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日々充実したいだけの僕と食物部の立川さん  作者: まんまるムーン
5 雨
58/62

5-10



「これって…」

綾女は呟いた。


「ふみさんの記憶なんだろうね…。」

繁充が呟いた。


「ほら…」

繁充は繁充が目配せした先には棺桶があり、そこにふみが横たわっている。二人はそばに近づいた。


「…死んでるの?」


「…。」


 綾女はふみの頬をそっと触った。

 その時、ふみの腕が動き、綾女の腕を掴んだ。


「キャー。」

綾女は叫んだ。綾女の腕を掴んだままふみは目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。


「…あの人は…必ず迎えに行くって言ってくれたの…だから私…ずっと待ってた…。本当に…ずっと…。そして、やっとあなたは迎えに来てくれたのね。これからは永遠に一緒委いられるのね。」

ふみはゆっくりと繁充の方を顔を向けた。


「ち…違います! この人はあなたが待っている勝治さんじゃない!」

綾女は震えながらも力の限り叫んだ。ふみはすごい形相で綾女を睨んだ。そしてその顔は次第に般若のような鬼になった。


「あなたも…お父様の差し金なの? 私と勝治さんを引き裂こうとして!」


「違います! この人は私の同級生で繁充実くんなんです! 現代に生きている高校生なんですよ!」


「…繁充…繁充…うわぁぁぁぁぁぁ」

ふみは急に頭を押さえて喚きだした。


「繁充君! ふみさん急にどうしたんだろう。」

綾女は狼狽えた。ふみは起き上がって繁充に抱き着いた。


「違うわよね? あなたは勝治さんで、私を迎えに来てくれたのでしょう?」

ふみは泣きながら叫んだ。繁充はなすすべもなく、ふみの背中をさすった。


「こんなことをしている暇は無いわ。急がないとまたお父様の追手が来てしまう。行きましょう、勝治さん。」

ふみは繁充の手を握って立ち去ろうとした。


「ダメ!」

綾女は繁充の反対の手を取って引っ張った。


「…立川さん…」


「ダメよ、行ったら! どうして繁充君が行かなきゃいけないのよ!」


「…この人は…僕の先祖なんだ。勝治さんに対する執着がひどくて、誰かが付いて行かないと、永遠に浮かばれない…。僕はこの人と、この人を不幸にした人の子孫だから…助けてあげないと…。」


「私の気持ちはどうなるの! 私…まだ繁充くんに…何も言ってない。」

綾女は涙でボロボロになって叫んだが、力尽きて繁充を捕まえた手が離れてしまった。


 繁充とふみは目の前の真っ黒い穴の中に飛び込もうとしていた。



 その時、

「ふみちゃん!」

突然、声がした。



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