14 8●だよ! 全員集合!
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『知性の神』のイズミちゃん。
『設定』上の年齢は知らないけれど、シュレによるとこの世界・アーシアヌはできたばかり。『ばかり』が神サマ視点でどのくらいか定かでないが、シュレの存在確定の件から見ても長くて一年、短ければ十数日ではないかと考えられる。
どちらにしろ、確かに生まれたばかりだ。
だが、決して赤ん坊というわけではない。
『設定』によって最高の『知性』が与えられ、ニセモノとはいえ長年の神としての経験も蓄えられているはずだ。
オッサンはただの人間である。シュレやアカシックさんが何を考えてか世界の発生について教えてくれたが多分半分も理解できていないだろう。その中でオッサンなりに解釈したことは、『世界は生まれた瞬間から現実になる』ということである。
現実になった以上、それが誰かの妄想や思惑が原因だったとしても、もう影響を及ぼすことはないだろう。シュレのちょっかいは除くが。
そして『設定』も現実化する。
たぶん、この『設定』が一番の問題じゃないかと思う。
聡明なイズミちゃんは『現実』と『設定』の矛盾というか出鱈目なところに気が付いたのではないだろうか。そりゃそうだ。夢でないとわかっていれば『ありえない』とか『何で?』とか疑問に感じるだろう。
勿論、それは私が異世界人だから顕著に感じることなのだが、どういうきっかけかわからないがイズミちゃんも感じたのだろう。
だから、こちらでは『システム』と呼ぶ『設定』を打ち壊し、すべて最初からやり直そうとでも考えたのではないだろうか。どんな方法でかはあまり聞きたいとは思わないけれど。
一度腹を割って話し合いをしたほうがいいのではないかという思いもある。
ほら、よく物語でお互いが隠し事していてお互い見当違いのことを勝手に思い込んでなかなかストーリーが進まないって展開があるだろう? 一言話せば、ちょっと聞き直せば簡単に解決する問題だと言うのに神がかったように会話に邪魔が入り誤解がそのままのパターン。見ててもどかしい。
イズミちゃん、爺さんを閉じ込めたくらい何か心に抱えているものがありそうだ。吐き出させればすんなり解決するルートもありえる。
だが、オッサンはこの選択はしない! 誤解上等!
だって、相手は仮にも神サマだよ。一般人が根掘り葉掘り聞いちゃマズイでしょ。それに、どうせ最後はシュレが何とかする。うん。
そんなイズミちゃんがオッサンに『世界の異変』にシュレが関わっているのか、という質問を投げかけてきた。
『世界の異変』とはおそらく『現実』と『設定』の齟齬のことだろう。
さて、どう答えたものか。
答え方によっては神サマ召集の前にまたぞろ面倒事が起きそうだ。
関わっているか関わっていないかで言えば、言葉どおり『管理神』・『宇宙の意思』としてすべてのことに関わっている。となる。だが、実際はシュレの意図したことではないし、あまつさえシュレ自身が世界の誕生ラッシュの影響を受けた被害者同士でもある。イズミちゃんと話が合いそうなんだけどなあ。
そこまで話すと、じゃあ、実際の原因は何かと言うことになり、『地球の日本のオタクの妄想が原因です』とオッサンが加害者の一部であることまで白状しなければならなくなりそうだ。
いやいや。何も責任逃れしたいわけじゃないよ。オッサンだって異世界に召喚されてシュレから事情を聞くまでは何も知らなかったんだから。正に晴天の霹靂ですよ。それに、世界の摂理を知ってしまった以上、オッサンのいた世界が最近生まれた平行世界じゃないって保証もないわけで、考えれば考えるほどゾッとするわけですよ。地球の歴史も自身の記憶も紛い物ではないかと。
「ちょっと! 聞いていますの?」
おっと、『高速思考』でも足りないくらい悩んでいたか。結局答えは出ないな。
「ああ、スマン。どう答えていいかわからなくてな」
「……それで、教えてくださる?」
「いや。何度も言うようだが、俺はただの人間でメッセンジャーでしかない。悪いが話は交渉が終わった後うちの神サマに聞いてくれ」
「それでは話になりませんわ! ……そちらの神が光臨なさるのですか?」
激昂しかけた女神サマだったが、流石に頭の回転は速く、別の脅威を感じ取ったらしい。
「ああ。交渉と言っているが、俺の役目はウチの神サマの提案というか要求をコッチの世界の神サマたちに伝えることだ。その後爺さんたちがどんな結論を出そうと構わない。というか俺にはどうしようもないだろ? 後はうちの神サマが直接処理するさ。そん時でも改めて聞いてくれ」
「……何もそんな回りくどいことをしなくとも……」
「神サマのすることだ。何かしら意味があるんだろうよ」
ただのゲーム感覚だ、とはとても言えん!
「……わかりました。まずは話を聞くことにしましょう」
「やれやれ。ウチの娘は本当にどうしたのじゃろうなあ」
爺さんが溜息をつく。たぶん爺さんにとっては『世界の異変』よりも『娘の異変』の方が気にかかるのだろう。
「まあ、そこら辺もウチの神サマと会えば理解できるだろ。それより爺さん、神サマの招集を頼む」
「わかっとる。力も戻ったことだし、任せておけ」
そう言って爺さんはムニャムニャ呟き始めた。何か知らんが、ここが異世界でなければ痴○症を疑う光景だ。
「……ダメじゃった……」
諦めるの早いな!
「何がだよ?」
「イズミとの確執が知られている。罠か何かじゃないかと思われているようじゃ」
神サマの癖に随分……いや、差別発言はいかんな。慎重なことはよいことだ。うん。
だが、だからといって神サマの尺度で悠長に構えていてはオッサンの寿命がピンチになるかもしれん。イズミちゃんもいつまた暴走するかもだ。さっさとクエストをこなさないと異世界旅行もできない。
「おいおい。どうにかなんないか?」
「……ワシが直接出向いて身の安全を説くしかなかろうな」
「……時間かかりそうだな……そういえば、神サマってみんなここに住んでるんじゃないのか? 神の国なんだろ?」
「ここはワシ一人じゃ。神はそれぞれ神域を持ってそこを管理しとるのじゃ」
それぞれねえ? 更に時間がかかりそうだ。あれ? 結局コッチの神サマって何人いるんだろ?
「なあ。神サマって、何人? 何柱いるんだ?」
「ワシを含めて八柱じゃな」
八? 少なくない? そりゃ日本みたいに八百万とか言われたら、いちいち交渉して回るのにどんだけ時間がかかるんだよ、と天を仰ぐしかないので、オッサン的には少ないに越したことはないのだが、それにしても少なくないだろうか。
それとも、代表とか上級神が八柱でその他は眷属神とか下級神とかがいるってことなのかな? いそうだな。人形だったけど天使みたいな門番もいたことだし。
まあ、今回の交渉は爺さんが八人と言っているんだから八人でいいのだろう。
「てことは残り六人か……すぐ集まりそうか?」
「無理じゃろう。いくらワシでも移動と説得に時間を取られる」
「『創造神』だろ? ちゃちゃっと召喚魔法かなんかで呼び出せないのか?」
「それこそ無理な話じゃ。いくら創造神だからといって相手もまた神なのじゃぞ。何の代償もなしに召喚なぞ……お主、できたな。何故できるのじゃ?」
「え? 召喚魔法ってそういうもんじゃないのか?」
何故といわれても、たぶんシュレのくれたスキル『魔道の極み』のせいだとしか言えんがな。
「そうですわ! 気が動転して聞くのを忘れていましたが、あなたは一体何者なのですか?」
「何者って、何度も言った通りただの人間だ。力はウチの神サマからの借り物だよ。その話も後で聞いてくれ」
「ふむ。異世界の神の深慮遠謀を感じるの。お主に神々を召喚させようという意図ではないのか?」
何やらシュレの株が急上昇している。深慮遠謀ね。アカシックさんにはお似合いの言葉だが、シュレの場合単なる思い付きでしかないはずなのだがな。
しかし、そのアイディアは良いかもしれない。とりあえず無理やりでもこの場に集めてしまってから説得すればいい。説得は爺さんとイズミちゃんに任せればオッサンの精神的負担も減る。よし、そうするか。
「そうだな。やってみるか。爺さん、神サマたちの名前教えてくれ」
「うむ。『森の神』フリッカ、『海の神』ポードン、『雷の神』ドール、『竜の神』セイリュウ、『獣の神』アニマ、『魔法の神』サッタン。これら六柱じゃ」
ほ~。森、海、雷、竜、獣に魔法ねえ。北欧神話がベースかと思ってたけど、脈絡がないというか管轄が偏っているっていうか、やっぱり少ないねえ。じゃあ、山とか空はどうなってんの? と言いたい。今は仕事が増えそうだから言わないけど。
あれ? 何かもう一つ引っかかるな。何だろ?
タイトル、●は『柱』です。




