31話 ゴブリンの可能性
聖域への帰り道
「ケンズの配下になったゴブリンは野生のゴブリンと交配とかできるんだろうか?」
バヤウルフの毛皮を散々虐めていたイントとゴブリンの話になった
確かにゴブリンと野生のゴブリンが交配できるかは気になる。
もしできるようになればケンズ直属の配下ゴブリンが大量の野生ゴブリンを消費反逆力なしで従えることができるかもしれない。
そうなれば実質ケンズは消費反撃力を大幅にカットし多数の配下を従えれるようになる。
野生の仲間を従えれば、直属の配下の反逆力が上がるかもしれないが・・・。
「どうなんだろうね、オスとメスの違いがわからないけど、ゴブリンを見つけたら生け捕りにして交配させてみようか」
少数のゴブリンなら生け捕りにもできる。それはゴブリンの巣を奇襲しゴブリンメイジを生け捕りにできた経験があってこそ選べるようになった選択肢だった。
「よく小説とかだと人間に孕ませてるよな、メリルの子供だっけ?それも女の腹から飛び出てきたしな」
「普通のゴブリンじゃないっぽいけど強いのかな?」
ケンズはゴブリンとゴブリンファイターを配下にして気づいたが、メリルの子供は反逆力がずば抜けて多かった。
通常のゴブリンの反逆力は1。ゴブリンファイターの反逆力は3。
メリルの子供の反逆力は10。なんとゴブリンファイターの3倍以上、ゴブリンの10倍の反逆力を持っていたのだ。
反逆力が高いから戦闘力、知能、能力が高いかはわからないが、ゴブリンの反逆力1に対してゴブリンファイターの反逆力は3。これだけ見ると能力が高い方が反逆力も高くなりそうだが、配下の数が少ないため正確なことはまだなにもわからなかった。
「俺たちと戦った時は結構強かったよな。奇襲だったってのもあるけど、少なくとも弱くはない。でも片腕だからなぁ、遠距離攻撃は使えないし、武器とか使えるのか?」
ラドもゴブリンの話に参加してきた
「武器かー、片手でなおかつ重量もあんまり重くない武器がいいよね。いっそのこと武器なしで素手でもよさそう。なんか体から口出してたし、あれ普通に強いんじゃないかな。」
「なんで俺たちと戦ったときにあれを使わなかったんだろうな」
「魔物はすぐレベルが上がるとか?ゴブリンの巣を攻撃した時にゴブリンを罠にかけたよね、あの経験値がメリルの子供に入ったならレベルが上がってスキルを入手したとかかな?でもあれか、それだと挑発した時に声出せないか」
「戦闘中にわざと使わなかったっていうのはなさそうだよな、俺が鳩尾蹴ったときに口出してたら噛めたしよ」
「途中で覚えたとしたら、罠に引っ掛けに挑発して消えた時しかないと思う、あの時しか目を離してないし」
「体から口を出すのがスキルだとして、スキルを覚えている最中を俺らは見れるのか?」
「何の能力を覚えるかわからないか・・・メリルの子供の知能が高いならどんな能力を覚えれるか地面に絵でも描かせて教えてもらおうか、知能が低かったら無理だけど」
(死体を”操作”してるんじゃないのか?すぐに描かせる動きを操作したらいいんじゃないか?やっぱり操作スキルじゃないな・・・死体を仲間にする能力?・・・・・・いや、配下にする能力か?)
「作戦を理解してたし、どうやって喋ってるのか聞いた時に理解できてたからこの世界の言語は理解してるだろう、それができるならそれくらい簡単じゃねえかな」
「喋れるんだったら言葉も使えるようにならないかなぁ」
「ハンドシグナルとかいいかもしれねえぞ。数字のハンドシグナルとか教えてみるか」
ラドがメリルの子供に1,2,3,4,5のハンドシグナルを教えていた。
「普通の数え方じゃないんだね」
「これじゃないと5,6,7,8,9,10のハンドシグナルにする時に指が足りなくなるんだ。そいつは片腕飛んでるだろ?」
「そっか、あんまり考えてなかった、僕にもそれ教えてよ」
「じゃあ5,6,7,8,9,10も教えておくぞ。そいつが1,2,3,4,5までできるようになったら教えてやれ。」
ケンズも片手で1~10をできるようになった。
「これ使ってないと忘れちゃいそうだね、あと7が結構難しい、パッとすぐに使えるようになるのは大変かも。」
「何回か使ってれば慣れる、変えるまでとくにやる事がないからやっておいたらどうだ?」
「そうするー。」
1~10までのハンドシグナルを練習していた、メリルの子供と一緒に。
「・・・ん?そいつもう覚えてねえか?」
「えっ?」
「ほら、そいつ。」
メリルの子供が1~10のハンドシグナルを繰り返していた、それもつっかかることなくスラスラ変化させていた。3から5へ飛ばしたり、7から9に飛ばしたり。
それからラド、イント、バーヘフト、ケンズ、エリー、ハインツ、フラネリー、サラ、ローヴァを見て指を1,2,3,4,5,6,7,8,9と変化させた。
「これで斥候に行かせても敵の人数がどれくらいか教えれるようになったな。知能高すぎやしねえか?」
「仲間にしといてよかった。後で能力も描かせてみよう」