ある王子様の独白〜愛してる〜
春の花咲く 季節なら
陽気な気持ちに なる様に
冬の寒さに 凍える時に
心も冷たい 事でしょう
まるで流れる 移ろいに
鏡に映し 反射する
染みる言葉を 吸収しては
優しい調べを 奏でる様に
不安な言葉に 流されて
受け流せずに 毒を吐く
君が愛を 囁くならば
同じだけの 言葉で返し
貴方が嫌いと 罵るならば
泣いて縋って 絶望するは
捨ててしまえば軽くなり
このまま行けば重くなる
心変わりをしたならば
君は泣いて縋るだだろうか?
微笑み湛えて 頷いて
別れの言葉を 口にする
きっと泣くのはこちらだな
そんな末路を考えて
今日も僕は セリフを吐く
いつか君に 捨てられるまで
物語の強制力に
抗えない哀れな王子
君にいつか僕の言葉で
本当の言葉を言えるその日まで
ソレが無理ならせめて言わせて
ハッピーエンドと無縁の僕は
君の幸せを願うだけ
我儘を言うのが 許されるなら
君をこの手で幸せに したいから
次のボクは 王子は辞めて
本当は「スキ」だと 言いたいのに
そのたった2文字の本音が 出て来ない
「婚約を破棄する」
僕は今日も 何処かで
愛を乗せて 運命を吐く
動かぬ腕は 恨めしく
本当は君を 抱きしめたい
泣いて縋って しまえたら
どんなに僕は 喜ぶだろう
あぁ……行かないで
「スキ」何て嘘だ
「月が綺麗ですね」くらい
洒落たセリフを 吐いてみたい
なんてな
※独白……独り言の意味、相手がいない時に言うセリフ。