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二幕 旅の仲間 ~プロローグ~「出発」

 ご覧頂き、ありがとうございます。

 二幕開始です。ちゃんと旅立ちます!これからは、伝説的な要素を出したいな、と思っています。



「こら、起きないとキスするよ?」

「う……? んん!」いや、もうキスされてるやん。しかも結構がっつり。俺、今世では初めてなのに。


「ごめんって」イアリロが謝りながら追ってくるけど、暫く口きかないよ。


 昨夜、夢の中で初めてヒュプノス様とタナトス様に会った。かなりイチャイチャされたから、目の毒だったんだろうなぁ。

 でも、きちんと同意は取ってもらわないとね! 気持ちは良かったけど。


 締まらない出発の朝だけど、クヴァシルはもっとだ。二日酔いだわ、ベスタには怒られてるわ。

 俺達と似たような感じだな。やっぱり、タナトス様達にあてられたんだろうなぁ。


 俺達の出発を見送るというクヴァシルとベスタに、ベスタの本体と飛ぶところが見たいから見送らせてほしいと頼んだ。


 飛び立つところは余り人に見せるものじゃないそうで、村から少し離れるまで同行する。


 馬とは上手くやっていけそうで、安心した。前世のサラブレッドとは違って、背が低くどっしりしている。北海道の道産子馬に似た感じだろうか。

 穏やかな気性で、余り驚かないのもありがたい。神経質だとこちらが怖いものね。


 その分、騎馬戦はうまくいかないって。騎馬民族の脅威が迫る中で必死に訓練しているらしいけど、そもそも馬の種類が違うんじゃなぁ、難しそうだ。


 山間の窪地に着いた。クヴァシルとベスタとはここで別れる。一人になるのはちょっと不安だけど。


「気を付けるのよ」ベスタに抱きしめられる。今後は美魔女のままでいくんだね。当たってますよ……これも気持ち良いけどさ。


「ゴランもリュドミラもいるし、何より神官を信用しろ」クヴァシル、さりげなく引き離したね、妬いてるな。

 こちらもダンディのまま。三百才なんだよねぇ。


「勿論、お役に立ちますぞ」ビプネンは朝から訓練していたらしく、もっと強くなれそうだと喜んでる。お酒に弱い方が良い事もあるんだね。


「私のことは信用してくれないんですか?」

「いや、お前は危険だ」

「わたしの子に、無体なことをするなんて」

 二人とも、冗談がきついよ、イアリロがよろめいてる。しょうがないなぁ。

「信頼はしてますよ(信用はできないね)」抱きつかれた。


「ルー」クヴァシルに手招きされて近付くと、包みを渡された。開けてみると、立派な曲刀だ。しばらく師匠の刀で訓練はしてたけど。

「成人祝いだ。無理はするなよ」頭を撫でられる。父親代わりの師匠から弟子への、最後の祝いだ。涙が溢れる。


「ほら、ベスタが変わるぞ」声を掛けられて顔を上げる。

 離れて立つベスタが笑いかけてくれる。その姿が赤く揺らめいて消えた、と思うと大きな鳥がいた。トラックくらいの大きさはある。


 口を開けて見てたら、笑っているのを感じた。

 温かな優しい鳥、鳳凰だね。あぁ、ベスタが竈の火の神だっていう、意味が分かったよ。


 そっと手を出したら、触れるように頭を下げてくれた。ふわふわとした冠毛が気持ちいい。

『わたし達の可愛い子。元気でいるのよ』念話っていうのかな、綺麗な声がした。


 クヴァシルが俺の頭をわしわしと撫でた。

 鳳凰に歩み寄り、その体に手をかけて振り返った。

「雪が積もり出す頃には合流しよう」

 体重を感じさせない動きで鳳凰の背に登り、翼の間で胡座をかくように座った。


 鳳凰は殆んど羽ばたきもせず、ふわりと浮き上がるように飛び立つ。あっという間に上昇して、くるりと一回りすると、西へと去って行った。


 あぁ、見送ると言われたのは、こういう気持ちになると知ってたからなんだな。

 刀を抱いて、イアリロに抱きしめられて少し泣いた。


 ご覧頂き、ありがとうございます。

「旅」と「伝説」を楽しんで頂けると良いのですが……

 よろしければ、ブックマーク&評価を頂けると嬉しいです。ぜひ、宜しくお願い致します。

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