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俺RPGで真実の愛を見つけます  作者: あんぽんまん
22/35

# 021

 ひとまず有益な情報を得た俺とシーナだが、俺にはまだ知りたいことがあった。


「なぁリズ。お前サポートキャラクターならほかの仲間がどこにいるのかわかるか?」

「すいません、本来ならご案内できるんですけど今は天界との交信が非常に不安定な状況であまり曖昧な情報しかないんですがそれでもいいですか……?」

「もちろん!頼む」


 そういって彼女の手を握らん勢いで頼み込む俺。

 だが熱心に迫りすぎたか彼女は目を大きく見開いて頬を染めつつ、


「わ、わかりました。分かりましたから……」


 といいつつ手を放した。それに対しシーナは非常に白い目でこちらを見ている。

 さて彼女は俺の手を放すと彼女は胸元からなにか白いものを取り出す。

 最初は何かわからなかったのだが、しばらくの間凝視するとなにかの動物の頭蓋骨であることがわかった。

 リズはその俺の視線に気がついたのか答える。


「あぁ、これですか?これはボックスの頭蓋骨です」

「頭蓋骨……?」

「えぇ、太占って言って私の占いには……いやルクバトの占い師はこれを使って天界とコンタクトを取るのです」


 そう言って彼女はその骨を同じ部屋にあったかまどの火にかざし始める。

 しばらくその状態が続いて骨がパキッと音を立てて割れ目が入るとすかさずその頭蓋骨を確認した。

 俺にはなんの意味があるのか分からないが、彼女は何やらふむふむと言いながらそれを凝視している。


「なるほど……お二人の名前と場所が分かりました」

「本当に!?」

「えぇ、お二人の名前は鈴さんに馨さん……で合ってますか?」

「そ、そうだ……!」


 見事に二人の名前を言い当てるリズ。いやがおうにも期待が高まる。

 だが、しばらくの間少し眉をしかめながら骨とにらめっこしていたリズだったが、しばらくして顔を上げ俺の方を見る。


「えっと……一人はリベン王朝の領土内。そしてもうひとりはグランダ共和国内ですね……」


 と申し訳なさそうに答える。

 その答えに俺はシーナの方を見るとシーナもこの言葉にリズと同じような苦い顔をしており、


「見事に逆方向ですね……」


 と答える。


「えーっと、どっちにどっちがいるかとかは……」

「す、すいません。それはちょっとわからなくて」


 これに対し今度は俺が苦い表情になる番であった。

 さて、あからさまに嫌な表情をしてしまったためか、リズは慌てて両手を振りながら、


「あっ!でもスーデル王国のジョン王子の場所も見つけました。彼はポリス帝国内の領内にいるようです」

「……となると南東のポリス帝国方面にもいかないといけないってわけですね……」


 と余計に暗い顔をするシーナ。


「ま、まぁ明確な目標が決まっただけでもよしとしよう」



→ → → →



 屋敷に帰るはこびとなり酒場の前までやってきていた俺とシーナ。

 俺はその帰り際、酒場の前まで見送りに来ていたリズにもう一度確認をした。


「リズは本当に一緒に来ないの?」

「えぇ、ルクバトの占い師は各地にいます。私はここでみなさんの帰りを待っていることにします」

「そうか……」


 俺はせっかくサポートキャラを見つけたというのにここで分かれるのを名残惜しく感じ彼女の手を掴む。


「まぁでもいろいろありがとうな」

「えぇ、どうかこの世界に安定を取り戻してください。お願いします」


 彼女はそう言ってしっかりと握り返した。


「も、もうそろそろ行きませんか?聖さん!」


 っとリズの手を握っているとなぜかシーナが反対の手を引いて俺を引いていったため、俺はまるで引き離されるかのように酒場を後にすることになる。


「やることが多いとわかれば一分一秒だって無駄にはできません!早く屋敷に帰って次の作戦を練りましょう!」


 そう言ってシーナは転びそうになっている俺の手を引きながら俺の先を行くのであった。



→ → → →




「あ、ちょっとシーちゃん!?それに聖も一体ふたりしてどこに行ってたの?逢引するんなら私も誘ってよずるいなぁ……」

「花ちゃんお前逢引ってなぁ……」


 マダムの屋敷に戻るなり開口一番妙な発言をする花の随分古い言葉に少々俺は笑ってしまう。

 そしてその後ろにはいつもと同じ笑みを浮かべているマダムが俺たちを待ち構えていた。


「何か有益な情報は得られたかしら」

「あぁそれが実は……」


 と俺は先ほどのリズの話を話そうとして口をつぐむ。


『世界の管理システムに悪意のある誰かが干渉した可能性も考えられます』


 先ほどリズは確かにこう話していた。

 となればこのゲーム世界の異変などはあまり詳しい話を話さないほうがいいのでは……。ということが俺の脳裏をよぎったのだ。


「どしたの?」

「……いや、実は仲間の場所について聞いてきたんだ」

「え?マジで?」


 ひとまず占い師の招待屋この世界のことは話さず仲間の場所の事を話すことにする俺。


「へぇーすっごいね。さすが占い師、そんなことまで!」

「でもそうなるとすごく長い旅になりそうねぇ……」


 マダムも先ほどの俺たちのような苦笑いになる。確かに過酷な道のりになるであろうが、行くしかあるまい。


(ったく……こりゃゲーム後のレポートがすごいことになりそうだなぁ)

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