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亜人と歩む ~瑠璃色王のレクイエム~  作者: 夏カボチャ 悠元
第1章……人獣転生……全ての始まりへ
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赤い紐と繋がれた約束

皆様読んでいただき感謝です。(〃^ー^〃)題名や内容をいじりながら頑張っております。もし宜しければ読んでいただけたら幸いです。


 ソウマの細やかな心遣いで久々の熟睡を堪能したコウヤは、清々しい朝の空気に包まれ目を覚ました。

 余りの喜びからコウヤは、起きてすぐに、木の実に赤い紐を結ぶとネックレスのようにして、首に身に付ける事にした。


 簡単に結んだだけのネックレスであったが、コウヤにとって、人生初の自分の為のお洒落であった。


「思ったより上手く出来たな、色もぴったり」


 体外魔力を知らなかった頃と違い、毎日がゆっくりではあるが、確実に変化していく。

 想像出来ないような出来事でいっぱいの毎日にコウヤは笑みが絶えぬ日々が続いていた。


 そんな静かな朝、向かいのロナの家から突然大きな声が聞こえてくる。


「絶対にいやぁぁぁ! 今日は、あのリボンって昨日から決めてたの! なんでないのよ」


 コウヤの家にまで響く程の声をあげるロナ。

 お気に入りのリボンが見つからず探しているのが声から分かると学校に行くまでの僅かな時間に探しだすのは難しいのであろう、次第に声が大きくなっていく。


 何時もなら家で迎えを待つ事になっていたコウヤであったが、その日はコウヤから迎えに行くことにした。

 勿論ただ迎えに行くわけでは無い。


「御早うございます、ロナ迎えにきたよ」


 予想だにしなかったコウヤの登場にロナは慌てて玄関に駆け出してきた。


「あ、コウヤ! ダメでしょ、私が行くまで待ってないと、この時間も馬車とか通るのよ」

「それより、どうしたの外までロナの声が聞こえてたよ?」


 そう言うとロナの母が説明をする。

 予想通りの展開であった、ロナのお気に入りのリボンが何処にも無い為、朝から必死にリボンを探しロナは荒れていたのだ。

 他のリボンは洗ってしまっており、髪を結ぶ物が無い分かりロナは更に慌てていたのである。


「ロナ? あのさ、もし良ければ何だけど、この赤い紐使う」


「赤い紐?」


 そう言うとネックレスの余りの紐をポケットから取り出してみせるコウヤ。


「僕のネックレスの余りなんだけど、無いよりいいかなって思って」


 ロナは紐をチラチラ見ながら、コウヤのネックレスの紐も何度か見ていた。

 そして紐を受け取ると直ぐにコウヤは、外に出された。

「少し外で待ってて、直ぐだから」


 やっぱり紐じゃ、ダメだったかな? リボンとは違うもんな……などと考えながら、玄関の外で考え込むコウヤ。


 そんな事を考えているとロナが扉をあけて出てきた。


「コウヤ……ありがとう……」


 余りに小さい声だったが確かにありがとうと言われた様な気がした。


「もしかして、着けてくれたの?」


 コウヤは、眼が見えない事になっているので、聞く事しか出来なかった。

 しかし、体外魔力で見えている分、少し罪悪感を感じていた。


 ロナの髪は確かに綺麗な赤い紐で結ばれていた。

 しかし、ロナの口からは予想外の言葉が出てき たのである。

「つ、つけないわよ……リボン見つかったのよ」


 何故か嘘をつくロナ。


 仕方なく紐を使ったのだろう、余程嫌だったのかも知れない、そう思ったコウヤは余計な気遣いをしたと考えて謝る事にしたのである。


「そうか、ごめんね、やっぱり要らなかったよね……」


 そう呟いたコウヤの顔を見たロナは少し慌てていた。


「ち、違う……違うの、本当は今着けてるの」

「そうなんだ、ならよかった。ホッとしたよ」


 顔を赤くしながら、ロナはコウヤの手を引き学校に向かう、最近はそれが当たり前になっているが少しコウヤは、照れくさく感じていた。


 そして、この時間だけ、コウヤは体外魔力を集めないように解除している。

 ロナの優しさを無下にしたくないからである。


 そんなコウヤが最近感じる事、それは、視界を手に入れてから、見える世界が暗闇に戻る瞬間、今までなら当たり前の暗闇に、僕は恐怖を感じていると言う事実だった。


 そんな事を考えていると不意にロナがコウヤに話しかけてきた。


「コウヤ……ネックレスの色、代えたら駄目だからね、約束よ」


 一方的な約束事だったがコウヤは頷いた。


 そんな中、コウヤは、以前に聞いた異世界の話を思い出していた。


 ミカの昔話であり、赤い糸が運命の相手と結ばれていると言う伝説のような話であり、コウヤはその話が不思議で仕方無かった。


 今まさにロナと赤い紐が結ばれ手を繋いでいる。

そう考えたら、ドキドキが止まらなくなっていた。


 最近はこんな風にドキドキする事が増えてきていた。


 コウヤは鼓動の早さに不安を感じ、ミカに相談した方がいいのかも知れないと考えていた。

 病気ならば早いうちにミカに伝えたいと考えたコウヤ、しかし心配させたくないと言う考えからソウマに相談する事に決めたのであった。


 学校に到着すると直ぐに手を繋ぎ姿を現したコウヤとロナに他の男子達が冷やかしに現れる。


「朝からイチャつくなよな? お前ら夫婦かよ!」


 何時もなら此処でロナが言い返すのだが、今日は少し違っていた。


「アンタ達なんか文句あるの?」


 ロナはそう言うと男子達を睨み付ける、余りの鋭い目付きに男子達はブツブツ文句を言いながら退散していった。


「ありがとうロナ」

「いいわよ、私は……気にしてないから」


 そして、校内に鐘の音が鳴り響き、コウヤとロナは急ぎ教室へと向かう。


 コウヤとロナの学年は、2クラスしか無いにも関わらず、コウヤとロナは別々のクラスになっていた。


 武術と魔術は2クラス合同で行う為、その日も魔術の時間は、一緒になる。


「今日も魔術か…………はぁ」

「おいコウヤ! 今日は俺が魔術の相手の番だから覚悟しろよ! 武術ではやられたがな倍にして返してやるからな」


 他の生徒からの、いきなりの宣戦布告にコウヤは余計に溜め息を吐く、その日の午後は魔術の授業である。

読んでいただきありがとうございます。

感想や御指摘、誤字などありましたらお教えいただければ幸いです。

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