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しろ組短編集  作者: しろ組
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恵まれた密室

「おい! 何を見ているんだ!」と、男は、吠えた。見知らぬ連中に、周りを取り囲まれており、身の危険を感じたからだ。

 しかし、連中が、距離を詰める事も無く、一定の間隔を保っていた。

 数日後、男も、部屋の環境に慣れるなり、次第に、落ち着きを取り戻し、周囲を気にしなくなった。そして、過ごしているうちに、気が付く事が在った。毎朝、別室へ追いやられ、しばらくして、戻されると、一日分の水と食料が置かれており、後は、暗くなるまで、取り囲まれるという周期(サイクル)だからだ。しかし、この環境には、違和感が在った。地平線が見えているのに、一定の範囲内は、動き回れるのだが、駆け回れないからだ。

 ある日、連中の中に、頭髪の短い雄の子供が、右手に持っている黒い塊を向けて来た。

 その瞬間、男は、戦慄した。以前にも、同じような目に遭った気がするからだ。そして、「こいつも、俺に、おかしな事をした奴の仲間か?」と、目を見開いた。記憶が、(よみがえ)ったからだ。その直後、「こいつの仕業だな!」と、睨みを利かせるなり、身構えた。

 その途端、子供の雄が、恐れおののいて、腰を抜かすなり、泣きは始めた。

 次第に、周囲も、ざわつき始めた。

 その刹那、「うっ!」と、男は、背中を刺す痛みに、顔をしかめた。程無くして、気を失った。そして、次に目を覚ましたのは、周囲に誰も居ない地平線の広がる別の場所だった。その瞬間、故郷へ戻った事を直感した。その直後、居ても立っても居られずに、駆け出した。


「先日、◯◯動物園のライオンが、密猟による密輸入が発覚した事件の続報です。ライオンは、無事に、故郷の草原へ返されたとのことです。続いてのニュースは…」と、ニュースが、テレビから流れるのだった。

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