来訪者は男2人
頑張って書きます
召喚の間を後にしたジルフリードとランスは、慌ただしくも客間へと案内された。
『ランス、少し話を擦り合わせるか』
ジルフリードは、今まで口にしていた言語とは違う言葉でランスを呼び、お茶の準備を行っている使用人をチラリと横目で見る。
『そうですね。初めての出来事で私も少し動揺してますし』
『フッ…動揺?』
ジルフリードは、先程召喚の間で主を笑った従者を鼻で笑う。
使用人はコチラを見ることも無く準備を進めている。
二人は椅子に腰掛け向かい合う。
『召喚…という事は、ココは俺たちのいた世界とは違う…とはいえ、常識など日常の事は大きな違いは無さそうだな』
『そうですね。王室が存在して、魔力が使える…使用する公用語も何故か同じ…』
しかしジルフリード達がいたとの世界では、『召喚の儀式』というものは行われていない。それに対して、コチラの世界では『召喚の儀式』は、最低でも王族が立太子される時に行われる
。現時点で分かっているのはその点と、『聖女』ではない自分達でも殺される事は無いという事くらいだ。
1人で違う世界にいるよりはマシとはいえ、元々の世界にはいたお抱えの諜報員もおらず、2人とも身動きが取れない。人を使っての情報を得る事も難しいようだ。
『ランス…何か分かりそうか?』
『我が主、どうぞお手を…』
ランスはテーブルの下で主人に対して掌を差し出す。掌には色々な色が混在した『魔石』があった。
その掌を覆うように、ジルフリードは掌を重ねる。
僅かに熱を帯びた『魔石』に手を重ねると、ランスが魔石で作り出した鳥が見た景色がジルフリードの脳裏に映し出される。
広大な王城の上空を飛ぶ鳥が見る景色。城下街も、その先の村や更に向こうの山々から戦火が見えることも無く、平和そのものだ。
やがて鳥は降下し、城内が見て取れる。
鳥が見る窓の外からの場内の景色は、使用人は笑いながら仕事をこなし、ジルフリード達の部屋の前には騎士が護衛の為に立っている。コチラも慌ただしさはあるものの、暗殺などの物騒な動きは見られない。
そして王族や魔術師、宰相達がいるへやに辿り着く。
各々の困惑気味な顔が見て取れる。
『…人の良さそうな王が治める、平和な国だな』
『そのようで…。暗器しかない状態で2人で早急に脱出しなければいけない…という事態は無さそうです』
二人は話しながら、もう一度同室内の使用人を見る。
用意が出来たお茶をテーブルに置く様子は、二人の会話は理解していないように思われる。
『公用語以外は分からないようだな』
『はい。』
テーブルに置かれた香り高い紅茶を口にする。
この世界に来る寸前までアルコールを口にしていた二人は物足りなさを感じた。しかしテーブルに置かれた、手にしていたブランデーは既に氷が溶け薄まっているし、流石にこの状況で飲む訳にもいかない。残念なのは、せめて召喚の時にブランデーの瓶も掴んで来れたら良かった。
『…聖女ねぇ。手違いなのは分かったが…』
『はい。我が主が聖女…ププッ』
またランスは笑い出す。
『…いや、ランス、お前が聖女かもしれないではないか。』
『…ふむ。では私が王太子と…?…いや〜ココは主に譲りましょう』
面白がっている。こういう時、ランスは少し悪ノリするのだ。
ジルフリードは、ランスの掌から自分の手を離す。
『…どちらにせよ、女では無い私達に何か出来る事は無さそうだし…還る…のも…』
『単純に考えれば難しそうですね。』
二人の考えは一致しているようだ。
聖女を召喚し、皇妃として迎える。コレがいつも行われていて、還す事など有り得ないだろう。
『…聖女の役割が皇妃以外にもあるのであれば、もう一度召喚の儀式を行って、我らはお役御免で市井に放たれる…が現状では理想なのかもな』
『私は主に着いていくのみです』
ため息混じりのジルフリードの言葉に、ランスは呑気に返す。
『…意外に市井で成り上がるのも楽しいかもな』
これ以上はどうすることも出来ない。2人はティータイムを楽しむ事にした。
男2人のティータイム(笑)




