例えばこんな感じの夏休みとか
蛇足かもしれないので前書きは読み飛ばしていただいてもかまいません。
会話は必ず交互に行われています。一応男女のつもりで書いていますが、どう捉えていただいてもかまいません。大した量も内容もないので気楽に読んでください。
「なあ」
「……」
「なあって」
「なんで返事しないか分からない?ここ図書室なんだけど」
「どうせ2人しかいないじゃん」
「まあそうなんだけど。それで何しに来たの。どうせまたいつもの暇つぶしでしょうけど」
「お察しの通り」
「ところでさ、なんか部活やってたっけ」
「急にどうしたの」
「いや、俺は何の部活もやってないから参考程度に聞こうと思って」
「文芸部」
「やっぱ本が好きだからか」
「そんなところね」
「何か書いてんの?」
「今は文化祭用にエッセイを書いてる。そんなに長いものじゃないけどね」
「へぇ、どんな内容なんだ」
「秘密。知りたかったら文化祭の時に確認して」
「分かったよ」
「それで、参考になったの」
「あー……、まあまあな。とりあえず入りたい部活の候補はできたな」
「単純ね」
「俺らも来年は受験だからなあ」
「ゆっくりできるのは今年が最後かな」
「思えば高校生らしいことも全然できてないし」
「高校生らしいことって、例えば?」
「例えば……いや、何でもない」
「そう。今だって十分に高校生らしいんじゃない?こうやって昼間からゆっくり本を読めているわけだし」
「まあ俺は読んでないけどな」
「じゃあなおさらでしょ」
「そう言われればそうだな」
「読めばいいじゃない。せっかく図書室にいるんだし。本が苦手なわけでもないでしょう」
「遠慮しとく。本は読もうと思えばどこででも読めるし。何より本を読みながら話すなんて器用な真似は俺にはできない」
「おとなしく本だけ読んでればいいのに」
「それは言わないでくれ」
「このまえ同じ中学だった奴と会ったんだけどさ、そいつに『服装がダサい』って言われたんだよ」
「そう」
「どう思う」
「どうも何も、誰がどう思うかなんて人それぞれなんだから私がとやかく言うことではないでしょう」
「いや、一意見として聞いておきたいんだよ」
「参考程度に?」
「そんなとこだな」
「まあ、普通なんじゃない。その時どんな服だったかは知らないけど」
「普通か」
「そうね」
「……今度、服買いに行くの付き合ってくれないか」
「今度っていつ」
「来週あたりとか」
「たぶん大丈夫だと思う」
「たぶん思うのか」
「……」
「悪かった。ぜひお願いします」
「ええ」
「詳しい時間とかは後で決めて連絡する」
「ええ」
「ついでに飯も食いに行かないか?」
「考えておく」
「……暑いな」
「そう?ここは冷房が効いてるしそうでもないと思うけど」
「悪い、適当に話しかけた」
「そろそろ帰る」
「ん、またね」
この度は読んでいただきましてありがとうございます。おそらく1年以上小説を書いていなかったのですが、友人が企画を行うということで声をかけてもらい、久しぶりに書いてみました。高校生の小説を書くと在りし日のことを思い出して懐かしくなりますね。戻りたいと思いながら当然戻れないのが現実なので軽く絶望しますが、書いてる最中はほんの少しだけ当時の気分に浸れたのでまた書いてみてもいいかもしれませんね。悪い癖が出て締め切りギリギリ且つ久しぶりだからと自分に言い聞かせて省エネな書き方にしてしまいました。読みづらい部分もあるかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけていれば、そこまではいかなくても読後の感情がマイナスに傾いていなければ幸いです。ド素人の復帰作なんてこんなもんです。
最後にはなりますが、今回の企画 #晩夏の作品奉納祭 には私なんかがかすむ程度には素晴らしい作品がたくさん上がっています。8月も最終日で憂鬱な気分の方も多いと思いますが、ぜひハッシュタグをめぐって楽しんでみてください。企画に誘っていただいた友人には素敵な企画に参加させていただける機会を作ってくれたこと、久しぶりに小説を書くきっかけを作ってくれてとても感謝しています。改めて本当にありがとうございました。