動き出した計画
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コウヤの記憶がなくなってから、アグラクトからの攻撃が無かったわけでは無かった。アグラクトに無事に帰った生徒達は直ぐにアグラクト王に出来事を伝えた。
ロナを連れていった騎士は国王に繋がるパイプを有しており、禁忌の森で起きた事実を直ぐに伝えること出来たのだ。その結果、偵察隊が“エレ”に数回侵入を試みていた。
しかし、ラシャを筆頭にエルフと森の住人達は悉く排除した。
既にアグラクト王国を敵だとエレに住む住人が認識した今、アグラクトの匂いがついた者が禁忌の森に踏み込んだだけで迷わずに攻撃を加えていた。
アグラクト王はディノスに唆され、元ディノスの部下達つまり、軍隊まで動かしてしまっていた。しかし、戻ってきたのはディノスの部下が1名と学生のみであり、ディノスの部下の報告では、ディノスは紅眼の少年との戦闘で死亡、残りの兵士達も魔族とエルフ、そして幾つかの亜人により全滅とあった。最悪なのは、紅眼の“少年”と言う事実だった。
アグラクト王国内で紅眼の生き残りがいた事実を隣国に知られる訳にはいかなかった。知られれば、確実に近い未来のアグラクト王国の立場を危うくする。
更に報告には“クレアルバディア共和国”と“デノモルグルド帝国”の密偵と思われる者が森の外から進行するアグラクト兵の姿を視ていたと言う報告が別の部隊からも届いていた。
近隣諸国に大敗と言う不名誉を知られ、紅眼の存在まで浮上してしまったアグラクト王国に選択の余地はなかった。
しかし、大規模に禁忌の森を攻撃すれば隣国を刺激しかねない状況にあった。何故なら禁忌の森こそが各国を3分割している中心であり、本気でアグラクト王国がエレを侵略すると隣国に判断されたなら、其れは3国すべてがエレに押し寄せる結果となる。
その為エレの紅眼を確実に始末する必要があり、少数で在る事、そして何より裏切らないことが重要になる。しかし、其ほどの強さを誇る者は既にアグラクト王国には存在しなかった。
更に言うならばディノスが殺られた事実は国の中で既に広まりつつあった。幸いなのは、“黒いエルフに殺された”と言う風に噂が広まっていた事だった。
一人の大臣がアグラクト王にある助言をした。
「黒い剣を討伐する為に隣国からも兵を募るのです、禁忌の森は其のままにする事を盟約し同盟として進行すれば何も問題は御座いません」
アグラクト王は悩んだ。しかし、一番厄介な問題は間違いなく、紅眼である事実がアグラクト王の決断へと繋がった。
「直ぐに、クレアルバディア共和国とデノモルグルド帝国に伝令を出せ、一週間後、日の出と共に“黒い剣”を討伐する」
そう言うとアグラクト王は2国に対し伝書と盟約を書いた紙を伝令に渡した。
大臣の“ユハル=カサナム”はその伝書の一部に“ロストアーツ”の1文を書き足した。
『黒い剣のロストアーツは討ち取った国が所有する事とする』
その1文は クレアルバディア共和国とデノモルグルド帝国の軍を直ぐに動かす理由となった。しかし、ユハルは黒い剣のロストアーツを他国に渡す気など毛頭無かった。全ては自分の欲望の為にのみに動いていたのだ。
ユハルは、元々はロストアーツの研究者だった。しかし、ロストアーツに取りつかれたユハルは段々と犠牲すら垣間見ずにロストアーツを収集する様になった。
ラシャの父であった、バルド=ノラームと裏で手を組むようになり、更に多くのロストアーツを収集していた。バルドからすれば、不要なロストアーツもユハルからすればお宝であった。バルドに贅を尽くした、持て成しをする反面でロストアーツを貰いうける。
其れがバルドとユハルの関係であった。しかしラシャの暴走により事態が一変した。
本来、禁忌の箱もユハルの手に渡る筈だった。バルドはその頃には人間の贅沢無しでは満足できなくなっていた。
しかし、その前にラシャが箱を持ち出してしまい、エレの国民が箱に注目する事態になり、ユハルの計画は見送りとなった。そんな中、エレでエルフの大量死が発覚し調査することになり、ユハルはその際にも自分の部下を向かわせていた。結果は生存者は無く、3国は禁忌の森として人間の立ち入りを禁止してしまった。
そんなユハルに舞い込んだ今回の一件はユハルの欲望を暴走させる程の大事件であり、其れを見逃す気など無かった。
「カルトネで感じたロストアーツの大量の音色、禁忌の森のロストアーツと共に私がいただく!あはは」
コウヤ達に新たな闇が迫っていた。
『禁忌の森進行作戦。
目的…… 黒い剣 の討伐ならび傘下の種族の討伐。
戦利品…… 討伐した者からの戦利品に関しては勝利者の物とする。
捕虜…… 捕らえた国が自由にする。ただし人間以外の種族のみとする。
3国同盟、盟約を此処に記す』
「一週間後には、全てのロストアーツが私の物だ!あはは」
ユハルの笑い声が屋敷に響き渡っていた。そして一週間後の討伐に向けてユハルも自身のロストアーツを磨いていた。
読んでいただきありがとうございました。
色んな出来事が混じりあう、この物語、次回も読んで頂ければ幸いです。
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