2幕 いざ魔界へ!……は!?
メルは赤い眼をした生き物と対峙していた。俺は少し遠くから見ている。
「よし!来い!」
「グガガガガガァ!」
赤い眼をした…説明面倒くさっ!赤い生き物が叫び声だかうなり声だか分からない声を出す。
「うっさい!」
メルが『赤生』を殴った。物凄い衝撃が俺を襲う。『赤生』は地面に物凄い勢いで叩きつけられ動かなくなると塵みたいに消えていった。
「ふぅ〜。全く!近所迷惑でしょ!これだから近頃の魔物は…ブツブツ」
何やらメルは一人でブツブツ言っている。だが、流石は鬼だ。力が半端なく強い事が判明した。
「おい!お前は不法侵入だ!」
人の事をメルは言えないだろ。
「皐月君だって面倒くさがって『赤生』とか略してたじゃん」
「うっ!それは……」
「とにかく!もう人間界にも影響が出てるよ!魔王様も死んじゃったし……本当に皐月君が魔界を救ってくれるのかなぁ……」
「そんな事知らん!ていうか魔王死んだの!?」
「うん。暴走した魔物軍団を止めようとして…」
「いや、普通魔王って強くないですか?」
「急に魔王様に腹痛が襲いかかってきて…痛がっている隙をつかれて…。魔王様……」
皐月が少しうつ向いた。
「いや、待て!魔王何やってんだよ!腹痛かよ!」
「それもそうだね!」
そうだね、じゃねぇ!
しかし、それよりこれからどうするか…。とりあえず家に帰る事にしよう。
俺が家を出る時母親はあんな凄い音がしていたにもかかわらずいびきをかいて寝てやがった!父親の事も今日こそきっちり聞いてやる!
さて!やっと家に帰って来た!逃げるのに夢中で大分遠くまで逃げちまった!
その間メルが
「足痛い〜!疲れた〜!」
と言って俺の背中に乗って来やがった!いつもの倍体力を使っちまった!
でも、あの馬鹿力で殴られるのは嫌だったから嫌々乗せていた。
そして、俺は家の玄関の扉を開ける。
まだ寝てやがる…。
「皐月君のお母さん凄いなぁ…。魔王様と結婚するだけあるね!」
そうだ!その事を聞かねば!親は母親が寝ている部屋に入った。
「おい!起きろよ!」
そう言って俺は母親を揺さぶる。
一向に起きる気配がしない。仕方ない…こいつが最終手段だ…。
「あ!母さんの横に15cm位のゴキブリ!」
15cmは流石に大きいが…。すると、母親は目を見開き飛び起きた。
「私の天敵のゴキブリは何処だぁ!ぶっころ――」
「はい!それ以上は発言禁止でーす!それと嘘だから!」
すると母親は拍子抜けしたかのような表情になった。
「何だぁ〜!じゃあお休み!」
「おいおい!ちょっと待て!寝るな!」
俺は母親を無理矢理起こした。母親は大分迷惑そうだが、はっきり言ってこっちの方が迷惑だ。
「母さん…質問がある」
「手短に話せ」
うわぁ〜。うぜぇ〜。母親うぜ〜。いつもならここで話を止める所だが今日はそうもいかない。
「俺の父さんって魔王なのか?」
率直に聞いてみる。
「そうよ!」
早っ!答えるの!
「今まで何で黙ってた?」
「言うの忘れてた!」
きっぱり言うな!
「そういえば皐月。あんたの後ろに居るのメルちゃんじゃない?」
「は?母さん、こいつ知ってんのか?」
「知ってるも何もお父さんが凄く可愛がってた子だよ。何でも弟子だとか…」
「マジで!?本当か?メル?」
「ふぉんとぅだよ…ゴクン!」
「て!てめぇは何食ってんだよ!」
「いや、ちょっと皐月君の家の冷蔵庫の中を見たら美味しそうなケーキが入ってたからつい…」
そう言って照れるメル。
「照れてんじゃねぇ!馬鹿鬼!」
「な!馬鹿鬼とは失礼だな〜」
そう言って持っているお皿を握り潰す。多分ケーキが乗っかってた奴だ。
「やんのか?このやろー!」
「皐月君がその気なら…メル!行きます!」
俺とメルが同時に拳をふりかざした時
「二人共…喧嘩は止めなさい」
俺の後ろに居た母親からの一言。
「母さんは黙って――」
「止めろって言ってんのが分かんねぇのか?」
いきなり大量の殺気を放ち始めた。半端なく怖い。言い方は冷静だが殺意がこもっている。
「「すいませんでした!」」
何故か俺と一緒にメルも謝っていた。
それから俺とメルは正座をして母親の話を聞いていた。
「――という訳でお母さんはお父さん、魔王と結婚した訳よ」
作者重要な所省略しちゃったよ!
「皐月君のお母さん!」
メルが急に喋りだす。
「敢菜でいいわよ」
母親が笑いながら言う。
「敢菜さん!魔王様が亡くなった事はご存知ですか!?」
「やっぱり…何となく気づいてたのよ…いつも毎週に一回は来るラブレターが来なくなったから…」
悲しいんだか悲しくないんだか…。
「そうですか…。今!魔界が大変なんです!皐月君を貸して貰えますか?」
「うん。いいわよ!」
「ちょっと待て!俺はまだ了承して――」
「いいわよね?」
母親がまた殺気を俺に放ってくる。
「はい……」
俺は少し落ち込んだ。
「よし!そうと決まれば早速魔界に行こう!」
「分かったよ…。連れてけ…」
嫌々了承した俺。しかし、メルが止まったまま動かない。
「おい?どうした?」
俺がメルに聞く。
「魔界にどうやって帰るんだっけ?」
まさかまさかの思わぬ展開!?
「何!?お前忘れたのか!?」
「ていうか知らない。私人間界に来るの初めてだから」
「そん位聞いてから来いよ!母さんは知らねぇのか?」
「ライオンは我が子を崖から突き落とす!」
何言ってんのこの人?
「何が言いたいんだよ!」
「知っていても教えないもんね!自分達で何とかしろ!」
んのやろ〜!
「これからどうすんだよ!」
「とりあえず魔界への行き方が分かるまでメルちゃんはうちで預かりましょう」
「は?この天然凶器を!?」
俺がメルの方を見ると手を挙げて喜んでいた。
「わぁ〜い!わぁ〜い!皐月君の家にお泊まり!」
駄目だこりゃ…。とにかく一刻も早く魔界への行き方を見つけないと…。
こうして俺が人生で忘れられない(トラウマになるかもしれない)出来事が始まった。
どうも!ふかともです_(_^_)_
僕の連載小説第2段を初めました。
もちろん、第1段『花と飴』も連載中です。
第1段では中々評価を貰い正直凄い嬉しいです。
第1段ではコメディーというジャンルながら恋愛の方に傾いているので第2段はコメディーを頑張って書いて参ります。
どうか、宜しくお願いします。