３２話 マナと埋められたゴブリン
聖域の近くへ来ると、金属と金属が当たる音がした。
「なんか金属音がしねえか？キンッキンッとかゴンッっとかよ」
「ほんとだ、聖域で戦ってるのかな」
「それはないと思うけど、一応注意して行きましょうか、多分クリスが何かしてるだけだと思うけど。」
「おっ、良い踏み込みです！そのまま盾を使って敵の視界を遮って剣で斬るんです！」
クリスがゴブリンファイターに盾と木剣、チェーンメイルを装備させ剣を持ったクリスを攻撃させている。
「・・・クリス、あなた何をしてるの？」
「訓練ですよ、ゴブリンの。ケンズさん、この子は盾と剣を持ったオーソドックスなタイプの剣士です。結構筋がいいですよ。」
「これで前衛ができた！ゴブリンファイターとメリルの子供を前衛に配置すれば少数の魔物なら狩れるかな？」
「どうでしょう、魔物との相性にもよりますが、通常のゴブリン相手なら１０匹相手にしても大丈夫だと思います。この子に余った防具や武器を与えますから、ゴブリンファイター同士の戦いでも勝てると思います。」
「本当に！？それだと嬉しいな、武器を選んでくれて、訓練までしてくれてありがとう！」
「いいえ、私達も戦力が増すのは嬉しいですから」
意外にも、ほっぺをかきながら照れている
「あ、そういえば埋めたゴブリンもいたんだった、バヤウルフの肉はゴブリンにとってはご馳走らしいから取りに行かせなきゃ。」
ケンズが埋まっているゴブリンに命令するように、口に指を当て指笛を吹いた。
ピーッっと甲高い音が鳴ると、土が盛り上がり、緑色の腕が出てきた。
「呼吸はいらないのかな、土に埋めても生きてられるし自分で出てこれるんだね。」
「ケンズって外見によらず意外と鬼畜だよね。」
「エリーも貼り付けにされた女殴ってたけどな」
「あれは皆のためを思って女の子を殴っただけだから、これとは別じゃない？」
「まあどっちでもいいけどな、どうせもう死んでるし」
「そういえばあの女の子火葬とかしないで放置してて大丈夫なのかな？」
「一度死んで生き返った魔物は放置してても大丈夫よ、一回死んだだけの死体は放置すると魔物になっちゃうけどね」
「そういえばケンズ、あの女は操作しないのか？」
「あぁ、ビックリしすぎて忘れてたな・・・。勿体なかったかも。でもまだ僕の力が弱いからどっちにしろ配下にできないかも。」
「そうか・・・、あのまま放置して強くなったら行ってみるか？」
「それが良いんじゃないかしら、消えて無くなるまで時間はあるし、まずあなたが強くならないとね！スキルも入手できないし。」
「スキルとマナは別なのか？一回目の悪魔取引の時にマナの集め方？を教えてもらったっきりつかってなかったが。」
「スキルを使うのにマナを使うことがあるのと、マナだけでも攻撃したり守ったり操作したりできるわ。とりあえず練習しても絶対に損はないわよ。」
「なんかボールみたいなのできたー。」
バーヘフトが両手を少しはなし、バスケットボールくらいの大きさのボールを掴んでるような手の形をし、野球ボールくらいの白く光っているボールを作っていた。
「なんだそれ！？」
「それがマナよ、やっぱり悪魔から直接聞くとすぐにできるようになるのね。」
「どうやってやったんだ？！」
「なんか体についてる粘膜みたいなのを手の中に集めてみたー、血液を集めたいところに移動させる感じ？」
「ほんとだできた。」
エリーも野球ボールくらいの光るボールを触っていた
その後すぐにゴブリン以外の全員ができるようになった
