関係が気になるなあ。


 まあ、とりあえずオッサン的にはここにコッチの神サマ全員が集まっているのだから細かいことは放っておいてもいいだろう。彼らが不和のままだったとしてもクエストには関係がない。


 ん? 全員? 前にアカシックさんに聞いたとき……あ、思い出した。


「なあ、『邪神』は呼ばなくていいのか?」


 オッサン、つい聞いてしまった。


 ギャーギャー騒いでいた空気がピタッと静かになる。

 あれ? オッサンおかしなこと言ったか?


「タケシよ。『邪神』とは何じゃ? 言葉からして禍々しいのじゃが」


「え? この世界、邪神いないのか? おかしいな……」


 爺さんに惚けられた? いや、そんな感じではない。


「異世界人、何言ってるの? あ、もしかしてこの『魔法の神』と間違えてんじゃない? 見た目邪悪だからね」


「フリッカ君、このセンスの良さがわからないとは見た目どおり虫のような頭だね」


「なにいっ! この根暗!」


 新たな神々の戦争が起こりそうだ。


「待て。確認してみる。お前ら静かにしてろ」


 オッサン、神に対して遠慮も何もなくなった。いやいや。交渉は強気でいかないと。

 神サマよりチートなスーパーウルトラアトミックガラケーを取り出し、騒動の根源に連絡を入れる。オッサンの無礼な態度は、神サマでも見たことがない魔道具、いや、既に『神器』のレベルにある物体に釘付けになり有耶無耶になったようだ。


『ブフッ! た、タケシ、笑わせすぎ……』


 失礼なヤツだ。開口一番これか。まあ、今回はオッサンが笑われているわけではないのは、神サマズを見ていて何となくわかるから華麗にスルーする。


「で、『邪神』は別にいるのか? アカシックさんから聞いた気がするんだが」


『ああ、おるポヨ』


「呼んだほうがいいのか?」


『クックック。当然じゃ、なの』


 何だ? そのわざとらしい笑い方は。何か嫌な予感がする。

 だが、神サマを全員集めなければならないのはクエスト上必須。


 どうする? ささやかな抵抗をしてみる。


「創造神の爺さんは知らないようだし、今回は見送って別の機会に交渉をってのは?」


『ダメじゃ』


 くっ、逃げられなかった。

『邪神』本人についてはそれほど心配していない。アカシックさんが『いいヒト』発言をしたからだ。だが、ここには他の神サマが勢ぞろいしている。何かしら問題が起こるだろう。きっとシュレはその問題を面白おかしく鑑賞したいに違いない。なんてヤツだ。アイツこそ邪神じゃないのか?


『そなた、何か失礼なことを考えているJARO』


「当たり前だ! お前、隠す気もないだろ!」


『失礼だピョン』


「くそ! 呼ぶぞ! 呼んでやる! 責任はお前が取れよ!」


 やけくそになったオッサンはシュレの返事を聞く前にケータイを切った。さっさと済ませたい気持ちが勝ったということか。


「ということで、『邪神』はいるらしい」


 結界なしで神サマズの目の前で電話していたから大体の話は聞こえていただろう。更にオッサンからハッキリと聞かされた神サマズの反応はまちまちだった。


 爺さんは口をあんぐりさせ、チビ妖精はパニクって飛び回り、竜神、魔神は我関せずのクールな態度。海神、雷神、獣神の見た目武闘派は不敵に笑っている。中でもイズミちゃんは強烈だった。


「邪神! それが世界の異変の元凶なのですね!」


 たぶん、頭が良過ぎて空回りしてしまうタイプなんだと思う。


「まあ、落ち着け。今から呼ぶが、話し合いが終わるまで攻撃なんかするなよ。ウチの神サマからの指示なんだから」


「おい! さっきから聞いていれば人間風情が大きな顔して仕切ってるんじゃねえぞ!」


 この流れのまま行きたかったが、ついにというかやっぱりというか、神サマからオッサンにクレームが入った。それも武闘派丸出しの獣神から。よくここまで持ったものだ。神サマだから人間嫌いというわけではないだろう。単にオッサンの態度が悪かっただけ。オッサン自身も自覚はある。


 だが、今更下手に出れるほど器用でもないし、態度をコロコロ変えるのは逆に軽薄じゃないかと思うくらいの矜持もある。だからこのまま行こう。


「悪かった。だが、俺に対する叱責もウチの神サマとの交渉が終わるまで待ってくれ。謝罪もしよう」


 獣の神がまだ何か言いたそうだったが、爺さんがそれを止めて、オッサンにある確認をしてくる。


「タケシよ。邪神なる存在がこの世界にいるというのは信じられんが、お主という人にあらざる力を持った存在を知ってしまった以上信じざるを得ん。それはよい。じゃが、邪悪なる存在をここに呼ぶとは、危険ではないのか? いくら異世界の神の要請じゃからといって」


「安全は保証する。ウチの神サマの名に懸けてな」


 ああ、そうとも。アカシックさんのお墨付きがある。オッサンは無条件で信じるぞ。シュレはちょっと……


「……わかった。じゃが、もし不穏な動きをしたらワシら総出で事に当たるぞ」


「わかっている。一応結界を張って、その中で呼ぶから」


「結界……天使でも敗れない、信じられない……」


 おや? イズミちゃん、何かトラウマ? まあ、いいだろう。これで本当に最後の召喚だ。


「召喚! 邪神!」


 オッサンの目の前の空間が光り出す。

 言葉だけ聞くと、オッサンがタチの悪いカルト教団みたいだな。


 おっと、現れた。

 おや? 思ったより小さい。チビ妖精ほど極端ではないが、シュレと同じくらいの体格だ。

 ロングの黒髪? ゴスロリ?


「パパ!」


 女の子、キョロキョロしていたと思ったら、呆然としているオッサンに抱きついてきた。


 えっ? 何が起こってるの?



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