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俺RPGで真実の愛を見つけます  作者: あんぽんまん
35/35

# 034

 シーナは照準を定めていると、銃口の揺れが収まっていきやがて特定の一点で止まる。

 やがてシーナの呼吸も止まり、もはや発射するだけの段となった時である。

 突如前方で馬に連れられて歩いていた花がこちらの気配に気がついたのか、ぱっと振り向いて俺たちの姿を認めるやいなや、


「あ!シーちゃん!」


 と叫んだのだ。


(あのバカ……!)


 心の中で毒づいたがもはや手遅れだ。

 もちろんレギオン兵と奴隷商たちもそれに気がつきこちらを振り向く。

 しかしそれとシーナが凄まじい銃声とともに銃弾を発射するのはほぼ同時であった。

 銃弾は見事に奴隷商の一人に命中。

 だが、無論レギオン兵たちもこちらに気がついた。

 花がいちはやくこちらに気づいたときはヒヤッとしたが作戦には影響はなかったようだ。

 だが安心している暇もない、なにせ殺気立ったレギオン兵たちがこちらに向かってきているのだ。


「聖くん、行くぞ!」

「は、はい!」


 と、アイビーから降りて果断に敵たちに向かっていくキハールに俺も続く。

 俺も、少々怖かったが、キハール一人を戦わせるわけには行かず持ってきていたサーベルを振りかざしながら敵に向かっていく。


「うおおおおお!!」


 大音声とともに敵に切りかかろうとするが実戦は初めてなもので狙いをつけた敵の目の前で木の根元に引っかかって転んでしまい、派手に転げてしまう。

 しかし、痛む体をさする暇もなく敵は襲いかかって来てオレを地面に釘刺しにしようとした。

 だが、俺はこれを自分でも不思議なほどの反応速度で転がるようにしてかわすと、構え直す。


(あれ?なんだか体が軽い?)


 あまりの自分の身のこなしのすばやさに自分でも驚いていると、敵のレギオン兵が第二第三の攻撃を仕掛けてくるがこれが不思議に遅く見える。


(師匠と比べたら……全然遅い!)


 単調な動き、そしてはるかにキハールに劣る身のこなし。

 まさか俺でも勝てるのか?と考えているところに相手がまたしてもおおきく振り払うように斬りかかってきて回避したのだが、あまりの大振りだったために体勢を崩すのが見えた。


(今なら!)


 と俺は思いっきりその体勢を崩した相手の顔に肘鉄を食らわしてやる。

 これに対し相手は


「ガッ!!」


 と大声で叫んだかと思うとそのまま大の字になって伸びてしまう。


「……勝った、のか?」


 と狐につままれたような気分になった時だ。


「我々の勝利だぞ!聖くん!」


 と背後でキハールの声が聞こえたかと思って振り返ると、そこには数人のノビた男たちの中でキハールが奴隷商に捕まっていたキャンプの人たちに寄り添っているのが見えた。


「すげぇ……。これ全部師匠が!?」

「まさか、シーナくんが援護射撃をしてくれたものもあるからね」


 だがそれにしても俺がたった一人を相手になんとか戦っている間にキハールが敵の大部分を請け負ってくれていたのは間違いない。

 俺は一人倒したという達成感と、まだまだ自分は弱いという気持ちとなんとなく複雑な気分になったがひとまず仲間たちが無事だったことには安心した。


「すごいじゃん聖~♪めちゃんこ強くなっててびっくりしたよ。次からもそうやって私を守ってよね」


 っと、無事だったのをいいことに調子に乗って花が抱きついてくる。

 ついさっきまでは奴隷に売られる一歩手前だったというのにこの調子の良さは逆に見習いたいものだと感心する。

 安心すると体中の力が抜け、バランスを崩しそうになって転びかけるがシーナがそれを支えた。


「だ、大丈夫ですか!?」

「あ、あぁ。大丈夫なんだけどなんか力が抜けちゃって……」


 甲斐甲斐しく心配してくれるシーナの顔を見ていると余計に安心してしまう。


「キャンプに帰るか……」



→ → → → →




「ノイシュ!」

「あなた!」


 キャンプの各地で家族たちの再開の喜びの声が上がる。

 ギーシュはその様子を満足気に見ていたが、やがてこちらを振り返ると


「あんたたちにはお礼を言わなければならないな」


 といい俺とキハール、そしてシーナの手を握った。


「あんたらのおかげでみんな家族が取り戻せた。感謝する」

「でもキャンプの場所、バレちゃいましたね……」


 と俺は申し訳なさそうにうなだれる。


「すいません、もしかしたら俺たちがここに逃げ込んだせいかも」

「はっはっは、気にするな!こうして家族を取り戻してくれたじゃねぇか。場所なんてのはいくらでも変えればいいのよ」

「えー!?このキャンプ引っ越しちゃうんですかー?」


 花の質問にギーシュは頷いた。


「あぁ、俺たちはそのためにキャンプ生活をしていると言っても過言ではないからな。今度はクルリタイに近いところにでもキャンプを張るさ」


 ギーシュはそう言うと思い出したように手を打つ。


「そうだ、そういえばお前らスーデルの復権派の連中だとか言ってたな」

「はい、最終的にはそれを目指しています」

「そうか、じゃこれをやろう」


 そう言って彼はおもむろに自分の背中に差していたサーベルをするすると外すと、俺にポイッと投げて渡した。

 俺は思わず手を出して受け取るが、その予想外の重さに思わず前のめりになる。


「どうだ?見た目よりも重いだろう。だが威力のある一撃を打ち込めて使いやすいサーベルだ。これから旅を続けるならまさかあの模擬用のサーベルだのを使い続けるつもりもないだろう?」


 そう言って片目をつむってみせるギーシュ。

 俺はその好意にゲーム内とは言え感動してしまい、頭を下げ、


「あ、ありがとうございます!」


 とお礼を言うことしかできないのであった。

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