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ミッドナイト・ブレイカーD×M(デモンズ×メモリー)  作者: 一条信輝


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79話:名に刻む誓い

“名前”とは何か。それはただ呼ばれるための記号ではなく、その人が選び、背負い、未来へと進むための“意志”そのもの――

今話では、マユが自らの名に込めた決意とともに、過去の“もしも”と向き合い、裂け目の核との最終決戦に挑みます。

エリナとナナの言葉が、彼の存在を“マユ”たらしめる支柱となり、すべてを終わらせる一太刀へと導きます。


裂け目の封印、それは同時に――彼自身の“名前の選択”を肯定する戦いでもありました。

斬り結んだはずの刃が空を裂き、赤黒い光を散らして消えた。

 “それ”はまたしても再生した――否、巻き戻った。


 マユの吐息が荒い。

 ラグナの刃が灼いたのは敵の腕だけではない。自らの“記憶”も同時に蝕んでいた。

 熱でも痛みでもない。“自身”の根が削れる感覚。

 思い出が、輪郭のない霧に包まれていく。


 ──これ以上は危険だ。


 もう一度ラグナを深く開けば、自分が“マユ”であることすら忘れてしまうかもしれない。

 けれど、“それ”は止まらない。

 空間の歪みが拡大し、世界の座標が変調していく。


 「マユ、やめて……! もう限界だよっ!」


 ナナの叫びが背を打った。

 その声には、焦りと、恐れと、祈りが混ざっていた。


 「これ以上その剣を開いたら、マユの……マユの全部が焼き切れちゃうよ!」


 マユは応えず、ただ静かに剣を構え直した。


 その姿に、エリナが言葉を投げた。


 「……ねぇ、マユ。あなた、本当は何を守りたいの?」


 マユの眉が僅かに動く。


 「そんなに自分を削ってまで、あなたが守ろうとしてるものって……」


 彼女は言葉を選びながら、続けた。


 「……“マユ”って名前に、何を込めてるの?」


 マユははっと息を呑んだ。

 その問いは、偶然ではあったが、刃のように鋭かった。

 それは、“なぜこの名を選び続けているのか”という、自分にしか答えられない問いだった。


 名は、ただの音ではない。

 それは《選択》であり、《誓い》であり、《赦し》だった。


 過去を捨てたのではない。

 過去と向き合った末に、マユは“その名”を手放し、“この名”を選んだのだ。


 「……昔の話さ。俺は、別の名前で呼ばれてた。違う場所で、違う生き方をしてた」


 ぽつりとこぼすように言ったその声は、どこか懐かしげで、けれど苦かった。


 「でも……その生き方じゃ、誰も守れなかった」


 ナナが、小さく目を見開く。


 マユの横顔に、過去の影がちらついていた。

 その姿は、強さと痛みを併せ持つ“戦う人間”の顔だった。


 「だから俺は、“マユ”という名を使うことにした。誰かに与えられた名前じゃない。

 この名でしか進めない道がある――だから、“マユ”で戦うと決めたんだ」


 ラグナが反応する。

 剣が微かに鳴き、赤黒い光ではなく、柔らかな金の揺らめきを見せる。


 「……逃げじゃない。これは、俺なりの“誓い”なんだ」


 “名前を変える”ということは、“過去と縁を切る”ことではない。

 それは、“過去と向き合うために必要な器”だった。

 そして“マユ”は、今この瞬間も、彼を必要とする人々に寄り添うための“形”だった。


 ナナが、泣きそうな目でうなずく。


 「そっか……じゃあ、もう“マユ”として……」


 「最後まで戦うよ。俺はもう、“誰かの犠牲になることでしか世界を救えない”なんて考えない」


 マユはラグナを構え、結界の中心部――“主裂け目”の核がある場所へ、静かに歩き出す。

 床が震え、壁が揺れる。

 だが、彼の足取りは揺るがない。


 「ラグナ……次で決める」


 剣が応えるように、かすかに光を返す。


 後ろからナナとエリナの足音が続く。


 「マユ、あたしたちも行く。あんな得体の知れないやつ、あんた一人に任せない」


 「……たとえ傍にいることしかできなくても、共に在ることはできるわ」


 マユは、背中越しに微かに笑った。


 「ありがとう。二人がいてくれるなら、俺は……“マユ”でいられる」


 その言葉は、確かな決意の証。

 過去から逃げるのでも、犠牲になるのでもない。

 “自分”として、名を抱いて進む。


 結界の最深部に、かすかに光が漏れる。


 その中心には、“裂け目の核”――異界とこの世界を繋ぐ最も深く危険な交差点があった。


 マユは、剣を握り直す。

 そして、“マユ”としての最終決断へと歩を進めた。

剣の灯火が、静かに揺れた。


 マユの手に握られたラグナは、もはや黒炎を噴き出すことはなく、柔らかに、だが確かに金の光を帯びていた。まるで、彼の“決意”に応えるように。剣は荒れ狂う力ではなく、記憶を護る刃として、今の主の意志を映していた。


 崩れかけた回廊の先、結界の奥からは、なおもあの“干渉者”の気配が滲み出ていた。空間の継ぎ目が歪み、床が低く唸るように震えている。視界の端には、既に人間の法則では説明できない“ねじれ”が生じていた。まるで、現実という枠組みそのものが書き換えられようとしているかのように。


 「……ここから先は、後戻りできない場所だ」


 マユは独り言のように呟いたが、すぐに後ろを振り返る。


 そこには、息を整えながらも毅然とした表情を浮かべるナナと、静かな眼差しで彼を見守るエリナがいた。


 「なら進もう。あんた一人で終わらせようなんて、思わないで」


 ナナがいつもの軽口を押し殺すように、真っ直ぐな目で言った。


 「……ええ。あなたが“名を選んだ”ように、私たちも“共に歩む”と選んだの」


 エリナの言葉は、重くも優しかった。


 マユは息をひとつ吐き、微かに笑った。


 「……ありがとう」


 それだけを言って、彼は再び前を向いた。


 回廊を進むたび、足元の石畳がわずかに揺れる。まるで、その一歩一歩が世界の均衡を崩しているかのようだった。


 異界との“接続核”――《主裂け目》が近い。


 そこは、空間そのものが沈み込むように湾曲し、重力の方向さえ不安定な“異常領域”だった。宙に浮いた岩片、巻き戻るように繰り返される音の残響、断続的に明滅する稲妻のようなエネルギー。


 その中心に、“それ”はいた。


 人の形を模した影。先ほどと同じ、あるいはまったく異なる個体なのかも判別できないほど、不確かでありながら“明確に存在する”異物。


 その目だけは変わらない。


 感情なき黄金の瞳――ただの観測でも、干渉でもない、“侵略”を映した眼差し。


 「……来たか」


 “それ”が動く気配を見せる前に、マユは剣を構えていた。


 しかし今回は、彼も即座には踏み込まない。


 ラグナが、マユの意志に合わせてかすかに唸りを上げる。

 剣身に浮かぶ古代文字がゆっくりと光を放ち始める。


 「お前を、斬る。今度こそ“核”ごとだ」


 返事はなかった。

 だが、空間がまた震えた。


 ナナとエリナが、それぞれの立ち位置を取る。


 「わたしはサポートに徹する。あんたの“記憶”が危うくなったら、すぐに引き戻すからね」


 「……私は、異界の揺らぎを抑えてみる。侵食を抑えられれば、マユの負担も軽くなるはず」


 二人の言葉に、マユは小さく頷いた。


 ──今この瞬間、彼らは“戦うため”にここにいるのではない。


 “マユとして生きる”ために、“名を守る”ために、共にある。


 それは、過去と未来を繋ぐ橋のような感覚だった。


 「ラグナ……もう一度だけ、力を貸してくれ」


 囁くようなその言葉に、剣が高く鳴いた。


 そして――マユは踏み込んだ。


 空間が、斬り裂かれる。


 “それ”も同時に動き、干渉の触手を伸ばす。


 だが、今回は違った。


 マユの動きは、速さではなく“深さ”を求めた。


 ラグナの刃が、空間ごと“存在の深層”へと斬り込む。


 周囲が歪む。


 “それ”の輪郭が、一瞬ぶれた。


 黄金の瞳が、初めて“迷い”を帯びる。


 「……届いたな」


 マユの声が、静かに響いた。


 だがその直後、異変が起きた。


 “それ”の背後、主裂け目の核心から、新たな影が現れた。


 今度は、完全に人間の姿を模している。

 女のような容姿。顔は無機質でありながら、何か“意味”を持った造形。

 まるで、誰かの記憶から“人の形”を抽出したような異様さ。


 マユの表情が、凍りつく。


 その“姿”は――かつて、彼が護れなかった存在と“酷似”していたのだ。


 「まさか……これは……」


 ラグナが軋むように鳴き、刃に赤黒い光が再び滲み出す。


 それは、マユの記憶が“乱された”ことへの反応だった。


 「マユっ!」


 ナナの声が届く。


 「ダメ、引き込まれないで! それは“幻影”だよ!」


 だが、“幻影”には“意味”がある。


 敵は、ただの力ではない。

 “記憶の深層”を突く干渉――それが、“異界の本質”なのだ。


 マユの眼差しに、再び苦悩が滲む。


 それでも、彼は刃を握る手を離さなかった。


 「俺は……もう、同じ後悔はしない……!」


 “マユ”という名を選び取った意味。

 それは、過去の自分に対する“赦し”であり、未来への“誓い”でもあった。


 そして今――その名を守るための戦いが、最も深い場所で始まろうとしていた。

それは、もう“敵”と呼ぶにはあまりにも曖昧で――

 けれど、否応なく“マユ”の心に突き刺さる姿だった。


 その女の影は、崩壊しかけた記憶の欠片を縫い合わせるように立っていた。

 微笑を湛えた顔は、現実には存在しないはずの“もうひとつの選択”を映していた。


 (……もし、あのとき、あの場所で……誰かを救えていたら)

 (俺は、こんな名を名乗らずに済んだのか?)


 そんな“もしも”に、マユは一度も寄りかかったことはない。

 選ばなかった道に、すがる資格はないと、そう自らに言い聞かせてきた。


 だが、異界はその“すがらなかったもの”を、もっとも痛烈な形で突きつけてくる。


 「マユ!」


 ナナの叫びが走った。


 視界が揺れる。足元が崩れるような錯覚。

 世界がゆっくりと、“幻影の記憶”に呑まれていく。


 剣――ラグナの柄が手から滑りそうになる。

 だが、マユはその瞬間、意識を内に引き戻した。


 (違う……これは、“俺の記憶”じゃない。歪められた記憶だ)


 敵は、“真実”を突くわけではない。

 “こうだったかもしれない”という仮想を、現実にねじ込んでくる。


 ラグナの光が一瞬、強く脈動する。

 その波に、幻影の女が微かに揺らぎ、ノイズのように身体を歪ませた。


 「やっぱり……これは“再現”じゃない。“干渉”だ」


 マユは低くつぶやいた。

 自身の記憶の深層に触れ、“加工”された像が投影されている。


 敵の目的は、“精神の揺らぎ”。

 それによって、彼を“神代真夜”ではなく、単なる“器”へと引き戻すこと。


 (……だったら、俺は……俺自身であることを選び続ける)


 握り直した剣が、今度は澄んだ音を立てた。


 幻影の女が、口元に微笑を浮かべたまま手を伸ばす。

 その動きは柔らかく、母のようで、恋人のようで――“すべてを赦すもの”のようだった。


 「マユ……苦しまなくても、いいのよ」


 その声は、かつて誰かが囁いたような、記憶の模倣だった。


 だが、マユはそれに惑わされなかった。


 「違う。赦されるために、この名を選んだわけじゃない」


 振り下ろされる一閃。


 光が走り、幻影の女の胸を裂いた。

 そこから流れ出たのは血ではなく、“記憶の断片”だった。


 彼女の姿が崩れながら、言葉を零す。


 「――それでも、あなたは痛みを抱えたまま、歩むのね……」


 マユは、ほんのわずかに目を伏せた。


 「痛みを抱くことすら、俺の“選択”だ」


 その言葉と共に、幻影は霧のように消えていった。


 異界の気配が、ほんの一瞬だけ後退する。

 だが、それは終わりではなかった。


 次の瞬間、空間全体がきしみを上げる。


 「……っ、まだ来る!」


 エリナが呪文詠唱を続けながら声を上げる。

 床の魔方陣が崩れかけ、再接続を拒むように抵抗を始めていた。


 ナナは、膝をつきながらもマユの背を見据える。


 「マユ……大丈夫?」


 マユは短く頷いた。


 「ありがとな。お前たちがいたから、あれに呑まれずに済んだ」


 ラグナを再び構え、結界の核心へと向き直る。


 そこには、“本体”と呼ぶべき存在――


 否、“存在そのものではない”何かが現れようとしていた。


 剥き出しの記憶。

 名も形も持たない“侵食”そのもの。


 それは言葉を持たない。


 ただ、彼らの存在そのものを“否定”する力だった。


 「……来いよ」


 マユが低く、しかし明確な意志で呼びかける。


 「お前がどれだけ俺の過去を暴こうが、もう“マユ”を手放すつもりはない」


 ラグナが最後の光を収束させる。

 黄金の刃は、まるで“記憶の杭”のように輝き始めた。


 ナナとエリナも立ち上がる。


 「一緒に行こう、マユ。“名を抱いて戦う”って、あんたが決めたんでしょ?」


 「……なら、私たちは“証人”よ。あなたが、あなたであることの」


 その言葉に、マユは短く笑った。


 「……こんなに心強い証人がいるなら、負けるわけにはいかないな」


 異界の核が、ついに現れる。


 それは“光でも闇でもない”、ただ空虚を象った《核の結び目》だった。


 全ての“干渉”の根源――

 神代真夜という名を封じ、“マユ”という名を試す存在への、最後の試練。


 「さぁ、行こう。ここが……俺たちの決着の地だ」


 決意を込めた三人の足音が、ゆっくりと結界の最深部へと踏み込んでいった。

結界の最奥。

 そこには、言語化も困難な“異質の穴”が開いていた。


 宙に浮かぶそれは、球体でも渦でもない。

 まるでこの世界そのものに無理やり“穴”を開けたような、空虚の断層だった。


 「これが……裂け目の核……」


 ナナが呟く。彼女の声すら、近づけば吸い込まれそうな錯覚を孕んでいた。


 エリナが慎重に歩を進めながら、結界の壁面を見上げる。


 「世界の構造が、ここで捻じれている。これは、単なる侵入ではない……“接続の起点”そのものよ」


 その言葉に、マユは頷いた。


 「つまり、ここを封じれば――異界との回廊を閉じられるってことだな」


 だが、次の瞬間。

 “裂け目の核”が脈動し、内部から黒くも赤い“光”が噴き出した。


 眩暈のような音が響く。

 耳ではなく“脳”に直接響くような、思考を混濁させる波動だった。


 ナナが顔を歪め、エリナも膝をつきかける。


 「っ、やっぱり、これ……ただのエネルギーじゃない……!」


 「思念が……混ざってる。数えきれない……声、声、声……!」


 マユは、静かにラグナを構え直した。


 (ここに集まっているのは、過去に取り込まれた人間たちの残滓か……)


 “裂け目”はただ空間を繋ぐだけではなかった。

 その通路を通って、無数の“思念”が押し寄せ、ぶつかり、歪み、やがて“災厄の核”となったのだ。


 ラグナが共鳴する。

 黄金の光がゆっくりと剣身を包み、“核”に向かって震える。


 (行こう)


 マユは、剣を掲げた。


 「ここで終わらせる。俺が“マユ”として存在するこの場所で……この世界に、決着をつける!」


 その言葉と同時に、ラグナが閃く。

 光が走り、空間そのものが軋んだ。


 “核”が応じるように拡大し、その中心から“対”となる存在が滲み出す。

 それは、ヒトのような形をしていた。

 だが目も口もなく、ただ“名のない者”としてこちらを睨んでいた。


 マユが歩み出る。


 敵もまた、それに合わせるように“姿”をはっきりと浮かび上がらせていく。


 ――“神代真夜”に似た容貌。


 それは、彼自身の“可能性”――否、拒絶した未来の亡霊だった。


 「……そういうことかよ」


 剣を強く握る。

 これまで何度も過去を突きつけてきた異界が、最後に用意した“敵”は――


 “マユではない神代真夜”。

 誰も救えず、誰にも届かず、ただ破壊だけを選び続けた“もしも”の自分だった。


 「だったら、その“未来”ごと叩き潰す!」


 跳躍。


 マユの身体が弧を描いて、“核”とその護り手に斬りかかる。


 対となる“神代真夜”が、無言のまま剣を合わせた。


 空間が、光の奔流で満たされる。


 斬り結ぶたびに、マユの内面が裂けていく。

 だが、彼はその裂け目の向こうから、“仲間たちの声”を呼び戻した。


 「マユっ!」


 ナナの叫びが、光の嵐を貫いて届く。


 「“マユ”は、私たちと一緒にいる……! 過去に縛られた誰かじゃない……!」


 エリナも、呪文を詠唱しながら叫ぶ。


 「あなたは、“今”を選んだ! その名を、今この瞬間の意志で掲げてる!」


 その声が、マユの中に火を灯す。


 剣が、再び光を纏う。


 「ラグナ……!」


 その名を呼ぶと同時に、剣が赤金に輝いた。


 “選ばれた名前”が、世界を断ち切る力を生む。


 対峙する“もしも”の神代真夜が、苦悶の色を浮かべる。


 (俺はもう、お前じゃない)


 (そして、お前は――“もう必要ない”)


 マユの剣が唸りを上げる。


 その刹那――


 「“記名断絶・終ノ一閃ラグナ・フィナーレ”!」


 剣が閃き、世界の結界を“名前”ごと切り裂いた。


 “裂け目の核”が崩壊する。


 音もなく、光の粒子となって砕けていく。

 “もしも”の神代真夜もまた、静かに光へと還った。


 沈黙。


 空間の歪みがゆっくりと収束していく。


 マユは、剣を下ろし、肩で息をする。


 足元が揺らぎ、膝をつく寸前で――


 「マユ!」


 ナナが駆け寄り、彼の肩を支えた。


 「……ありがとな、ナナ、エリナ」


 エリナも側に座り込み、息を整えながら微笑んだ。


 「終わったのね……」


 マユは、静かに頷いた。


 「“マユ”という名で、この世界を守った」


 その言葉に、ナナが涙を堪えながら微笑む。


 「じゃあ、これからも……“マユ”として生きていいんだよね」


 マユは、穏やかな笑みを浮かべた。


 「もちろんだ。俺の名は、“マユ”。それは、これからも変わらない」


 破られた結界の隙間から、かすかに“朝の光”が差し込んだ。


 夜は、明けつつあった。

“神代真夜”としての過去に囚われるのではなく、“マユ”として未来へと歩む――

今回の戦いを通して、マユは自らの選択に確信を持ちました。そして、その姿を見届けたナナとエリナもまた、彼を一人ではなく“三人”の物語の主人公として受け入れます。


次回より、新たな章が静かに始まります。

異界の脅威が去った今、彼らが向き合うのは、より“日常”に潜む歪みかもしれません。

彼らの選択が、誰かの救いとなる――そんな優しい余韻が残るようなエピソードを目指して。


お読みくださり、ありがとうございました。

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