33 異世界リゾート・その後《5》
新作・ヘイスが征く!! ~邪神の使徒になってしまった男の苦労譚~
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よろしくお願いします!
突発の異世界リゾートin絶海の孤島は始まりからグダグダだったが、シュレの乱入&暴露がそれに拍車をかけた。
特に頭脳派の、イズミちゃんを除く創造神サマ、竜神サマ、魔神サマのショックは大きくオッサンは説明を求められた。
それ以外? セーラは午後からもリバイアサン、チビ妖精、チビワンコーズを引き連れて遊んでいる。脳筋ムキムキトリオも引き続き酒盛りだ。
お気楽でうらやましい。
で、オッサンらはせっかくのリゾート地で小難しい話をしていた。
オッサンは前置きとして、この世界の誕生と同じで起きてしまったものは覆せない、と説明を始める。情報が少ないのでスーパーケータイでアカシックさんに助けを求めた。うれしいことに、説明相手が一応神サマズだったからなのか、掻い摘んで色々教えてくれた。
バグの肩代わりの影響は、簡単にいうと、地球人の特に日本人の『ファンタジー世界』についてのイメージが強化されるということらしい。
例えば、創造神の爺さんは『好々爺』らしく、脳筋はさらに『脳筋らしく』らしい。
特に『人間らしさ』が強調されるのは、日本のオタクどもの共通のイメージだそうだ。確かにラノベでは『人間臭い神サマ』が多かった。
オッサンが密かに心配した、創造神の爺さんや脳筋どもが何か話すたびに『~だニャン』とか『~だピョン』とか言ってたら恐怖でしかない、という点についてだが、イメージの強化なんだからそれに似合わない言動は付随しない、とのことで安心した。なるほど。確かにシュレのデフォは幼女。あざとらしさはあるが似合わないということはない。
ただ、バグはバグだからオーバーフローすればアカシックさんでも予測がつかないことも起こりうるとも言われた。オタクどもめ……
「そんな感じだ。人格、じゃなくて神格……でもなくて、あれだ、性格な。性格にも多少影響が出てるみたいだが、豹変ってほどじゃないそうだ。それぐらいなら人間だって子供が大人になる時や世間の荒波に揉まれたりしたら性格ぐらい変わるだろうさ。気にするな。気にしすぎるとハゲるぞ?」
「今はまだ神じゃからハゲぬが、結局、管理神様はワシらにどうしろと?」
「いや、知らん。というより、最初から言ってただろ? 自由にしろって。この世界が滅んでもまた似たような世界が生まれるらしいし、マジでどうでもいいんだろうな」
「そんな……」
「いやいや。そこは絶望するんじゃなくて、好き勝手にできるんだからラッキーって思った方が健全じゃないか? シュレも好き勝手やってるんだし」
「いや、しかし……」
「諦めよう。諦めて受け入れてしまえよ。俺はもう諦めたぜ? 人間、諦めが肝心だからな。あ、爺さん人間じゃなかったか。ははは」
「笑いごとではないんじゃがのう……」
結局、神サマたちの中では結論は出なかった。
オッサンの旅に引き続き同行してこの世界の行く末を決めるんだそうだ。
なに? オッサンは単なる買出しと観光が目的なんだよ? そんな大層な御題目、勘弁してくれ。
そんな風に異世界リゾートの一日目は過ぎていった。
夜もバーベキューを行い、夜の海というものを堪能した。特に凡人のオッサンが。魔法の光が正に幻想的だ。セーラは真っ暗な海が少し恐かったようでオッサンに抱きついて離さない。それもいいものだ。
満腹になって就寝。
せっかく創ってもらったのだから今夜は海上コテージにお泊りである。部屋に入っても波の音がうるさいくらいだ。あれ? ロマンはあるけど現実では迷惑?
愛娘のため、ロマンより快適さを取って《防音結界》を張る。疲れたのかセーラたち子供組はあっという間に夢の中。
オッサンもおやすみなさい。
神サマ? 雑魚寝でも神殿に転移でも好きにすればいい。オッサンはツアコンじゃないんだからね!
◇
ぐっ~どっ・も~にんっ! ISEKAI!
早朝FMっぽく決めてみました。
おはようございます。異世界リゾート二日目の朝です。
オッサンは朝からバーベキューの支度です。手の込んだ料理は出来ないので簡単に焼いてサンドイッチにしましょう。
予定では今日はバルハラ観光のつもりでしたが……
「朝からどんよりしてんな……」
天気のことではありません。昨日新たに世界の真実を聞いてしまった爺さんたちがいまだに落ち込んでいるのです。ついでに酒盛りの3人も二日酔いでダウン。神サマのくせに……
「セーラ。今日はどうする? 街の観光と海で遊ぶの、どっちがいい?」
「うみがいい! あのね、あのね! うみのなか、きれいなの!」
昨日の夜も聞いた。誰かが結界を使って海中観光していたらしい。魔法マジ便利。
神サマズが使い物にならないのもあるが、愛娘の意見を優先した結果、予定はいとも簡単に変更された。
まあ、奴隷救出にオッサンたちが現地であれこれする必要は全くないのだ。会ったことはないが、神サマズの眷属たちに頑張ってもらおう。
セーラのお守りは昨日に引き続いてリバイアサンに任せる。
子供たちは早速海に走っていった。
オッサンは、落ち込んでいる創造神の爺さんの尻を叩いてビーチパラソルとビーチチェアを増産させた。絶妙な角度で海を眺められるビーチチェアってリゾート気分があるよね。レジャーシートもいいけど、あれって庶民的っていうか、リゾートというより海水浴って感じだからね。普段はしたことがないけどサングラスも創ってもらった。似合うかどうかはこの際無視して憧れの『レイ○ン』をコピってもらったのだ。
サイドテーブルはオッサンが土魔法で適当に造り、飲み物なんかを並べる。木のコップだがエスニックと言い張ればそう見えてくる不思議よ。
そしてさらに取り出したのが『タバコ』である。
そう、オッサンが旅に出た直接のきっかけだ。
ここまでの道中、フランシスカ、ババロア、ダレンダを通ってきたわけだが、そこの雑貨屋ではタバコこそ売っていたものの品揃えが悪すぎた。値段で上中下の3種類あればいい方なのだ。
たかがタバコを買うために長いことかかったが、昨日バルハラに買出しに行ったとき雑貨屋で発見していたのだ。十種類以上も。まあ、日本のコンビニなんかではそれこそ100種類以上売っていたが、比べるのは酷というものだ。
当然オッサンは全種類買ったね。買占めじゃないよ? お試しのため少量ずつだ。葉巻も売ってたから念のため購入した。でも、葉巻ってマフィアのボスのイメージがあるからなあ。日本人顔のオッサンには似合わないと思う。
紙巻がないのが残念。昔の映画で辞書や聖書を破ってタバコを巻くシーンが印象的だったけど、そもそもこの世界、そのレベルの紙が存在していない。一応パピルス的なものはあるよ? 安かろう悪かろうでメモ程度にしか使われない。ギルドの掲示板とか。契約書や帳簿の類はお約束の羊皮紙。オッサンの翻訳スキルで『羊皮紙』って出るけど、実際は魔物の皮が原料だそうだ。冒険者ギルドや肉屋で解体された後専門業者が加工するらしい。魔物はたくさんいるし、加工が間に合わないくらい供給があるからか値段もそこそこ。和紙チートは難しいかもしれない。
まあ、魔法のある世界だ。事業にならなくとも個人的に開発して自給自足というのも面白いかも知れない。今後のライフワークにしようか。
そんなことをツラツラ考えながら一服した。
「う~ん、マズイ! もう一服!」
オッサンは南国の日差しの中タバコのテイスティングに没頭するのであった。
次話は14日0時の予定です




