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はじめに
このような端書を入れるのは私の趣味ではないのだが、この作品に関してはいささか言い訳がましいことを述べねばならぬ。というのもジイドの言葉を借りるならば「小説は小説家の観点によって少しも限界を付せられることがあってはならぬ。すなわち物語に見られるような狭い限界を無視し、それからすっかりはみ出してしまうものでなければならな」いのであるから、私の作品についても物語であるのか、または小説であるかという意図をはっきり区別しておく必要があると思われる。
とはいえ、その論自体やはり読んでもらわねば始まらない。駄作であることは駄作であろう。しかし、その先の問題は別である。ということを頭の片隅に入れて読んでもらえれば行幸である。