悲惨な別れ
ごおーーーーー
強風が吹く、まるで地球のため息かのよう、かつて盛んで平和であった街も、暴動により無人と化した
汚れた空気、廃れた空、風によりときどき、袋などのゴミが無数に吹き飛んでゆく
ここは22世紀、地球はこわれていた
くだらないプライドなどにより、あれだけ皆が二度としてはいけないと言った戦争がはじまってしまった、
徐々にヒートアップしついに核がうたれた、その威力は絶大で、大国が滅んでしまった、その国以外に抵抗できる国など、この地球には存在しなかった、放射線に焼かれ、海は毒となり、空は腐敗した。
アインシュタインが予言した未来が、静かに、けれど確実に現実となっていた。
人類が滅びる――その結末を避けるため、人類は“選ばれた者”を宇宙へ送り出す計画を立てた。
一艘の希望のロケット、それに乗れるのは、えらばれたわずか数百名。
有望な若者だけだった。
◆発射時刻、12分まえ
その日、宇宙港には無数の人が押し寄せていた。
泣き叫ぶ母、暴れる父、諦めたような目をした子どもたち。
“選ばれなかった人間”たちの群れが、柵の外に押し寄せる。
その中に、一人の大学生がいた。
名前も語られないその青年は、選ばれし者のひとりだった。
彼は、搭乗ゲートの前で立ち尽くしていた。
そのすぐ後ろには、自分の母親がいた。
母は、無言だった。
無理もない――息子が乗れば、自分は確実にこの地で死ぬ。
息子が拒めば、共に地球で滅ぶだけだ。
母は、自己中心的な人間だった。
いつも自分の欲を優先し、息子の将来より自分の楽を選んできた。
口数は少なく、感情表現も下手だった。
それでも息子は、ずっと母を尊敬していた。
どんなに身勝手でも、いざという時、母は息子を守った。
台風の日、火事の日、失敗した試験のあとの夜、
息子が絶望に飲まれそうなとき、母は言葉を持たずに、ただ「そこにいてくれた」。
恩返しは、まだできていない。
それが、ずっと胸に引っかかっていた。
次々と乗客がのる、まわりの暴動を軍が抑えている間に、そして最後、青年が歩き出す
「……」
母が何も言わずにじっとみる、いままでの記憶を思い返し、噛み締めながら、かっこわるい別れはしまいと
息子はそんな母に気づきそれでも言葉きたいした、なぜならこれは最後の別れ、もう二度と見ることがなくなるからだ、いますぐにでも振り返り、ありがとうを言いたい。
だが時間がない上、人様に見られていることもありそんなことはできなかった、
幼い頃に父を失い、母だけが面倒をみてくれた、必死に毎晩おそくまで働いていた
恩返しができていない、、
もうロケットまで間近、後ろをふりかえると、親はもういなかった、必死に目をこらしたが姿はなかった
なんて無情なんだとおもったが、母なりの気づかいなのかもしれない
そしてロケットにのり、乗客の友は励ましてくれた、心のなかで悲しみを噛み締め、ありがとうと呟いた、
「ありがとうおかあさん、恩返しはできていないけど、どうか余生をしあわせにすごしていることをねがっております。」
ロケットが発射された、暴動はおさまり、皆が唖然と人類の希望をながめていた、そこには母もいた、ロケットが見えなくなるまでじーっと見つめ、静かに涙を流した 本当は子どものように泣き叫びたかった、しかし必死に声を抑え昔の子供にかったボロボロのぬいぐるみを握り、泣き続けた、
かつてのきれいな星 地球を尻目にロケットは目的地へと進むのだった