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日々充実したいだけの僕と食物部の立川さん  作者: まんまるムーン
3 おにぎり
21/62

3-3



 ルリは砂原を呼び止めたが時すでに遅し。砂原はおにぎりの入った大きなタッパーの蓋を開けて部員の前に差し出した。


「オシャレなベーグル食べた後だから、おにぎりってなんか実家感湧くよな。」


「毎日おにぎりだから、たまには違うのもアリかも…」

部員たちは勝手な事を呟いた。


 ルリはモヤモヤした気持ちでいっぱいになった。


「おまえら何勝手な事抜かしてんだよ! ルリ一人でこれだけ準備するの大変だって分かってんだろ? 毎日俺たちのために作ってくれてんのに感謝くらいしろよ!」

砂原は部員たちに言った。


―拓海…


 砂原が自分の事を理解してくれたことにルリの心を温かくなった。


 が…


「ほんと…大変だよね…。これだけたくさんのおにぎり、全部形も大きさも揃ってる! 凄いね、松浦さん!」

綾女が感動してルリに言った。


 その言葉に裏は無いとルリにも伝わった…が…ルリは苛立ちと恥ずかしさが混沌として急に頭に血が昇ってきた。


 気づいたらルリはその場を立ち去っていた。ルリは昇降口前の手洗い場で何度も顔を洗った。血が上った頭を冷やしたかった。


「…ルリ…」

後を追ってきた砂原が後ろから声をかけた。


 ルリはタオルを持ってきていなかったのを思い出し、ポケットからハンカチを取り出して顔を拭こうとした。


 フワッ

砂原がタオルをルリの頭にかけた。


「大丈夫。それ使ってないやつだから…」


―拓海…


「もう、ほんとに~? 拓海の汗まみれのタオルなんてごめんだからね!」

何故か涙が出てきてルリは困ってしまった。泣いているのがバレないように、拭いているフリをしてタオルを顔から外さなかった。


「…ごめん、俺、無神経だったよな。ついうっかり立川さんの申し出受けちゃって…おまえの顔潰すような事してしまって…」

砂原は言った。


「何言ってんの、あんたたちは体をおっきくしなきゃいけないんだから、食べるものが増えるのは有難い事じゃない! 私、ちょっと目に砂が入っちゃって…それで顔洗いにきただけだから。」


「…ほんとに?」


「当たり前じゃん! それ以外何があるって言うのよ。」


「…だったら良かった。俺…てっきりルリのこと傷つけたんじゃないかって…焦った~!」


「違うから! だから先に行ってて。私、砂がまだ取りきれてなくて…」


「分かった。じゃ、俺行くわ。」


「…うん。」

砂原は去って行った。


 ルリはタオルの隙間から砂原の背中を追った。そしてタオルをギュっと抱きしめた。




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