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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夢鬱

作者: キャラメル

⚠️なんでも許せる人向け⚠️


SCP-073×SCP-076(カイアベ)です。

カインとアベルが恋人関係になっていて同棲しています。(現パロでは無い) アベルがカインに依存しています。アベルが病んでます。アベルが自傷します。 カインもなんかやばいです(語彙力) 「―――――」から上はアベル目線、下はカイン目線になります。

あと短いです。

以上が了承できる人はお読みください。

ゴンッと鈍い音がし、地面に倒れこむ。

頭に鋭い痛みが走り、草が赤色に染まる。

「…な、んで……、兄さん」

「お前がいけないんだよ。アベル」

そう言って、青い瞳の男は石を振りかざし…


「……ッ!」

はっとして目を開け、周りを見渡す。そこにあるのは、白い壁。自分の部屋だ。

(夢……か)

息を吐き、額の汗を拭う。

「ぁ……そうか、今日、兄さん職員の仕事で留守なんだ……」

最悪だ。さっきの夢の情景が段々と蘇ってきて、呼吸が浅くなる。息が吸えない。

こうなった時は毎度、兄さんが抱きしめてくれたりして助けてもらっていたけど、今はいない。

胸を押さえて気持ちを落ち着かせようとするが、思うように上手くいかず、尚更苦しくなる。吐き気がしてきた。

「ぅえっ、うっ、ッ」

涙で視界が歪む。自分がとても情けなく感じた。何故、そのトラウマを植え付けた本人であるカインに助けを求めているのだろうか。

……それでも兄さんが好きなのだ。

「ゔぅ、ふーっ、ふーっ」

そんな時、ある事が頭に浮かんだ。

兄さんと一緒に住む前に、自傷行為をしていた時期があった。切っている時は、フラッシュバックの苦しみを忘れる事が出来た。ただ、兄さんと和解して、それをきっかけに少しずつやめていったのだ。

(………ごめん、兄さん)

悩んだ結果、俺は空間を裂き、そこから剣を取り出した。

剣を小刀に変形させ、先端の鋭い所を手首に当てる。

そして、シュッと刀を動かし切る。赤いビーズのような血がぷつぷつと滲み出て、鋭い痛みが走った。

立て続けに二回、三回、もう止まらない。

少しだが、気持ちが落ち着いてきた。

腕中を赤い線で埋めて、ようやく呼吸が出来るようになった。だが、瞬時に別の考えが頭を埋め尽くす。

切ってしまった

兄さんにバレたらどうしよう

また迷惑をかけてしまう

兄さんに嫌われてしまう

しつこく悪い考えが思い浮かび、俺は再びもう片方の腕に刀を向けた。

      ―――――――

「ただいまー」

職員の仕事かいつもより早く終わったおかげで、早々に帰宅する事が出来た。白衣を脱いで、ハンガーに掛ける。

アベルは大丈夫だろうか。前みたいにフラッシュバックを起こして、苦しんでいるかもしれない。そう考えた私はアベルの部屋に向かった。

部屋のドアをノックするが、返事が無い。おかしいな、いつもならすぐに返事があるのにと思い、ドアノブに手をかけた。

「アベル? 入るよ」

ドアを開けて目に入ったのは、床に点々と落ちた血痕と、そのすぐ近くにあったのはカイン手作りの羊のぬいぐるみを抱いたまま床に倒れるアベルの姿。傷だらけになったアベルの腕を見れば、何があったのかは安易に想像が出来た。

「大丈夫かい?」

アベルのそばにしゃがみ込み、問いかけてみる。すると、数秒経って小さな声だが反応があった。

「兄、さん……?」

「そうだよアベル。起き上がる事、出来るかな?」

私がそう言い、アベルを支えてゆっくりと起き上がらせ、床に座った。

「薬持ってくるから、ちょっと待っててね」

私がドアノブに手をかけると同時にアベルが私の服をぎゅっと掴んだ。

「ぁ、う、やだ、待って、おいてかないで……」

涙目で言うアベルが愛おしくて仕方ない。

「分かった。どこにも行かないよ」

私がアベルにそう言うと、アベルは安心したような、まだ不安そうな表情になった。

私は近くの棚から救急箱を取り、そこから包帯のロールを取り出した。応急処置として血濡れの腕に巻き付けていると、アベルが弱々しく言った。

「ご、ごめん、なさい、兄さん。俺、また切っちゃった……」

「大丈夫だよ、アベル。大丈夫」

そう言ってアベルを抱き寄せる。愛らしいアベルの心臓の鼓動が伝わってきた。

「………夢を見たんだ」

「夢?」

「すごく……すごく、怖い夢だった」

そう言って捕食者に怯える子羊の様に震える弟が、私の目にはとても可愛らしく映った。自身を傷付けるまで苦しんでいる弟が、堪らなく愛おしい。

……もう神ですら、私達を罰する事は出来ないのだ。

「大丈夫だよ。愛してる」

アベルの頭を撫でながら、小さくそう言った。

「ん……」

アベルが擦り寄ってきた。

「甘えん坊さんだねぇ。よしよし」

アベルの頭を撫でると、伸びた前髪の間から酷い傷跡が見え隠れする。周りの皮膚はオリーブ色をしているのにそこだけピンク色になっているから尚更傷跡が目立つ。

私が付けた傷

消えることの無い傷

私のものだという印

嗚呼。なんて愛おしいのだろう。

「愛しているよ。アベル」

「俺も、兄さんのこと愛してる……」

こうしてどろどろに私に依存していく弟が、本当に大好きだ。


小説家になろうって後書きもあるんですね。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

いつもはpixivに投稿しています。

良かったら探してみてください!

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