三幕~花の墓標~エピローグ「菫の花」
ご覧頂き、ありがとうございます。本日、三幕終了です!
翌日のブシクの町は、大騒ぎだった。
族長の親族と有力者達が、乙女を誘拐しては悪魔的な儀式を行っていた。今回はロハティンの村を襲い、他部族の族長の身内を誘拐したが、彼女は精霊の加護を得ており、バーバ・ヤガー達に追跡されることになった。
魔女が屋敷に行ってみると、儀式の参加者のうち八人が薬の使い過ぎで急死していた。誘拐された乙女は間一髪救出され、魔女の秘術で回復した。屋敷の客や使用人が数人、酷い頭痛や悪夢といった後遺症に悩み、今も寝ついている。
昨日、バーバ・ヤガーの家から回復した乙女が出て来て、ユニコーンに乗って屋敷に入った。彼女の純潔は証明されたが、今後は彼女の身内から、族長と有力者の責任を追及されることになるだろう。
そういうことになった。事後処理には、もう少し時間が掛かりそうだ。
暫くゴランが残って、調査や管理などの雑用を担当してくれる。娘さんと一緒に過ごしたいだろうしね。
族長達に雇われていた護衛の中に、密かにウールブヘジンの犠牲者を救う一団ができていた。ゴランの娘さんも彼らに助けられ、その後は協力者となっていた。奥さんの救出は間に合わず、亡くなったそうだ。
ゴランの娘・エレーナは、護衛の一人と恋仲で、彼はゴランに紹介された途端、睨まれて硬直していた。健闘を祈るよ。でも、エレーナの命の恩人だから、きっと大丈夫だね。
来週、大規模な交易が予定されていて、武器の他国への流出には緊急対応が必要だ。リュドミラがイースコロステニに急行することになった。事情説明をして指示を仰ぐ。裏事情に詳しいアマゾネスの二人も、護衛がてら同行する。
ミュリナとマリーチカはいずれ湖に戻るが、とりあえず北への旅に同行してくれるそうだ。
養女達のこと、夢を送っていたことやマリーチカのことなどを、随分恩にきてくれているらしい。ほぼ、成り行きなんだけどなぁ。
エレーナの案内で、ゴランの奥さんのお墓参りに向かった。奥さんの故郷はこの近くの村で、ゴランはブシクで奥さんと出会ったそうだ。
護衛の中には、都の兵団の出身者もいた。ゴランにお墓の事を伝えると、エレーナの事を話さない訳にいかず、ウールブヘジンがいる限り、エレーナの事は隠し通さなければならない、と悩んでいたらしい。
墓標として置かれた石が草花に覆われ、今は紫のイヌサフランが咲き誇っている。青いビオラも咲き始めていて、冬の間、皆の目を楽しませてくれるだろう。
前世で施設の花壇の世話もしたから、覚えている。
「ヴィオラ……」ゴランが泣いている。そうか、奥さんの名前の花なんだね。
「イヌサフランもだけど、ビオラも根茎や種には毒があるんだよ。心臓麻痺で死に至る様な成分らしい」イアリロが静かに言った。
「ゴランは、ヴィオラとエレーナの事があったから、兵団を引退してヤレムチェに行ったそうだよ。ゴラン達は君をここまで育ててくれた。そして、ゴランが妻子の事を話して急ぐよう助言してくれたから、私はすぐに君を追ったんだ。ヴィオラはウールブヘジンを倒し、私達を救ってくれたんだね」
墓碑銘のない菫の墓標は、北の大地で静かに、愛する人を待っていた。
一ヶ月、応援下さった皆様、お読み下さった皆様のお陰で、何とかここまでこれました。
本当にありがとうございます。
要約&人物紹介、閑話の後に四幕に入ります。
四幕では、名前しか出て来なかったあの人達が……魅力的に書けると良いのですが。
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