抜きうちテスト
うさぎマンはテスト用紙の束を持って来た。
「サードステージは抜きうちテストです。制限時間は30分。90点以下は脱落です」
ガーン。わたしは勉強が大の苦手だった。運動とかダンスとか体を動かすのが得意だ。鉛筆と消しゴムも配られる。女の子座りでテストに向き合うがぜんぜんわから〜ん!ほかの参加者はどうしているのかな?
まわりをみる。ほかの参加者の解答用紙をチラ見して「みるんじゃねーよ!」って怒鳴られてる参加者がいた。命かかってるからそりゃそうなるよね。
13番のヤクザはヤンキー座りで気の弱そうな正座している青年に「よーよー教えあおーぜ」って声をかけてる。一方的に答えを教えてもらうだけだろ。アンフェアな取引だ。
寝転がって問題解いてる参加者やあぐらかいて天井をあおいでいる参加者もいる。
肩をポンっと叩かれた。振り返るとハカセちゃんだ。
「アリスちゃん。答え教えてあげる」
「ほんと!?」
「困った時はお互い様だよ」
「ありがとう!」
わたしはハカセちゃんに答えをぜんぶ教えてもらった。く〜っ情けは人のためならずだ。
「よしっ!できたっ!」
わたしは答案用紙を掲げた。
「みんなー!これ写していいよー!」
隣でハカセちゃんがびっくりしてる。参加者たちがわたしに群がってきた。
「わたしが答えを言っていくから、みんな輪になって!」
参加者たちは従う。みんな無事写し終えた。
回収されたテスト用紙を採点したのはフクロウのマスクをかぶったスタッフだ。
「満点しかおらん。全員合格じゃ」
「まあいいでしょう。15分休憩にします」
うさぎマンはカンニングを認める。してはいけないルールはなかったもんね。参加者たちは口々にわたしとハカセちゃんにお礼を言ってきた。
「助かったぜ〜!」
「サンキュー!」
「恩に切る!」
1人だけお礼を言わなかったのは13番だ。ニヤついた顔で話しかけてくる。
「抜きうちテストを見越してあの女を助けたな」
「そんなわけないでしょ!わたしは未来予知できる超能力者か!」
「そうは見えねぇな。運のいいやろうだぜ」
「女の子だから野郎じゃない!」
「生意気な女だ。いつか痛い目見せてやっからな」
「こんなかわいい女の子をおどすわけ?最低のクズね!」
言い争っているとさっき助けたみんなが仲裁に入ってくれた。
「子供相手にみっともないぜ?やめとけ」
「この子の爪の垢を煎じて飲め」
「この子をいじめるやつは俺がぶん殴ってやんよ」
多勢に無勢。形成不利と感じたのか13番は「フンっ!」と鼻を鳴らして去って行った。
みんなにお礼を言っといた。ハカセちゃんは推測する。
「あの人はアリスちゃんの純粋さが許せないんだよ。まぶしすぎて劣等感に押し潰されて死んじゃいそうになるんだ。子供のキラキラした目が悪党の1番の弱点だからね」
「そうなのかな。でもそれって自分が悪いんじゃん。ちゃんとと世間様とお天道様にに恥ずかしくない生きかたすればいいだけでわたしは何も悪くないし。勝手に傷ついてる」
「その通り。アリスちゃんはホントに頭がいいね」
「ハカセちゃんのほうが頭いいよ?」
「そういう頭のよさじゃないよ。道徳を極めてるって感じかな」
「極めてるのかな?よくわかんない」
「アリスちゃんはそのまんまでいいんだよ」
「うん。わかった」
ハカセちゃんは頭をよしよしとなでてくれた。頭のいい人に頭がいいって言われるとうれしいな。休憩の時間が終わるとうさぎマンはリスのマスクをかぶった女性スタッフを連れて来た。




