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日々充実したいだけの僕と食物部の立川さん  作者: まんまるムーン
3 おにぎり
20/62

3-2



 昨日の放課後


 チリンチリン


 ルリが自転車のベルを鳴らすと、道に一列に伸びていた生徒たちが左右に割れた。



「ルリ、お疲れ様! 大変だね、その荷物。全部ラグビー部の?」


「まあね~!」


 ルリは荷台に山のような買い出しの荷物を載せて校門へと続く坂道を漕いでいった。部室の前で自転車を止めて、荷台の袋を取り出そうとした。


 すると横から手がにゅっと出てきた。


「いつも悪いな。俺、持つよ。」


「拓海…」

振り向くと砂原がいた。


 砂原はルリだと三往復くらいしなければならない大荷物を一度に全てマネージャー専用の部室へ運んでいった。


「ありがとう…拓海。」


「それはこっちのセリフ! こんな大変な仕事、いつも一人でさせて悪いな。俺でもいいし、他の部員も使っていいからさ、いつでも言ってよ!」


 砂原はそう言うと、練習に戻っていった。その後ろ姿をルリはずっと見つめた。


「…さて…と…」

ルリは踵を返すと、部室へ戻って大量のおにぎりやプロテインドリンク、スポーツドリンクを作り始めた。


 全て準備し終わると、それらをキャンプ用のアウトドアワゴンに積んで練習場へ持って行った。練習場へ着くと、いつになく楽しそうな部員たちの声がした。


 見ると食物部の立川綾女たちが輪の中心にいて、部員たちに何か手渡していた。


「あ! 松浦さん! 松浦さんもどうぞ!」

綾女はニコニコしながらルリに焼き立てのベーグルを手渡した。


「コーヒーも入れてきたんだ! ちょっと待ってね!」

綾女はポットのコーヒーを紙コップに入れた。カフェで出てくるようなオシャレな紙袋を少し折って熱々のベーグルを入れている。


―なるほど…手が汚れていてもこれだと食べやすいな。コーヒーは豆を挽いてdハンドドリップで淹れたのね…。ふーん…。


 ルリは綾女から手渡された暖かいベーグルとコーヒーをじっと眺めた。


「立川さん、ありがとう!」

部員は口々に言った。


「そんな…たいしたものでは無いから…ちょっと作り過ぎちゃって…。」

綾女は照れて真っ赤になった。


「これ、マジで美味しい。店で売ってるのより美味しいかも…。」


「それな。こんなお洒落な差入れ、タダでもらって申し訳ないよ。」

部員たちは喜びを露わにした。


「いや…その…私がおっちょこちょいで…ほんとはね、作る日にちを間違っちゃって…その…ほんとは来週のOG会用なの…。だから余ったら勿体ないし、食べてもらえて逆にありがたいというか…だから…砂原君に聞いてほんと良かった! こんなにたくさん、食物部の女子だけで食べきれないから…」

綾女は恥ずかしそうに言った。


「そっか! じゃ、砂原にもお礼言わないとな!」

部員たちは砂原の背中を叩いた。


 砂原は恥ずかしそうにしている綾女を微笑ましく眺めた。そしてふとルリを見た。ルリは砂原の後ろで手に持ったベーグルをじっと見つめていた。


「ルリ! おにぎり持ってきてくれたんだろ?」

砂原は笑顔を向けた。


「あ…あぁ…それは…」

ルリは戸惑った。こんなにオシャレで美味しそうなベーグルを前に自分の哀れなおにぎりを出したくない。


「俺、配るの手伝うから!」

砂原はキャンピングワゴンからおにぎりを取り出した。


「あ、待って!」



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