深夜のナマステ
さっき、買い物に行ってきた。
紙皿と、レトルトのおかゆと、ティッシュ。
コーラと、濃いめのカルピスと、競馬新聞。
レジに誰もいない。
あ、奥にネパール人の大学生。
「なますて~~~!」
酷く傷めた喉で、言ってみた。
走ってきた彼は、言った。
「あははっ、なますて」
「ねえ、夜でもナマステでいいの?」
「うーん、毎日会う人には言わない、日本人もそうでしょ」
「えーでもお店来たらおはようございますじゃないの?」
「うーんそうかも」
「じゃあナマステでいい?w」
「いいw」
「あっ、ちょっと待って、忘れてた。紙皿ある?」
「かみ???」
「えーっと。ぺーぱー。えーっと。でぃっしゅ。」
「コチラニナリマス」
急に仕事モードに入って走り出す彼と、苦笑しながら追いかける私。
紙皿と紙ボウルを手に取っている彼に、じゃあ両方ちょうだい、と言う私。
レジで精算してから気付いたのは、花粉症。
「あっごめん、ティッシュある? 花粉症でさぁ」
「ティッシュそっち」
「違う、もっとこっち、そこ」
内心「仕事しろw」と思いながらティッシュを1箱持って再度レジへ。
「地震怖くなかった?」
「ここいたよ、日本地震多いからもう慣れた」
「ダメだよ~、水とか買って帰った方がいいよ?」
「コンビニ、これ全部なくなる聞いた」
「なくなるよー?」
「ネパールの大きい地震とき、もう日本いたから」
「水買って帰りな~」
「わかったw」
「またテストでしょ? 頑張って!
……頑張ってって、ネパールでなんて言うの?」
うーん、と悩む彼。
「Fight! とか、 Good luck! とか」
「うーん、そゆとき英語使う。Best up luck!」
「テストの前の日はよく寝るんだよ?」
「あはは、ありがとござますw」
またひとつ、賢くなった。
Best up luck!