神様と妻を亡くした男達の対話
世界の神話に登場する 妻を亡くした男達の話
ナレーション
妻を亡くした男達が、神様のところへやってきた。
イザナキ「日本の神話 古事記に登場するイザナキです。妻を若くして、亡くしてしまったので、妻を探しに黄泉の国まで、行ってきました。妻はそこにいたのですが、連れて帰る途中に、振り返ってしまったのです。そうしたら、妻のすごい姿をみてしまったので、恐くなって、この地上に逃げ帰ってきてしまったのですが、妻は元気でしょうか?」
神様「元気でいるぞ。心配することはない。死によって、体が朽ちてくのは、仕方がない。しかし、魂は永遠である。あたらしい体を得て、あたらしい人生を得るのだ。」
イザナキ「それを聞いて安心しました。よろしくとお伝えください。」
オルフェイス「あのー。ギリシャ神話に登場する優れた音楽家のオルフェイスです。私の妻も、毒蛇に噛まれて若くして、死んでしまったのです。そこで、最高神ゼウスの許しを得て、冥界にいったのです。そして、妻を地上に連れ帰るまで、振り返っていけないと言われたのですが、あと、もうすこしというところで、振り返ってしまったのです。そうしたら、妻は永遠の別れを告げて、消えてしまったのです。妻は元気でしょうか。」
神様「元気でいるぞ。心配することはない。魂は永遠である。魂の契りもまた永遠である。永遠の輪廻転生の中、これからも何度も妻や縁ある者として、共にいきるであろう。楽しみにしなさい。そして、次成る、輪廻転生の時は、すべてを忘れての出会いになるので、あなたの妻になるひとをよく見極める必要がありますよ。」
オルフェイス「次の輪廻転生で、出会うことができるのですね。どんな世界に生まれようとも、絶対探し当てます。」
ガナルカナル島の男「妻が死んだので、探しにいくと、精霊は現れて、籠をくれたのです。その籠は、5日間開けてはならないと言われたのですが、中から妻の声がするので、あわてて開けてしまったのです。それからなにも、聞こえなくなりましたが、妻は元気でしょうか?」
神様「妻は元気である。あなたも元気に過ごしなさいといっている。また、いつか、輪廻転生の中で、お会いしましょうといっているぞ。なかなか、上品な方だな。」
ガナルカネルの男「そうですか、安心しました。私は元気だとお伝えください。」
平田篤胤「江戸時代の国学者の平田篤胤です。妻を若くして亡くして、私も探し求めたのです。すると、なんと、天狗に攫われた少年というのを見つけたのです。その少年の話を聞いて私は確信したのです。あの世は存在し、魂は永遠だと。」
神様「そうなのだ。魂は永遠の時を生きているのだ。それは、黄泉の世界であり、冥界であり、精霊の住む世界であり、天狗の住む世界であり、あの世であり、天国であり、地獄でもある。」
神様「神話が、神様から始まるのか。それは、人間の起源が、神様にあるからなのだ。人間の起源が、この世界ではなく、天国にあるからなのだ。」
この話は、世界神話学入門 後藤明著の内容の一部を参考にしました。