表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

 不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、落ち着きなく目玉を動かしている男がいる。

 家で済ませておけばいいものを、偽りの自分が作られてゆく過程を、不特定多数の人間に披露している女もいる。

 自らの快適さのみを追求するように、無遠慮に足を放り出して座る者、限られた空間を無駄に使う者。

 男女問わず首を垂れ、それぞれがひたすら真剣に自分の手元と向き合っている。

 ところどころで話し声が聞こえるが、それ以外の者は大抵、何が起きてもわれ関せずとばかりに視覚を遮断している──。


 いつもの見慣れた光景。その中で、レールが曲線を描くたび体を前後に揺らされながら、生きるために今日も自分の職場へと向かう。

 ……あと少し。あと少しで、およそ生身の人間に囲まれているとは思えない、この機械的な空間から逃れられる。

 とはいえ、ここを抜け出してもまた同じような場所へ身を置かなければならないのだが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ