23話 ゴブリン大戦準備1
「ゴブリンの巣を発見したわ、だいたい10匹いる巣よ、ボスはゴブリンメイジ、魔術を使ってくるわ」
「10匹!?こっちより人数の多い戦闘は初めてだな」
「そうね、それに魔術を使ってくる敵も初めてよね、工夫して準備しないと死なないにしても、多分勝てないわね」
「魔術っていうのはどんななんだ?」
「魔術にもランクがあるんだけど、ゴブリンメイジは第1低級魔術しか使ってこないわ、火の玉を飛ばしてくるだけね」
「火の玉・・・ここら辺は森だぞ?ここら一帯が火事になっちまうじゃねえか」
「魔術は使うときに使ったマナがなくなれば消えるから大丈夫よ、沢山マナをこめれば火事になるかもしれないけど、ゴブリンメイジにはそんなにマナはないはずよ。あったとしても敵に当てて焼いて殺せればいいのに無駄に力を使わないわよ。」
「そもそもマナってなんなんだ?」
「そこまでよくわからないのよね、人間でも使える人はいるけど、魔術使いって呼ばれて、悪魔と契約した人しか使えないのよ、それに魔術を使うことを訓練している人間は怖がられているっていうか、民衆からは気持ち悪いと思われているし、聖職者からは敵だと言われて殺されそうになったりするわ」
「それでも魔術を使えるようになったらかなり強くなれそうだな」
「確かに強いわね・・・でも悪魔と契約する時には生贄、対価が必要だし、強い魔術や使い魔を得るためにはかなりの対価が必要よ。自分一人の魂だけでは精精第1低級魔術、それも1属性しか手に入らないと思うわ。とりあえず、強くなるだけなら金を集めて沢山人を雇った方がいいと思うわ」
「最強の男ってのはロマンがあるんだがなー、まあ、最初は魔術に手を出さないほうがよさそうだな」
「話を戻すと、これくらいの火の玉を飛ばしてくるゴブリンメイジが1匹と、ゴブリンファイター1匹、普通のゴブリンが8匹よ。今回は敵が多いから魔物に効果のある霊薬を武器に塗る必要があるわ、その霊薬の材料はまた後で採取してね。それと巣の近くに罠も作りましょ、罠をうまく使えば人数が多少多くても勝てるわよ。あと今回は特別なんだけど、ゴブリンメイジは捕獲してほしいの、さっきの魔術の話をしたときに、悪魔に生贄が必要って言ったわよね?ゴブリンメイジを生贄にすれば第1低級魔法か、第1級低級使い魔、第1級低級知識のどれかを選択して取引することができると思うわ。召還する悪魔によって得られる知識が違うからそこだけ注意が必要だけどね」
「え、僕達も魔術使えるようになるの?今殺し屋なんか来させられたら多分みんな死んじゃうんだけど」
「魔術を使えるようになると、体の中にマナを貯蔵できるようになって、そのせいで聖職者にバレちゃうんだけど、使い魔か知識だったらマナを必要としないからバレないのよ。」
「使い魔か知識か・・・使い魔は一匹分なのか?」
「ものすごく低級の悪魔にすれば6匹分交換できるかもしれないけど、本当に弱くなるわよ。ゴブリン1匹殺すこともできないくらい」
「じゃあ取引できるようになったら知識にするか、誰と契約するかで揉めるのも嫌だしな」
「ていうか、まだ捕獲してないから考えても意味ないんだけどね。霊薬の作り方を教えるわ。あ、そうそう忘れてたけど、この毒を飲んでね、死なないし、動けて思考も少ししか鈍らないように調合してあるわ。もし魔物が出てきても今なら私達が守れるから安心してね」
紫色の明らかに毒だとわかる毒を差し出しながらサラがサラっという
あ、いや、このサラっとはダジャレを言おうとかそういうのじゃなくて、あの、はい・・・。
「毒を飲めって言われて安心できるなよ!そんなのサラっと言うな・・・あ、いや、今のサラっとはサラとかけてダジャレにしたとかじゃないからな!?ないからな!?あー、ていうか、フラネリー達はどこいったんだ?」
「何で二回も言ったのよ・・・。フラネリー達ならこの付近にいるわよ、敵が来たら伝えるように言ってあるわ」
「そうなのか、本当に気配を消すのがうまいな・・・。毎回ありがとな」
ダジャレで場を凍えさせたラドが照れ隠しに感謝を伝える
「いいわよ、じゃ、飲んでね」
サラが右口角を極端に上げて歪な笑顔を作る
「よ、よし!や、やってやるぜ!!やってやるんだ!!!」
「これ結構おいしいねー」
ラドが気合を入れている最中にバーヘフトが飲んでしまった
「あー!バーヘフト!最初に俺が飲んで確かめようと・・・」
「マッズッッ」
ケンズが少しだけ吹き出した
「えー?普通においしいのにー」
「いや、バーヘフト、これ、クソまずいぞ・・・どうしておいしいと思えるだ・・・」
イントも吹き出しはしなかったが、激しい車酔いをして死に掛けているような表情をしている
「・・・・・」
エリーは一応女性が作った物にまずいと言うわけにはいかないと紳士オーラを大放出しながら無言で堪えている、さすがにおいしいとは言えなかったようだ
「これはどうやって作るのですか?」
顔を真っ青にしながらハインツが質問する、彼は戦闘能力で大きく劣っていることは自分が一番わかっているので戦闘以外で役に立とうとしているのだ
「これはドゥーの毒薬っていう霊薬よ、昨日作ったフォレの回復薬と大体作り方は一緒で、ドゥーの葉っていう赤い三つ葉のクローバーみたいなのをヤートの葉の代わりにいれると、回復薬ではなく毒が作れるのよ。ドゥーの葉をフォレの実と同じ量高アルコールのワインに入れて、煮込めばできるわ。今回は少し薄めの毒だから、フォレの実2個とドゥーの葉2枚を500mlのワインだけで簡単に作成できるわよ」
ハインツは必死にメモを取る、恐らく今日中に作り、ちゃんと作成できるか確かめてみるのだろう
「これを濃い毒にしたらゴブリン達にも効くんですかね?」
「どっちかっていうとこれは対人間用ね、動物にはあんまり効果がないから、狩猟の時とかによく使われるわ、これで獲った得物も普通に食べれるから重宝してる人達は大勢いるわ」
「人間と魔物が違うのはなんとなくわかるが、対動物でも結構違うんだな」
「動物でも魔物寄りの動物とか、魔物と動物の境って結構あいまいなのよ。あと、魔物に効くっていっても、魔物ごとに効く霊薬が違うのよね。今回の相手はゴブリンだからね、ゴブリンってああ見えても精霊なのよ、だから精霊に効く霊薬、ハイムフォンの霊薬の作り方を教えるね。
ハイムフォンの作り方は結構簡単なのよ、まずワイン、これはお決まりね。低アルコールでも高アルコールでも、両方どっちでも作れるわ。それと人間の血、できれば霊薬を使用する人間の血がいいわね。別にそんなに多くは必要ないわ。指先をちょっと切って数的たらすだけで大丈夫よ。あなた達は再生能力が強いから、指先を切ってもすぐに治りそうでいいわね。
血とワインの他には尿が必要なの、これも使用する人の尿がいいわ。ワインの他には血と尿だけでできるからかなり簡単に作れる部類の霊薬ね」
「尿!?マジか、一人ひとり作るか?」
「めんどうだから、ひとつの壺にみんなで血を垂らしてみんなで尿をつっこんじゃって」
「俺他人のアレみると気持ち悪くなっちゃうんだよな・・・」
「ラドって変なところが繊細だよね」
「そういえばケンズってアジア系の顔だけど、日本人か?」
「そうだよー」
「日本って他人と裸で風呂に入るってTVで前やってたんだけど、あれってジョークか?」
「ううん、普通に公衆浴場って言って、お風呂に入る場所があるよ。アレを隠してる人がほとんどだけど、たまに、豪快に見せ付けてるだろ!!って感じの人もいるね。」
「ええ!?それはちょっと嫌だな・・・」
エリーが少し引いている
「ええ!?逆になんで!?」
「逆もなにも、僕達は表だよ、嫌だよ。」
「え、もしかしてさ、みんなってパイ〇ンだったりする!?」
「そりゃそうだ、黒人は大体パイ〇ンな気がするぞ」
「僕もそうだよ」
「俺もー」
「ええ!?そっちの方が僕的におかしいんだけど、まあ僕もあんま濃くないけどさ」
「お前ら何歳だよ・・・もう、ち〇この話はやめて霊薬作ろうぜ」
「男は何歳になっても、ち〇この話で盛り上がるだろ!?」
ラドが興奮しながらち〇この話を続けようとする
「ここには女性もいるんだけどね」
サラが汚物を見るような目で見ている
「「「「ごめんなさい」」」」
ラドが真上を見ながら尿を入れようとしたせいでハインツにかかりそうになり、本気で切り落とされそうになるなどの些細な問題はあったが、無事霊薬を作り終えた
あと指先の傷は一瞬で治った