あたりくじ
「フォースステージはあたりくじです。脱落者は40名とします」
リスのマスクをかぶった女性スタッフはハートマークの描かれたクーラーボックスを開く。中にはアイスキャンディーが入っていた。
リスは笑顔でみんなに配ってくれる。
「最後の晩餐になるかもしれないから味わって食べてね♡」
「不吉なこと言わないでよ」
わたしはリスをにらむ。
キャンディーは大好きだ。あたりが出たら生存。はずれで脱落。運勝負だから、もう何もできることはない。
「あ〜ん♩」
キャンディーにむしゃぶりつく。結果は・・・はずれ。
「あっちゃぁ・・・」
おわたー。ホントに最後の晩餐になってしまった。ハカセちゃんに報告する。
「はずれだったよ」
「あたしも」
ハカセちゃんもか。2人仲良くあの世行き。わたしたちは顔を見合わせて笑った。
13番が騒いでる声が聞こえた。
「くそ!はずれかよ。てめえのをよこせ!」
あたりくじの参加者にアッパーをかましてあたりくじを奪い取った。むちゃくちゃするなぁ。強盗じゃん。あいつはここで生き残れても間違いなく地獄行きだね。
あきれていると、背中から声をかけられた。
「1番さん!」
振り返ると短髪の美少年がいた。同じぐらいの年頃か。さわやかな目をしておる。
「わたしになにか御用?」
「ぼくのあたりくじと交換しよう」
「えっ!?」
わたしはびっくりした。
「そんなの悪いよ。命もらうようなもんだし」
申し出を断ると彼は顔を赤くして情熱的な瞳で見つめてきた。
「ぼくはきみが好きだ!ゲームがはじまる前からずっと見てた!かわいいし、やさしいし、正義感が強い!生き残るべき種だ!」
「なぬっ!?」
おもわず変な声が出ちゃった。非日常的な状況下で不意打ちの告白はずるい。まともに食らってしまった。全身の体温の上昇を感じる。いま顔を見ないで欲しい。
「もらってあげなよ」
ハカセちゃんの助言に従いあたりくじをもらい受ける。両手でぎゅっとにぎりしめた。
「ありがとう。あなたの名前は?」
「ぼくはユウキだ。きみは?」
「アリスよ。あなたの顔と名前、心に刻んでおくわ」
「ぼくもきみを忘れない」
ユウキくんはニコッと笑う。めちゃくちゃ輝いて見えた。胸がときめく。しかし、つかの間の恋だった。脱落者はスタッフがすぐにドクロ部屋に連行する。
ハカセちゃんとユウキくんと別れないといけない。
「かならずまた会えるよ」
「しばしのお別れだね」
ユウキくんとハカセちゃんは笑顔のままだ。わたしを心配させないように元気に振る舞ってる。
「2人とも元気でね」
2人は去っていく。ドクロ部屋に通じる扉がバタンと閉じた。
すかさず13番が近寄ってくる。
「あの2人は処刑されるぜ」
「なんでわかるのよ?」
わたしにダメージを与えようとしていい加減なこと言ってもダメなんだからね!
「オレは一度、脱落してるからな」
「えっ!?」
「前回はセカンドステージでこけちまった。綱渡なんてできやしねぇ。ドクロ部屋の中は最後の審判が行われる。見どころのあるやつだけ生存コースで、あまっちょろいやつはもれなく処刑コースだったぜ」
「そんな・・・」
「生かされるのはオレのような冷酷な連中よ。他人を蹴落として生き残るのが正解なんだよ」
13番は悪魔のような笑みを浮かべる。わたしが震えて顔が青くなったのを確認して満足したのか立ち去った。
鉄郎おじいさん、ハカセちゃん、ユウキくんの顔が心に浮かんでくる。
「3人の命を無駄にしない!あたしは絶対、生き残るわッ!」
あたしは胸の前で両拳を握りしめた。
うさぎマンがファイブステージの説明をはじめた。




