9話 黒狼の守り人 裏組織Avanzarファミリー
「うまくいったな、時間は稼げただろうが親父の新生時期と重ねて召還されたらしい」
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刻志 (こくし)
身長180程、黒い髪に黒い目、顔は薄くはないが暑苦しい顔でもない。スッキリした顔立ちの男。
古の英雄と呼ばれている黒狼神の守り人である。
黒狼神の"なにか"を摂取した、黒狼神の能力を色濃く受け継いだ戦士。
153名が加入している裏組織Avanzarファミリー(アバンサール)のボス。
仕事はドラッグの密売や、酒、タバコ、などの密造、武器商人、労働運動などの扇動、闇賭博の経営、殺人及び暗殺、密輸、恐喝及び強要、みかじめ料(縄張り地域で営業する店舗から喝取する占有料)徴収、高利貸しなど幅広く活動している
幅広い活動を153名程で活動できているのは、一つの組織を大きく作らず、小さな組織を作り、表にバレた場合、すぐに潰して金や労働力、商品などをプールし移動させ、そしてまたすぐにプールさせた資源を使い新しく組織を作るため、ボスが死ぬか組織内で革命が起きない限り永遠といたちごっこを繰り返す事になる
が、ボスは黒狼の守り人、古の英雄であり暗殺はまずされない。組織内の革命が起きないように常に監視官を置いているし、なにより奴隷だったものや、スラムにいた死にかけ、その生い立ちは関係なく有能な者、どうしようもない者を拾ってきて育てているため、お互いを家族と認識し強い結束力がある。
また、ファミリー全員へ血の掟があり、それを破った者は他の構成員への見せしめの為、行方不明になり、のちに拷問を受けた痕のある惨殺体で発見させる事がある。
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血の掟
とても厳粛で真剣な儀式が行われる。
両手で包んだ聖人の写真に火がつけられ、その後、ナイフで片方の親指が切られ、血を床にたらす。
血の掟は決してやぶられてはならない。
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Avanzarファミリーには幹部が存在し、その幹部に構成員を付け、二次組織を作っている。
幹部の上にはアンダーボス(若頭)、そしてその上にボス(刻志)が存在する、ピラミット型で組織が作られている。
構成員の下には準構成員が付けられている。
ボス
|---------コンシリエーレ
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アンダーボス
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幹部 幹部 幹部 幹部 幹部 幹部
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構成員 構成員 構成員 構成員 構成員 構成員
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| 準構成員 |
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これにコンシリエーレという役職が一人いる。通常、幹部を通してしかボスやアンダーボスと接触できない構成員が幹部と問題を抱えた時に直接相談できる役職として設けられた。
*****上の図の人数しか幹部がいない訳ではありません*****
幹部にはそれぞれ部門があり、幹部が構成員を使って仕事を成功させる。
幹部が作った二次組織をクルーと呼ぶ、Avanzarファミリーの幹部は二次組織を使い三次組織なども作っている。
3次組織の構成員(準構成員も入る)は監察官が常に監察している為、血の掟を破った瞬間に始末される
一次組織(ボス直轄)の幹部ですら殆どの人間はボスの顔を知らない。
Avanzarファミリーは153名だが、その傘下に置きコントロールしている全ての組織を纏めると構成員(準構成員含む)は1000名以上とも言われている。
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「ボス、黒狼神と相性の良い者はここ何千年もいなかったのでは?そんなにタイミング良く召還できるのですか?」
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サラ 女 薄いピンク色のショートヘア Avanzarの幹部。しかしサラは活動を2次組織クルーへ任せており、クルーメンバーの中にさらに幹部を作り、3次組織を構成しているため、サラはクルーで開かれる集会で上納された首をボスへ渡すだけの仕事となっている。
彼女自身もかなりの手だれの暗殺者である。
身長145cmの童顔、元々は普通の家庭に育った彼女だが、整った容姿、可愛かったため近所から小さなお姫様などと言われ可愛がられていた。
しかし容姿が整っている、可愛かったため、8歳の時から10歳の時まで隣人のフェロから性的虐待、昏睡レイプをされ続けていた。
10歳の誕生日に隣人がサプライズとして両親の目の前へレイプしている写真を残した魔法投影機を渡した。
内容を見た母親は発狂し、父親は家具や壁に当たった後、隣人を殺そうと武器を取ろうとしたが、母親がその武器を取った、父親は母親と一緒に投獄されたとしてもなんとしても隣人を殺そうと決意した。
だが母親は娘が汚された汚点が許せなく、娘を殺そうとした。
そこを父親が庇い、娘を抱きながら背中を刺された、吐血した血を顔から被りながらサラは恐怖から逃げ出した。
サラは近所のおじさんの所へ走っていった、おじさんはビックリしたが保護してくれた、緊張が途切れたサラは安心して眠りについた、近所の男全員が隣人のフェロだというのに。
近所の男達は口封じのために本物のフェロを殺した。
近所の男達は本物のフェロを脅し、昏睡させた後に近所の男達で回していたのだ。
この時既に母親は自殺している。
それをしらないサラはその後、身寄りがいなかったため、近所の男達で育てていく事になった。
14歳まで夕飯に睡眠薬を盛られ、昏睡レイプをされていた。
ある日、隣人の一人が昏睡した状態ではなく起きている時にヤって反応を見てみたと思ってしまった。
終わった後に睡眠薬を多く飲ませれば記憶が無くなると思ったのだ。
だが男が襲おうとした時、サラは暴れ周り、男のナニを偶然にも蹴り潰した、足から感じる感触に怯えながらサラは逃げ出した。
この事件は新聞にも一週間近く掲載された、身寄りがいないなら助けてあげるという人もいたが、サラは信じられずにスラム街へと姿を消した。
しかしスラムへ行っても容姿が整っている事以外たいして取り柄も無かった彼女は体を売って生活していた。
この頃にはもう嫌悪感はなく、何の感情もなく抱かれていた。
そして、スラムで人材発掘をしていた刻志に拾われ訓練され、Avanzarファミリーの皆に文字通りファミリーとして歓迎された。
与えられた仕事は 暗殺、戦闘教育
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こういう背景がある者がAvanzarファミリーに多いので、結束力は本物の家族以上となっている。
本来、一族の者以外はファミリーの誰かか、ファミリーと親密な関係者が保証人にならないと加入テストすら受けられない。
出生などバックグラウンドが調査された後に、一定の期間内で自分の力を証明しないといけない。
ボスからの招待の場合は関係なく入れる、しかしテストをせずに入っているため、テストを受けて入った者達からの目線は冷たい、入った後に力を証明すればファミリーから歓迎され信頼される。
「それをなんとかしちまうのがあのクソ白髪帝王様なんだよ、幸いこっちには俺以外仲間がいないと思われてる事だろう。サウザール領の3分の1もある親父の土地は殆ど森とか渓谷だからな、伏兵で後方部隊を叩いたりすれば勝てるだろ」
「ダンガルシアとの大戦があったばかりですし、あまり人数を割いてこないと思います」
「いや来る、少なくとも旅団は出るな、でなけりゃ話にならない。俺は傲慢でも謙虚でもないが、客観的に見ても、俺一人に旅団は出る、もしかしたら2旅団でるかもな」
「ボス、さすがにそれは・・・。いえ、ボスがそう考えるならくるのでしょう」
黒狼神の守り人がボスだと、ファミリー、活動しているヘイレス皇国へ知られたくないため、ボス直轄のメンバーしか戦闘へ参加できない。もしものために構成員を森の近くの仕事へ向かわせてはいるが。
「元傭兵に暴動を起こさせたが、どうせ死ぬまで戦うなんて事はしないだろう、2000人程の傭兵なんて、守護者、そうじゃなくても帝国の部隊なら簡単に殺戮できるだろ。恐らく俺を殺す用にまた雇われるはずだ。旅団の中身は帝国騎士達じゃなくて傭兵、質の低い奴らの集まりのはずだ」
「相手の質が低かったとしても、こっちの人数は153人しかいません、どうやって対応しますか?」
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アダン 男 身長190cm ナチュラルショートヘアの青い髪をしている Avanzarファミリーの幹部
元々貴族の息子で、彼女もいて、幸せな毎日を送っていた。
彼女は平民だった。容姿も取り柄は特になかったが、アダンは好きになった。理由の説明できる愛は愛じゃなく利害関係の生じたビジネスパートナーだ。彼は本物の恋をしていた。
しかし、当然貴族が愛人ならまだしも、平民を嫁として結婚する事はできない、正確にはできるのだが、貴族が平民と結婚など恥でしかない。
そのため親、親戚、家族は大反対。それを知った平民の彼女は、「そんなの当然だよ、平民と貴族は結婚なんてできないよ、私は愛してもらえればいいの、愛人でいいのよ」と言った。
アダンはそんな彼女をさらに好きになり、一生、どれだけ辛くても愛そうと誓った。
アダンはその晩、親と絶縁した
アダンはその事を彼女へ報告した、それを知った彼女は涙を流し、号泣した。
しかしハッピーエンドには当然ならない、彼女が流した涙は悲観し泣いた涙だった。
「・・・ふざけんなよ、何のためにわざわざつまらない男に時間を使ったと思ってるんですか?あなたが貴族の息子だからです、結婚なんて望んではいません、別に愛人でよかったんです、どっちにしろ金が入ればどうでもよかったんですよ、それを絶縁?もう、なんていうか、私の見る目が無かった事をこれほど悔やんだ事はありませんよ・・・。さよなら」
アダンは最初何を言っているかわからなかったが、だんだんと理解してきた
さよならと言う言葉で理解させられた。
アダンはその後女を殺すような事はせず、無気力で何もせず、ただ道端に転がっている石のように、ただ座っていた、いつの間にかスラムに捨てられていたのは憲兵が平民区の人間にすら見えなくなっていたからだろう。財布、貴金属などは憲兵の小遣いになった、スラムに捨てられてからは少しは綺麗だった服なども剥ぎ取られたが、アダンは抵抗すらしなかった、唯一抵抗していたのは自殺しなかった事くらいだろう。
自殺すら無気力でしなかっただけかもしれないが。
そこをサラとボスの刻志に拾われた。
最初は飯を食べて寝ていただけだったが、根が真面目だったからか、少しずつ手伝いをし始めた、最初は食器を洗うだけだったのが、どんどん裏家業の仕事も手伝うようになった。元貴族だったため、四則演算と読み書きはできた。刻志は最初、帳簿を付けさせるようにしようとしたが、それよりも感謝される事をさせてあげようと思い、教材を作らせ、ファミリー全員を教育させようとした。
もちろん全員教育を受けた訳ではないが、何も生きるスキルがなかった者達は必死で覚え、そしてアダンへ感謝した。
そうして感謝されているうちにアダンは評価され、Avanzarファミリーの幹部へとのし上がった。
与えられた仕事は調査、工作。
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「アダン、暴動はどうなりそうだ?」
「はい、暴動に紛れ込ませた工作員が、村の井戸、川、畑に死体、毒を撒いてきました。魔術師は水魔術を使う事に消費されるでしょう」
「魔術師がいないとなると、戦士、補給、衛生兵か。守護者は今はこれないだろう。敵になるであろう傭兵の武器、スキル、動き方はどうだ?」
「だいたい15~20人程のチームが100チーム程あり、武器は剣2槍5弓3の量です。連携できているのは元々のチームだけで、チーム間での連携は殆どされていません。暴動の指揮は私の部下が執っていますが、暴徒がいつまで従っているかはわかりません」
「暴動は任せた、情報はサヴェルスにすべて渡してくれ。俺は親父の土地がサウザールからの緩衝地帯になっている土地の持ち主の所に行って人を寄こして貰う用に説得してこよう。サラは召還された奴らを教育してやってくれ、一応開戦までに戦力になるかもしれない」
「わかりました、必ず戦力になるように訓練いたします」
「黒狼と相性がいいなら、あおつらえ向きの奴等のはずだ。何しろ黒狼神はユニークで気まぐれ、嘘つきの快楽主義者。己の快楽のためなら他人や他がどうなろうが気にしない、どうなってもいいと心の底から思える性格だ。これと似たような奴等が召還されたんだから、強化してやるといったら喜んで自分を鍛え、情報を集めるだろうさ」