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日々充実したいだけの僕と食物部の立川さん  作者: まんまるムーン
3 おにぎり
31/62

3-13



「砂原さんのとこの太郎さん、とうとう出征が決まったんですって…」

夕食の時に母の良子が言った。


―え? 出征…? 何を言っているの…


「だから急に縁談をまとめたのか…。そうか太郎君がな…。」

父は呟いた。


「いつなの?」

ルリ子は聞いた。


「なんでも来月なんですって。」

良子はそう言うと悲しそうに溜息をついた。


―来月… 太郎ちゃんはいなくなる… 私の前からいなくなる…


 ルリ子は目の前が真っ暗になった。


 そして気が付くと太郎の家の前に来ていた。裏手に回り太郎の部屋の窓から中を覗いた。ちょうど太郎が部屋に入ってきた。ルリ子は窓を叩いた。太郎はルリ子に気付いてニコっと笑った。


「何だか懐かしいな。ガキの頃はよく夜中に抜け出して遊びに来てたよな。」

太郎は窓を開け、笑いながらルリ子に言った。


「太郎ちゃん、ちょっと話せる?」

ルリ子は真剣な眼差しを向けた。太郎は頷いて窓から外に出た。




 二人はいつも遊んだ空き地の公園に来た。梅の木の下のベンチに座った。


「懐かしいな。ここでよく悪ガキ相手にケンカしてたよな、俺たち。」


「…そうだね。」


「どうしたんだよ、なんか暗いぞ、おまえ。」


「…。」


 太郎はルリ子の頭をクシャクシャと撫でた。


「…聞いたんだな。」


「…うん。」


「言っただろ、俺。おまえをイジメるやつは絶対やっつけてやるって!」


「…。」


「大丈夫、心配すんな! おまえらをイジメる敵国を俺がやっつけてくるからな!」


「…そんなことしなくていい。」


「え?」


「何で太郎ちゃんがそんなことしなきゃいけないのよ…。行かないで!」


「…ルリ…」


「分かってるよ…そんなこと言っちゃいけないって…。」 


「うん…」

太郎は空を見上げた。


「…太郎ちゃんは綾子さんの事、好き?」


「え?」

太郎の顔が急に真っ赤になった。その様子を見て、ルリ子の心は嫉妬の炎が燃え上がった。


「…その…あの…」

太郎はしどろもどろに言葉に詰まった。


「…何であの人なのよ! ろくに話もしたことないでしょ! ずっと一緒にいたのは私なのに!」


「…ルリ…」


 ルリ子の目から涙が溢れた。太郎はルリ子をじっと見つめた。しばらくの時が流れた。


「…ごめんな…俺…ルリ子の気持ち…気付いてた…だけど…」

太郎はゆっくり話し始めた。




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