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俺RPGで真実の愛を見つけます  作者: あんぽんまん
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# 003

 鈴のあとを追って回転扉をくぐった先には昨日と同じ殺風景な風景が広がっていた。

 ただ、昨日と違ったのがやけに今日は人が多いということであった。

 昨日は磯貝社長も合わせて二人しかなかった受付に男女合わせて2人が既に集まっているのだ。

 そこに俺と鈴が来たので4人の男女が集まったことになる。


「えっと……」


 知らない人が集まっていることに早くもコミュ障を発動してしまう俺だがこういう時に鈴はすぐにその集まっている男性のうちのひとりに近づく。


「こんにちわーもしかしてみんなもデバッグのバイトの人ですかー?」


 気軽に声をかけられた男性の一人も少々驚いた顔を見せるがすぐに鈴の人懐っこさに飲まれるかのように笑顔になって


「そうっすよ。もしかしてお二人も?」


 と聞き返してくる。


「うん、そう!」

「いや、お前は違うだろ」


 と俺はすかさずツッコミを入れるが鈴は全く気にしない。


「私は青葉鈴!17歳です。んでこちらは私のカバン持ちの聖ね」

「17歳!?17とかまだ高校生じゃん。マジで?受けるんだけど」


 受付のテーブルにまるで腰を掛けるように座っていた赤に近い茶髪の長い髪の毛を青いヘアピンで止め、上着はダボダボのカーディガンとミニスカートという今風の女子という感じの女性が立ち上がった。

 そのため一瞬全員の目線がその女性に集まるとその女性はそれに気がついたのか


「私は南部花。協力プレイの時は助けてくれると嬉しーな★」


 そう言って少々前かがみのポーズでウインクをする、何も考えていないようで自分が可愛く見える構図を理解しているという感じのやつである。


「俺は朝倉馨だ。対戦プレイの時は容赦なくぶっ倒していくからそのつもりで宜しくな」


 っと今度は最初に鈴が挨拶した男性が自己紹介をする。

 俺は18歳だがその馨という男はおそらく俺よりも少し年上くらいの非常にがっちりとしたスポーツマンという感じの体格にTシャツとジーパンというシンプルな格好の男だ。

 こういう事を言うのも失礼だがこういうインドアなバイトの場にいるのが少々場違いに見える男だった。


「やぁ、みんな揃っているね」


 などと考えていたところで昨日聞いた声が聞こえて来る。

 磯貝社長だ。相変わらず爽やかな笑顔で俺たち4人の方に近づいてくる。

 そして隣には黒縁メガネをかけ黒いリクルートスーツに身を包んだ黒髪の美人がカツカツとヒールの音を立てながら近づいてくるが、磯貝社長は鈴の方を見ると


「お、お客さんが来てるね」


 と笑顔でいうもので俺は


「あ、なんかすいません。こいつ鈴っていって、このバイトの話したらこいつ勝手についてきちゃって……」


 と謝ると磯貝は全く意に介さない様子で


「いやいや全然気にしないで。むしろちょうど良かったくらいだよ」


 といい、俺たち4人を見回すように見ると隣に立っているそのヒールの女性に注意を向ける。


「みなさんに紹介しよう。こちらは僕の部下の村上みどりさんだ。今回僕たちのゲームのデバッグのサポートをしてくれる」

「ん、僕たちって?」


 っと馨が磯貝社長の言葉尻に疑問を差し挟む。


「今日やるゲームは5人一組で行うゲームでね。まぁ説明するより見るのが早いだろう。ちょっと付いてきてくれるかい?」


 そう言って社長とみどりさんが来た道を早足で戻っていくため俺たち一行もそのあとを慌てておった。その後エレベーターに乗り高層ビルの12階に移動。

 開いた先にあるひとつしかないドアのドアノブを回して中に入るとまたしてもやはり白い壁紙に白い天井の殺風景の部屋になる。どうやらこのセンスは社長の好みのようだがそれ以上に驚きだったのはそこにある"ゲーム機"であった。

 俺も鈴も、そして馨も花も口をぽかんと開け絶句する。

 そこにあったのはまるで目深にかぶるヘルメットとVRゴーグル、そしてイヤーマフを一体化させたかのような見たこともないゲーム機が5つ置いてあった。

 それらのヘルメットには非常に太いコードがつながっており、それらのコードは部屋の中心にあるダンボール箱程の大きさのゲーム機につながっている。


「これって……」

「そう、我が社が開発した最新式のVRゲーム機だ」

「マジで?VR技術ってもうこんな域まで来てるの」

「しかもただのVR技術じゃない。これは究極のVRシステム。いわゆるフルダイブ技術を搭載した究極のシュミレーションゲームだ。このゲーム機を通して視覚や聴覚はもちろん、触覚、味覚、嗅覚。ゲーム世界の五感の全てをこのゲーム機に接続することでゲームの中での出来事をまるで自分に起こっているかのように追体験することができる究極のシュミレーションゲームだ」

「へぇ~すっごい面白っそう!」

「そうだろう?おかげさまでこの技術を狙って産業スパイが耐えないんだよ」


 果たしてどこまで本当なのかわからない軽口を叩く磯貝社長。一方で俺の隣で先程から磯貝社長の話を目をキラキラさせて聞いていた鈴がたまらずそう叫ぶが俺はその鈴を抑えて、


「いや待て待て、五感ゲームに接続ってなんかそのゲーム大丈夫なのかよ?」


 と尋ねると隣にいるみどりさんが答える。


「フルダイブ技術の方の安全性に関しては我々も本当に問題がないか何度もチェックしました。おおよそ20名の被験者の五感をゲーム機に接続するというテストを5年に渡り実施してきましたが今のところ副作用等を訴える被験者はいません」

「そして何を隠そう。その被験者の一人が僕なんだが。なにせゲームの中では普段できないことができるからね。ストレス解消になってむしろ体調がいいくらいだよ」


 と磯貝社長は腕を回して元気さをアピールする。

 だが鈴は全くそんなこと意に介す様子もなく


「すごいよ聖!面白そう!」


 とさっきみどりさんの話を聞く前と全く同じ言葉をわめいている。


(本当に大丈夫なのやら……)


 と考えているとみどりさんは異論はないと見たのか


「他に質問はないようですね?それでは次の説明に移らせていただきたいと思います」


 とさっさと次の説明へと移っていってしまうのだった。

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