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「学生だし…やっぱり割り勘かなぁ…。」
「でもさ、向こうから誘ってきた場合、会計で「じゃ、○○さんの分何円ね!」って言われたら嫌じゃない?」
「うん、それ嫌だ…。」
「でしょ~!」
「私はいつもじゃなくていいけど、大事な時は出してもらうと、ああ、私、大事にされてるなぁ~って思っちゃう。」
「わかる~!」
放課後の調理室で食物部員たちが盛り上がっている今日の議題は…
「デート代は男が払うのか否か!?」
「綾女は? どう思う?」
別に興味も無く、調理の片手間に聞いていた綾女は、急に自分に話を振られて驚いた。
「わ、私? …どうなんだろ。考えた事も無かった。」
「綾女ってさ、デートしたこと無いの?」
「…無い。」
その場がシーンとなった。
「…あ…なんかごめん。」
しょぼくれる綾女を見て部員たちは気まずくなったのか、綾女に問うのは諦めた。
「みんな分かってないね~!」
めったに部活に出てこない絵美がしゃしゃり出ていった。
「分かってないって?」
「あんたたちさ、男の習性ってものを理解してないんだよ。」
絵美の上からの物言いに、部員たちはカチンとくる者も少なからずいた。しかし絵美はそんなことおかまいなしに続けた。
「男はね、貢がせれば貢がせるほど、その相手にのめり込んで離れられなくなるもんなの! お金も一種の愛情表現なのよ。だから思いっきり愛情かけさせて、自分に夢中にさせればいいの!」
絵美はドヤ顔で言った。
「…そうなの?」
部員たちは顔を見合わせた。
「男の子たちの意見も聞いてみたいよね…。そういえば、ちょうどそこにいいのが…。」
振り返ると繁充と砂原が部員たちの作ったマドレーヌをバクバクと食べていた。
―繁充君! 砂原君! いつの間にここにいたの???
綾女は驚きを隠せなかった。
「あんたたち、どう思う?」
部員が繁充たちに話を振った。
「どう思うって…俺は好きな子だったら奢りたいかな…。」
砂原が言った。
「やっぱりそうか~。砂原、彼女を大事にしそうだもんね~! 良かったね、綾女!」
部員が綾女を冷やかした。
「ち、違うって! 私たちそんなんじゃ…。」
綾女は咄嗟に言った。
「でも砂原はまんざらでもないんでしょ?」
部員の一人がニヤニヤしながら砂原に言った。砂原は顔を真っ赤にして食べていたマドレーヌを喉に詰まらせた。
「繁充はどうなの?」
部員が繁充に話を振った。
「まあ…払わないね…。」
繁充は突っ込みようが無いほどあっさり言った。
「…でしょうね…。」
部員たちは呆れ顔で言った。




