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第一話 母さんとの思い出
第一話 母さんとの思い出
「本当、しゅうちゃんはピアノが上手ね。」と母さんはいつもほめてくれた。褒められたいだけに習ったピアノ。母さんは、それを知っていてほめたのだろうか、知らないでほめたのだろうか。どちらにしろ僕は複雑な気持ちだ。正直、ピアノ自体はあまり好きではない。でも母が好きだったから始めたんだ。母さんに喜んでもらいたくてね。ショパン、モーツァルト、シューベルト…、全てに母さんの思い出が詰まっている。
その時、僕は母さんがいなくなってしまう未来を想像できただろうか。
母さんが死んだのは新月の夜だった。




