表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日々充実したいだけの僕と食物部の立川さん  作者: まんまるムーン
2 塩豆大福
12/62

2-7



「こちらにいろいろあるから好きな物を使ってください。」

繁充は控えの間に案内した。そこにはあらゆる種類の食器やカトラリー、テーブルクロスなど、テーブルコーディネートをするには困らないようだった。


―受けてはみたものの…どうしましょう…。家では見様見真似でテーブルを飾ったりしたことはあったけど、人様のお宅でするのなんて初めてだわ…


 とりあえず綾乃はテーブルクロスを物色した。めったにお目にかかれない南蛮渡来のお菓子ということなので、高級感を出そうと思った。そして綾乃が選んだのは光沢のある白のテーブルクロス。真ん中に大き目の丸い皿。その上に高坏を置いた。


「お庭のお花を少しいただいてもよろしいですか?」

綾乃は繁充に聞いた。


「いくらでもどうぞ!」

綾乃は庭に出ると、咲き乱れていたバラの花を切り取っていった。


「痛っ!」

バラのとげが綾乃の指に刺さり、血が滴り落ちた。繁充は綾乃の指を取ると、そっと口に当てた。綾乃は真っ赤になった。繁充は綺麗なハンカチを綾乃に渡して傷を押えるように言った。


「僕が切り取りましょう。どのくらい必要かおっしゃってください。」


「…は、はい…」

綾乃の頭はクラクラしていた。





「ほう…そんな考え、僕には無かったなぁ…」

繁充は感心して言った。


 綾乃は取ってきたバラを大皿と高坏の間を埋めるように飾った。そして高坏の上にシュークリームを乗せていった。そして水色で描かれた絵皿を置き、その上に少し小さめの白い皿を重ねた。そしてカトラリーを配置し、カップアンドソーサーを置いた。同じものをもう一つ向かい側の席に用意した。


「こんな感じでいかがでしょう? 以前洋書で見た物を真似てみたのですが…」


綾乃は恐る恐る聞いた。繁充はしばらくの間、顎に手を当ててテーブルを睨んでいた。


―お気に召さなかったんだわ…。やっぱり私のような素人がするものじゃないわ…

綾乃は今にも泣きそうだった。


「…素晴らしい! 想像以上だ!」


「…え?」


「予想を超えた出来だと言ったんです。やはり僕の感は正しかった。君に任せて良かったよ!」


 ふぇぇ…

 綾乃は緊張の糸が切れてその場にへたり込み泣き出してしまった。


「何か気に障ることをいってしまったかな?」

繁充は頭を傾げた。


「違います。その…嬉しくて…」

綾乃は頬を赤らめた。


「でも、足りないな…」

繁充は眉間に皺を寄せた。


―足りない? 何だろう? 

綾乃は必死に考えた。そしてハッと気づいた。


「あ、私、ポットを持ってくるのを忘れていました。」

綾乃は急いでポットを取りに行こうとした。繁充は綾乃の手をギュっと握った。


「違う、足りないのは君の席だよ。」

真っすぐ見つめる繁充の目に綾乃の心臓は爆発しそうになった。


―え? だって、繁充さんの大事な女性と過ごす場所なんですよね? 私が同席していいなんて道理は無いですよ


「君も同席してよ。」

繁充は笑顔で言った。


「私なんかがその…繁充さんの大事な方と同席だなんて…」


「きっと彼女もその方が喜ぶと思うから。」


―どうして????


「ほら、お見えになったようだ!」

繁充は窓の外を見て言った。門の前に人力車が横づけされていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ