3-10
夕暮れ。夕日が満開の梅の花を真っ赤に染めている。ボロボロになった太郎とルリ子は梅の木の下に寝転んでいた。
「おまえさ、俺がせっかく助けに来てやったのに自分も殴られてどうすんだよ。」
太郎が言った。横に寝転んでいるルリ子を見ると、髪はぐしゃぐしゃ、切り傷や痣だらけになっている。
「…だって…太郎ちゃん…思いっきりやられてたでしょ…」
「は? やられてねーよ! あいつらの方が痛手負ってるし!」
「ぷっ…強がりいっちゃって。」
ルリ子は噴出した。つられて太郎も噴出した。二人は大笑いした。
「イテテテテ…笑うと殴られたとこがイテーな。」
「…うん。」
二人はお腹を押えながら笑いを噛みしめた。太郎は笑顔になったルリ子を見て微笑んだ。
「おまえをイジメるやつがいたら、俺が絶対にこらしめてやるから…気にすんじゃねーぞ。」
太郎はルリ子の頭をクシャクシャと撫でた。
―太郎ちゃん…
ルリ子の心は温かくなった。
「私も太郎ちゃんがイジメられてたら絶対助けに行くからねっ!」
「何それ? 俺がイジメられるわけないだろ!」
「分かんないよ。最強の敵が現れて、ルリ子~、助けて~! って言うかもしれないよ!」
「言うかよ。」
グルルルル…
ルリ子のお腹が鳴った。
「おまえ、こんなにボコボコにやられてるのに腹減ってんの?」
「暴れまわった後だからお腹減るの当たり前でしょ!」
「プッ」
「笑う事ないでしょ!」
「そんな事だろうと思ったから、俺、おにぎり持って来た…。食う?」
「うん!」
ルリ子は満面の笑みを太郎に向けた。
空地に二人の笑い声が響き渡った。




